25 7月 【英語学習法】英語の文法ミスを減らすには? 話すと間違える理由とその対処法
英語を話すとき、「わかり切っているはずの文法ミスを何度も繰り返してしまう」という人は意外と多いです。たとえば、TOEIC の文法問題ではほとんど満点を取れるのに、実際の会話では三単現のsを忘れたり、時制を混乱させたりします。しかも、何度も同じ間違いをしてしまうんですね。
皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか? 僕にも覚えがあります。
モニター仮説とは? 話すと文法を間違える原因とその理論
なぜ、知っているはずの文法を使えないのでしょうか?
その理由を説明する理論のひとつに、言語学者スティーブン・クラッシェンの「モニター仮説」があります。
クラッシェン氏は「習得学習仮説(Acquisition-Learning Hypothesis)」のなかで、語学習得には無意識による「習得」と、意識による「学習」という2つの独立した異なるプロセスが共存するということを主張しました。
クラッシェン氏は「無意識による習得」が発話を引き起こすものであり、「学習」によって得られた知識は「モニター(観察)」の機能しか果たさないと主張したんですね。つまり、発話中に「監視役」を果たすと言うわけです。クラッシェン氏が提唱したモニター仮説を示したモデル図です。

そして、文法のような「学習して覚えた知識」は、会話の最中にはモニターのように働くものの、その機能を働かせるには次の3つの条件が必要だとしました。
- 時間の余裕があること
- 正しいルールを知っていること
- それを使おうという意識があること。
しかし、実際の会話では、内容の構成、語彙選び、発音、そして相手の反応への対応などに脳の処理リソースが奪われがちで、文法のチェックまで手が回らないんですね。つまり、「時間の余裕」がそもそもないのです。
英文法を正しく使えない理由:知識と運用のギャップ
そのため、「知識として知っているのに、運用できない」というギャップが生まれます。なのでこれは、単なる「うっかりミス」ではなく、「運用できるまで自動化されていない」ことの表れです。そして、このギャップは放置すると“化石化”につながるおそれがあります。これは誤用パターンに慣れてしまい、それが定着してしまうという、なかなか厄介な問題です。そして、一度慣れてしまった誤用パターンは自然に直ることが少なく、意識的な矯正が必要になります。
英文法とスピーキング力のギャップを埋めるには?
では、どうすればこのギャップを埋められるのでしょうか?
このギャップ解消には、「英作文」と「モノローグ」の2つがとても有効だと考えています。
英作文で文法知識を「使える力」に変える方法
英作文は、文法知識を「自分で運用」するプロセスです。選択式の問題とは違い、ゼロから構文を組み立てなければなりません。つまり、英文を脳内から捻り出すと言う意味においては、発話と変わりません。
ただ、発話と大きく違うのは、書いた後には見直しの時間があることなんですね。なので、ここで文法知識をモニターとして活用して、自分のミスを自分で発見し、正しい表現に書き直していくことで、明示的に覚えた知識が暗黙知識へと橋渡しすることができます。
今だったら、AI を使って最終確認をすることもできます。でも、最初から AI に頼らず、自力で作文をし、自力で赤入れをしてみて、最終確認だけを AI に任せるようにします。そうすると、正しい文法が徐々に内面化され、間違えることが減っていきます。
モノローグでスピーキング力を自動化するコツ
一方、モノローグ(独り言)も、スピーキングの自動化を促すトレーニングとして非常に有効です。誰かと話すプレッシャーもなく、リズムや構文に集中できるため、モニター機能が有効に働くからです。
これには色々なやり方があります。たとえば自分の周辺の景色や行き交う人々を描写したり、今日あった出来事を英語でぶつぶつと呟いてみてもいいでしょう。そして、「あ、いま三単現のsが抜けたな」とか「今のところは過去形じゃなくて現在完了の方が適しているな」とか気がついたら、その場で言い直します。
あるいは、あるテーマについて2分ほど話し、録音して聞き返し、自分の間違いや不自然な表現をメモして言い直すといった方法も考えられます。こうして自分の癖や弱点を浮き彫りにし、意識的な修正を繰り返していくと、やがて正しい発話が内在化され、反射的に話しても、文法ミスを犯さなくなっていきます。
話すと間違える英語、解決のカギは「橋渡し」
もしあなたが、「わかってるのに話すと間違える」という悩みを持っているなら、それはうっかりミスではなく、学習の過程でどうしても避けては通れない問題です。そして、その問題には対処法があります。焦らずに「知っている」と「使える」の間に橋をかけていってください!
Brighture での実践トレーニング
こうした「知識と運用の橋渡し」に特化したトレーニングは、Brighture でも実践しています。文法力をスピーキングにつなげるための「Listening and Speaking」、IELTS などのスピーキングテストに備えるために作られた「Exam Prep」は、どちらも英語の「知っている」と「使える」の間のギャップを埋めるために設計されています。
レッスン内容:Listening and Speaking(LS)
レッスン内容:Exam Prep(EP)
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