【英文法解説】現在完了と現在完了進行形は、どう使い分ければいいの?

さて前回前々回と2回にわたって現在完了形を解説しました。現在完了形は、実は「過去」の出来事を表すこと、特に「現在につながる過去の出来事」を表現することを学びました。

では現在完了進行形は、いったいどんなときに使い、何を言い表すのでしょうか? 現在完了と現在完了進行形、あるいは過去進行形は、どう違うのでしょうか? 

完了形も完了進行形も日本語に存在しないため、学習者が非常に混乱しやすいところです。私自身も使い分けがよくわからず、しばしば混乱していました。今回は、この使い分けにフォーカスして解説します。

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結果 vs. 過程

現在完了形と現在完了進行形の一番大きな違い、それは「結果」と「過程」のどちらにフォーカスを当てるかです。先週もお話したとおり、現在完了形それ自体は、ハッキリとした「現在への継続」を意味しません。“I have lived in Canada for 3 years.” だけでは、今カナダに住んでいるかは分からないのです。ただ、「カナダに住んでいたことがあるんだな」という事実と、それが「現在に何らかのつながりを持つ」ことが分かるだけです。

しかし、“I have been living in Canada for 3 years.” ならば、3年前からカナダに住んでおり、今も住み続けていることが明確に伝わります。さらにいくつか例文を見てみましょう。

Tom has painted his room. Now the room looks bright and clean.
トムは自室を塗装した。部屋がずいぶん明るく、キレイになった。

この文章だと、部屋を塗装した結果、「部屋が明るく、キレイになった」という結果を強調することができます。

Tom has been painting his room for the last 5 hours. The room is starting to look much brighter.
トムはもう5時間も自室を塗装している。部屋がずいぶん明るくなってきた。

一方こちらの完了進行形だと、もう5時間も塗装しており、今なお塗装し続けているという「過程」を強調することができます。

I’ve read the book you lent me. I just finished it last night.
貸してもらった本を読み終えたよ。昨晩読み終わった。

I’ve been reading the book that you lent me non-stop. I am so hooked into the book.

貸してもらった本をノンストップで読み続けている。すっかり夢中だよ。

上の文章からは、借りていた本を読み終えたことが明確に伺えます。その結果、例えば「本を貸主に返せる」という形で現在の会話につながるのかも知れません。あるいはこの後に「とても面白かった」という話になるかも知れません。いずれにせよ、文章のフォーカスは「読み終えた」という結果にあります。

一方下の文は、過去のある時点で読み始めて、今もまだ夢中で読み続けていることが明確に伝わります。つまり言いたいことは「過程」なのです。

さらにどんなときにこの現在完了進行形を使うのか、もう少し具体的に見ていきましょう。

まだ終わっていないこと

この「過程へのフォーカス」で一番分かりやすい例、それは、「まだ終わっていないこと」を話すときです。再び普通の完了形と比べてみましょう。

She’s been writing emails for 3 hours.
彼女はもう3時間も電子メールを書き続けている(そして今も続けている)。

She’s written 10 messages.
彼女は10通の電子メールを書き終えた。(その後も書くかも知れない)。

I have been studying English really hard since I arrived in London.
ロンドンに着いて以来、英語を熱心に勉強し続けている(そして今も続けている)。

I have studied English for 10 years.
10年間英語を勉強した(学習期間が強調されている)。

何となくイメージが湧くでしょうか?

「し続けている」感じを強調する

こうして「過程」にフォーカスすることで、出来事の頻度や強度を強調できるのも、現在完了進行形の便利なところです。例えば、”He has studied English for the last 4 years.”というと、なんとなく4年間授業を取ってきたような印象ですが、同じ4年間でも “He has been studying English for the last 4 years.”と言うと、「絶え間なく勉強をし続けてきた感」が満載になります。これも例文を見てみましょう。

It has been raining really hard for the last 2 hours.

この文だと、雨がザーザー降り続けている情景が目に浮かびます。もちろんまだ止んでいません。

しかしこれを過去進行形にして

It was raining really hard for 2 hours.

と言うと、今はもう雨が止んでいることになってしまいます。現在進行形にして

It is raining really hard for 2 hours.

ということは可能ですが、「過去から続いている」という継続感がかなり欠けます。

では普通の現在完了形にして

It has rained really hard for 2 hours.

とすると、2時間ザーザーと降り、その結果、例えば「地面がまだ濡れている」とか、「どこかで冠水した」などという「結果」につなげることができます。例えば帰宅した兄が冠水した道路を見て “What happend?” と問いかけ、”It has rained really hard for the last 2 hours.” と答えれば、2時間ザーザー降って、その結果として道路が冠水していることを伝えることができます。

最近の様子を言い表す

また、現在完了形進行形に Lately とか Recently を付け足して、最近の様子を言い表すこともよくあります。例えば「なんか最近やけに疲れやすいんだよね」なんて言いたいときです。また、lately や Recently が入っていなくても、会話の流れでそういうニュアンスが出せるものです。いくつか例文を見てみましょう。

Recently, I have been feeling really tired.
僕は最近疲れやすい。

She has been watching too much television lately.
彼女は最近テレビの見過ぎだ。

Have you been exercising lately?
最近運動してる?

Mary has been feeling a little depressed.
メアリは最近なんだか少し鬱々としてる。

Ken has not been practicing his English.
ケンは(最近)英語の練習をしていない。

What have you been doing?
最近は何をしてるの?

また否定形にすると、「最近やってないんだよねぇ」といった感じを出すこともできます。ホントは英語の勉強をしなければならないのにやっていない。そんな感じですね。

I have not been studying English lately.
最近英語の勉強をしていない。

I have not been exercising lately .
最近運動してないなあ。

I have not been reading books recently.
最近本を読んでないなあ。

まとめ

では現在完了進行形をまとめてみましょう。

– 現在完了進行形は出来事ではなく、「過程」にフォーカスしたいときに使う( “I have been going out with him for 2 years.” など)。

– 現在完了進行形は、「まだ終わっていない状態」を表現したいときに使う( “They have been in the meeting for 3 hours now.” など)。

– 「し続けている感じ」を強調したいときにも、よく使われる(”It has been raining for the last 2 hours and it is not going to stop anytime soon.” など)。

– 「最近なんだか疲れやすいんだよねえ」などと言った具合に、最近の様子を伝えたいときには、lately や recently などといった単語と組み合わせて表現できる(I have been feeling really tired lately.)。

さて、来週は過去完了についてお話しましょう。過去完了もしっくり分かると、実に使い勝手のよい文型です。

Brightureでの取り組み

Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の3つの授業で文法の理解を深めていきます。

Everyday Speech

英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。

クラス紹介:Everyday Speech

Writing Reviews

Writing Reviewsは、ブライチャーで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。

クラス紹介:Writing Review

Listening and Speaking

通常の英会話の授業では流れてしまいがちな文法のミスや不自然な言い回しを捕まえて、細かく修正を加えて来ます。

クラス紹介:Listening and Speaking

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。