“could ” が “can”の過去形という理解は正しくありません

生徒さんの会話を実際に聞いてみると、時折気になる間違いに出くわします。みなさん学習者ですからミスは当然で、気にする必要など全くありません。ミスを修正していく過程に学びがあるので、むしろどんどん間違えることをお勧めします。

今日はそんなミスの一つである、could の使い方について解説します。この記事では、

1)could と was/were able to の違い
2)could not to was/were not able to の違い
3)丁寧に話すときの could の使用例
4)可能性を示す could の使い方
5)could have で何が表現できるのか?

の5つのポイントを解説します。それでは順番に見ていきましょう。

“Could” は “can” の単なる過去形ではありません

まず最初に、もっとも頻繁に耳にする間違いを紹介します。まず下の3つの例文を読んでみてください。間違っているところがわかるでしょうか?

「セブ滞在中に英語の勉強ができた」
I could study English very hard while in Cebu.

「新しい友達ができた」
I could make new friends.

「歌のレッスンを受けることができた」
I could take singing lessons.

それぞれ「〜を達成できた」という意図で使われています。一見、正しいように見えますが、このような場合に could を使うことはあり得ません。「〜を達成できた」「〜実行できた」という場合には、was/were be able to を使うほうがずっと自然です。

つまり、”can” の過去形は “could” ではなく、”was/were be able to” だと言ってしまってもいいくらいなのです。

I was able to study English very hard while in Cebu.

I was able to make new friends.

I was able to take singing lessons.

では否定形の “was/were not able to” はどうでしょうか? その場合には「やってみたけどできなかった」という感じになります。

I wasn’t able to go home.
私は家に(帰ろうとしたけれども)たどり着けなかった。

I was not able to make new friends.
彼は(トライしたけれども)新しい友達を作ることができなかった。

I was not able to study English in Cebu.
私はセブ島で(そのつもりはあったのに)英語の勉強をすることができなかった。

参考書や問題集にはよく “I could go home.“(私は家に帰ることができた)というような例文が出て来るので、おそらくその影響なのでしょう。しかし、これは明らかに間違った理解です。こういう使い方は絶対にしません。必ず “was/were able to” です。

英文法を解説している日本語サイトの中にも『”could” は can(できる)の過去形で、「〜することができた」となります』と断定的に解説しているものが少なからずあります。間違った参考書などから知識を仕入れてしまったのでしょう。残念なことです。

では “Could” はどんなときに使うのか?

では、 “I could go home.” という言い方はどんなときにするのでしょうか? それは、「過去のある時点での可能性」や「過去に持っていた能力」を言い表すときです。いくつか例文をみてみましょう。

John could stay at his job, but he decided to leave and find a new job. ジョンは仕事を続けることもできたが、今の職場を離れ、新しい仕事を探すことにした。

I could run much faster when I was younger.
若い時には、もっと速く走ることができた。

People could starve to death during the medieval era.
中世時代には、人々が飢え死にすることもあった。

では「可能性がなかったとき」や「過去に能力がなかったとき」はcould not でしょうか? はい。その通りです。

I couldn’t go home.
彼は家に帰ることができなかった。

They couldn’t stay in Tokyo any longer.
彼らはもはや東京に留まることができなかった。

I could not speak English before I studied at Brighture.
Brightureで勉強する以前は英語を話すことができなかった。

You could not use computers in the nineteenth century.
19世紀にはコンピュータを使うことができなかった。

否定形の時は何がどう違うの?

否定形の場合の “was/were not able to” と “could not” との違いですが、”was/were not able to” の方は「やろうとしたができなかった」という感じなのに対し、”could not” の方は「なんらかの事情により、全くトライすることさえできなかった」という感じになります。ただ、肯定文のときほど強いニュアンスの違いはありません。

John was not be able to beat his opponent.
ジョンは対戦相手に勝つことができなかった。(勝つこと可能性も十二分にあり、頑張って戦ったが)

John could not beat his opponent. ジョンは対戦相手に勝つことができなかった。(圧倒的に差があり、そもそも勝ち目がなかった)

I was not able to study English in Cebu. 
私はセブ島で英語の勉強ができなかった。(勉強する環境はあったのに。誘惑などに負けて)

I could not study English in Cebu.
私はセブ島で英語の勉強ができなかった。(周りに邪魔する人などがいて勉強する環境ではなかったため)

つまり、否定形の場合には cannot をそのまま could not にしてもさほど違和感ありません。ですが肯定形のときにはちょっと注意が必要です。ただ、学校や問題集での文法練習では機械的に「肯定文→否定文」、そしてまた「否定文→肯定文」の練習を繰り返すので、肯定と否定でニュアンスが変わってしまうことを知らない人が多いのではないかと思います。ぜひ気をつけてみてください。

丁寧に話すときに便利な could

また could のもう一つの使い方に、丁寧に話す、という使い方があります。”Can you〜?” と聞くよりも一段丁寧な感じになります。いくつかパターンがありますが、

・何かをお願いする
・許可を得る
・提案、示唆する

ときなどに便利に使えます。いくつか例文を見てみましょう。

1)何かをお願いする

Could you hand me the salt?
その塩を取ってくれませんか?

Could you kindly tell me where the train station is?
駅がどこだか教えてくれませんか?

2)許可を得る

“Could I/we 〜?“ と聞くのは “May I/we 〜?” と聞くのとだいたい同じようなニュアンスです。

Could I use your laptop?
あなたのラップトップを使わせて頂けますか?

Could we park our car on your driveway?
車をあなたの私道に停めさせて頂いてもよろしいですか?

3)提案、示唆をする

We could meet at 8:00PM tomorrow.
明日の夜8時にお会いできますか?

You could ask your manager for advice. マネージャの助言を求めてもいいかもしれませんね。

このような丁寧な言い回しは頻繁に使いますし、とっても役にたちますので、是非身につけてください。

そもそも過去形ですらない

なお、could はそもそも可能性を表す表現です。過去ではなく、現在や近未来を表すときに使うときに使ってもなんの違和感もありません。例えば “Are you going to the party tonight?” (パーティに行く?)と近未来の予定を聞かれたら、次のように色々な答え方ができます。

Yes. I must go!!
うん。絶対に行かなくちゃ!

Yeah, I can go.
うん。行けるよ。

I guess I could… let me think about it.
そうねえ、行けるけどねえ。ちょっと考えさせて。

I am sorry. I wish I could, but I cannot.
申し訳ない。行きたいのは山々なんだけど、どうしても行けないんだ。

I may go. I am not sure it.
行くかもしれない。まだちょっとわからない。

I may not go. I don’t feel so well.
行かないかもしれない。あまり気分がすぐれないんだ。

I am sorry but I cannot go. I already have another commitment.
悪いけど行けないんだ。すでに他の約束があるんだ。

No. I am not going.
いや、行きません。

このように must, can, could, may など、さまざまな助動詞を使って可能性の度合いを表現することができます。could は割と「どうしようかな?」と迷っているときなどに使います。

もういくつか、過去の出来事ではなく、現在、あるいは近未来の可能性を表現するのに could を使ったケースをみてみましょう。「確かではないが〜〜かも」という表現です。

That could be true.
それは本当かもしれない。

I could be wrong.
オレが間違っているのかもしれない。

It could rain later this evening.
今日の夕方は雨になるかもしれない。

Could have はどんな時に使うか?

もう一つ、could が頻繁に使われるのは、”could have” という形です。現在完了ですね。この形で使うのは「実際に可能だった/起こり得たのに、やらなかった・起きなかった」場合です。

The things could have gone terrible wrong, but thing turned out alright in the end. すべてがメチャメチャになってしまう可能性があったが、結局はうまくいった。

John could have easily won the fight, but he showed up drunk and lost the fight. ジョンは簡単に勝てるはずだったのに、酔ったままやってきて負けてしまった。

You could have phoned me to let me know. 電話して知らせてくれればよかったのに。(電話で知らせることが可能だったのに、やらなかった)

これが否定形で could not have になると、「〜〜はあり得ない」という感じになります。

John could not have failed.
ジョンが失敗することはあり得なかった。(許されなかった)

John possibly could not have stolen the car. He was with me the whole time.
ジョンがその車を盗んだということはあり得なかった。彼はずっと僕といたのだから。

We couldn’t have done this without you.
あなたがいなかったら、とてもじゃないができなかっただろう。(これ、割と感謝の言葉でよく使われるの定型的な言い方です。)

He could not have completed my task without the help from Sally.
サリーの助けがなかったら、彼はその仕事を完成させることができなかったろう。

以上、 “could” は “can” の単なる過去形ではないというお話でした。すべて暗記する必要はありませんが、「〜を達成できた」と言いたくなったら、とにかく could ではなく、be able to を使うように気をつけてください。というわけで最後に例文を一つ。

I could not have completed this article without Isa’s help. Thanks Isa. In the end, I was able to finished this article.

イザの手助けがなかったら、この記事を終わらせることはできなかったろう。どうもありがとうイザ。最終的には終わらせることができました。

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Brightureでは「より滑らかに、正確に話せるようになる」ことを目指してカリキュラムを設計しています。例えば Group Listening and Speakingという授業では、特定の構文や文法を使わないとうまく話せないテーマを設定してディスカッションを繰り返すことで、知らず知らずのうちにそれぞれの構文を正しく使い、無意識にうちに正しい文法を用いて話せるようになるよう、設計してあります。

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。