フィリピン留学を3ヶ月すると、どんな効果が期待できるの?

「フィリピンに3ヶ月留学すれば、ペラペラになれる!」
「フィリピンに3ヶ月留学するのは、欧米に1年留学するのと同等!」

よくこんな謳い文句をネット上で目にします。本当なのでしょうか?

結論から言えば大ウソです。3ヶ月程度の留学で流暢に喋れるようになるのであれば、今頃日本人で英語ができない人などいないはずです。たった3ヶ月間で言語を習得するなど、語学の天才でも不可能です。

「ペラペラ」という言葉には定義がない

ハッキリ言いましょう。「3ヶ月でペラペラ」というのは情弱相手の釣り文句です。

超初心者からは、天気や買い物の話がやっとできる程度の人でもペラペラに見えるものです。しかし買い物の話ができる人からは、今度は政治や経済の話ができる人がペラペラに見えるのです。外資系企業で働いている人など、雲の上のような存在のように感じるでしょう。ところがそのレベルの人さえネイティブ同士の雑談の輪に加わることはできないのです。むろん、本人たちも自分たちをペラペラだなんて思っていません。

つまり、「ペラペラ」という言葉には定義がありません。「3ヶ月でペラペラ」というのは3ヶ月後に一体どうなるのか、なにも言っていないのと同じことなのです。なんの実体もありませんから、先に言ったもん勝ちです。そのような学校は全力で避けることを強くオススメします。

3ヶ月間のフィリピン留学の成果を左右する5つの要因

ではフィリピンに3ヶ月留学するのは、効果がないのでしょうか? 効果があるのならば、具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか? 

これは、次の5つの要因に大きく左右されます。

1)スタート時点の実力
2)適切なゴール設定がなされているか
3)どのくらい集中して勉強するか
4)勉強しやすい環境にあるか
5)有効なカリキュラムか

それでは一つずつ解説しましょう。

1)自分の現時点での実力が把握できているか?

3ヶ月でどこまで到達できるか、それはスタート時の実力によって大きく左右されます。中1の前半でわからなくなってしまった人と、中3までの英語がしっかり頭に入っている人とでは、3ヶ月の留学で得られる効果もおのずと大きく異なります。

まず下の4歳児のビデオがどのくらい聞き取れるのか、試してみてください。


初心者の方だと半分も聞き取れないのではないかと思います。当然、3ヶ月後にネイティブと雑談できるようになるはずもなければ、半年後には海外就職ということもありえないのが、当然のこととしてお分り頂けると思います。

なお、自分の現時点での実力がわからなければ、適切な学習計画を立てることができません。ブライチャーの無料体験レッスンを受けるなどして、自分の現時点での4技能の実力がどのあたりに位置しているのかなるべく正確に把握しておくことを強くオススメします。

2)適切なゴール設定がなされているか

自分の現時点での実力がわかったら、次は適切なゴール設定です。

3ヶ月後には上のビデオが一語一句漏らさずに聞き取れるようになるでしょうか? あるいは、この子よりも流暢に話せるようになるでしょうか? アメリカの高校や大学に進学できるでしょうか? 海外就職は現実的なゴールでしょうか?

非現実的なゴールを設定すると、自分にガッカリしてしまうだけです。むろん「ペラペラになる」はゴールにさえなり得ません。自分の最終的なゴールが何なのか、そして3ヶ月間でどこまでそこに近づけるか、なるべく現実的に考えた上で、留学のゴール設定をしましょう。

3)どのくらい集中して勉強するか

留学を成功に導くもう一つの大きな要因は、どのくらい勉強に集中するかです。3ヶ月というのはかなりまとまった時間ですから、集中して勉強すれば相当な効果が期待できます。ただ、その一方でそれなりに長い時間ですから、途中でダレてしまう人も少なくありません。

初心者だと2ヶ月目を過ぎたくらいから少しずつ言葉が通じるようになるので、外で遊び始めてしまう人もいます。現地人との交流が悪いわけではありませんが、週末をどこでどう過ごすのかは、留学を成功させる上での大きなポイントです。なるべく勉強に集中しやすい環境を、自分なりに構築して行きましょう。

4)適切な学校を選ぶ

学校を選びもまた、重要なポイントです。本当に留学を成功させたいのであれば、とにかく真面目な雰囲気の学校を選ぶことをオススメします。

人間というのは環境の影響を受けやすい生き物です。周囲の人が勉強に集中していればつられて勉強しますが、周りが遊んでいるとどうしても雰囲気に流されて遊んでしまうものです。異国に来ると少なからず気分も浮かれます。遊びや社交がメインの学校は避けておいたほうが無難です。

5)カリキュラムを吟味する

もしもあなたがこれからピアノを習うとして、これまで10年間弾いて来た人と、ほとんど弾けない人と、どちらの意見を参考にするでしょうか? 普通に考えて10年間弾いてきた人の意見を参考にするのはないかと思います。仮にピアノがうまく弾けない人が編み出した練習メソッドというのがあったとして、それにお金を払うでしょうか?

それなのに、大して喋れない人が考えた学習プログラムが無数に存在するのが英語教育の世界です。同業他社のことをあまり悪く言いたくはありませんが、フィリピン留学も例外ではありません。英語があまりできない人が考えたプログラムにどのくらい有効性があるか、ぜひ一度考えてみてください。私もまだまだ道半ばですが、なんの準備をしなくても、少なくともこのくらいは話せます。


なお、英語を学ぶ上で、お金を払う価値があるのは何と言っても「発音」と「作文」です。この2つだけは自習自得が非常に難しいのです。「慣れればできる」というものでもありません。これはネイティブスピーカーにまみれて35年間英語を仕事や勉強で日常的に使い、21年間アメリカに住んでいる私が保証します。また、たくさん読み、たくさん聴いて、豊富な語彙や周辺知識を英語で獲得するのが結局は早道です。話題も語彙も周辺知識もないのに、深い話ができるわけないからです。大切なことなので、ぜひ頭の片隅にとどめておいて下さい。

ブライチャーでの3ヶ月間で、どこまで行けるか?

ではブライチャーで3ヶ月間一心不乱に勉強すると、一体どのくらいのレベルに達するでしょうか? レベルに分けて説明しましょう。

1)超初心者の場合

中学1年生で英語がわからなくなってしまった、超初心者でも、しっかりと3ヶ月間やり込めば、基本的な会話を営み、ネイティブ向けの児童書を読めるくらいのレベルには達します。下記の生徒は、本当にYESとNOしか言えないレベルから始めて、現在はフロリダの大学に進学すべく現地のESLに通っています。今ではまず普通に話せます。

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2)初心者の場合(中学英語はわかるレベル)

中学卒業程度の下地がある人が3ヶ月間集中的に勉強すると、簡単なニュース記事ならば読めるようになります。また、話題は限定されるものの、時事ネタなどについて簡単なディスカッションができるくらいにはなります。このくらいのレベルに達すれば外資系企業で勤めてもあまり困りません。

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3)中級者の場合(高校英語が身についているレベル)

もう少しレベルが上がり、TOEIC650以上ほど取れるレベルになると、3ヶ月やり込めば普通にニュース記事を読んだり、時事ネタについて躊躇なくディスカッションができるレベルに達します。海外の大学進学も十二分にターゲットに入ってきますし、東南アジアでの就職も可能になります。

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4)上級者の場合

さらに上級の方、例えばすでにTOEIC800点以上であるとか、すでに外資系企業での勤務経験があるといった方であれば、3ヶ月後には英語圏で仕事をするとか、海外の大学院に進学すると言ったことが十分に現実的なオプションとなってきます。

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いかがでしょうか?

これがフィリピン留学3ヶ月間で期待できることです。

要するに、甘い夢は見ずに現実を積み上げてください。日本に住んでいると全てのことを忘れて勉強だけに集中する機会はあまりありません。これが、わざわざフィリピンに来て勉強する意味です。

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。