05 1月 【英文法解説】現在完了形の継続・経験・完了・結果ってどう言い表すの?
今回は前回に引き続き、現在完了形の続きです。学校などでは、「現在完了とは、継続・経験・完了・結果を言い表す」と習いますが、あの教え方がそもそも混乱の元なのではないかと思うことがあります。
例えば、
Kate has lived in Tokyo for 5 years.
と言う文章を読んで、
「ケイトは5年間継続して東京に住み続けた」
と継続した期間を言いたいのか、
「ケイトは5年間東京に住んだことがある」
と経験を強調したいのか、それとも、
「ケイトは5年間東京に住んだことがあるが、今は住んでいない」
と完了を言い表したいのか、それとも
「ケイトは5年間東京に住んだことがあり、その結果日本語がうまい」
と言うような「結果」を言い表したいのか、混乱したことはありませんか?
私は自分が中学生の時に、一体この「継続・経験・完了・結果」をどう見分けるのかさっぱり見当がつかず、この辺りからだんだん英語がわからなくなっていきました。
ですので本記事では、この「継続・経験・完了・結果」をどう捉えればいいのかに的を絞って、解説したいと思います。
「過去の出来事を今も持っている」と考えると理解しやすい
前回は「現在完了形は、現在に繋がりのある過去の出来事を表現するための文型である」という説明をしました。そう。現在完了形というのはその名に反して、ちっとも「現在」の話ではないのです。では、どうして「現在」完了形という名前が付いているのでしょうか?
それはこの文型が「過去の状態や出来事を持っている」という、現在の状態を言い表す語法だからです。
I have lost my keys.
私は 今持っている 鍵を無くしたという状況を。
I have lived in London for 5 years.
私は 今持っている 5年間ロンドンに住んだという経験を。
そして実際の会話の中では、よくこんな感じに使われます。
例1:
A: Wow. You speak English really well. Where did you learn it?
わお。英語がすごくうまいですね。一体どこで学んだんですか?
B: Oh. I have lived in London for 5 years.
ああ、ロンドンに5年間住んでいたんですよ(住んでいた経験があり、その結果、今英語が喋れる)。
例2:
A: I went to Hawaii last week.
先週ハワイに行ってきたのよ(行ったことがあり、今のこの話題に関連がある)。
B: Oh, really? I have been there before. How did you like it?
本当? 私も行ったことがあるわ。どうだった?
こんな感じです。
他にも例を見て行きましょう。
例3:
A: What happened?
どうしたの?
B: I’ve lost my keys. I can’t get in the house.
鍵を失くしちゃった。家に入れない(鍵を失くした状態が今も続いている)。
例4:
B: She is not here right now. She has gone shopping or something.
ユキは今いないよ。買い物にでも行ったのだろう(出かけた状態が今も続いている)。
例5:
退屈そうだね。
B: Yeah. I’ve left my iPhone at home.
家にiPhoneを忘れてきちゃった(忘れてきたという状態が続いている)。
例6:
結婚して何年になるの?
B: We have been married for 12 years.
僕らは結婚して12年になるよ(12年前に結婚し、その状態が今も継続している)。
例7:
ねえ、サンドイッチでも食べに行かない?
B: Oh. I have just eaten my lunch.
ああ、たった今お昼ご飯を食べちゃったよ(お昼ご飯を完了しており、その結果、今はサンドイッチが食べれらない)。
なんとなくイメージが掴めてきたでしょうか? いずれの例も、「今の状態」につながりがあります。これが、現在完了形で表現可能な世界なのです。それは経験談のこともあれば、何かの出来事の結果だったり、あるいは完了を示す場合などもあります。継続の場合もあるでしょう。あまり難しく考えることはありません。実際のところ、あまり難しくないからです。しかしそうは言っても日本語にない概念なので、もう少し噛み砕いて解説しましょう。
関連記事:【英文法解説】現在完了形は「今と繋がりがある過去」を表します
完了、結果ってどういうこと?
まず、割合よく使うのが、この「完了、結果」です。何かを完了させた結果、今どうなったか言いたいときなどに便利です。
例えば、「もう宿題を終わらせてあるから(完了)、今はテレビを見ててもいい」なんていうときによく使います。
例1:
ジミー、テレビを見る前に、宿題をやりなさい。
Jim: Mom! I’ve already finished my homework.
お母さん、もう僕は宿題を終えたよ!
もう一つ例を挙げるとすると、「もうお昼ご飯は食べてしまったから、もう食べられない」みたいなことを言いたいときです。
例2:
ねえ、サンドイッチでも食べに行かない?
B: Oh. I have eaten my lunch already.
ああ、たった今お昼ご飯を食べちゃったよ(お昼ご飯を完了しており、その結果、今はサンドイッチが食べられない)。
また、完了してない場合にも同じような形態が使えます。この場合には、already などではなく、yet などがよく使われます。
例3:
ねえ、サンドイッチでも食べに行かない?
B: Oh, I cannot go. I have not finished my report yet.
ああ、行けないや。まだレポートが終わってないんだ(まだレポートが完了しておらず、その結果、今はサンドイッチを食べに行くことはできない)。
例4:
アキはどこだろう?
B: She has gone to Italy.
彼女はイタリアに行ってしまったよ(イタリアに行ってしまい、もう今はもう会えないという状態)。
あまり難しく考えることはなく「完成している、していない」「終わった、終わってない」「出発した」「出発していない」というような、完了したかどうかはっきりしているときに便利に使えます。なお、最後の例文の gone ですが、これは「もう行ってしまった」という場合に使います。一方、行ったことがあり、もう帰ってきた場合には、been を使います。これはまたあとで説明します。
経験を言い表す
さて次は経験を言い表す場合です。例えば、「ハワイに行ったことがある」なんて場合が該当します。そしてその結果、今の話題に乗れるわけです。あるいは、もう一度行きたいと思っているかもしれません。
経験を言い表す場合には、ever, never, oftenや、回数を表す once, twiceなどがよく一緒に使われます。
例を見てみましょう。
例1:
今までにイタリアに行ったことがある?
B: Yes, I have been to Italy.
はい、私はイタリアへ行ったことがあります。
例2:
来週ハワイに行くんだ。
B: Really? I have been there twice. I love Hawaii!
本当? わたし2回行ったことがある。ハワイ大好き!
例3:
フランス料理食べたことある?
B: Yeah. I’ve eaten French just once.
うん。一度だけ食べたことある。
例4:
僕はイタリアに行ったことがないんだ。
B: Oh. You should go. It is such a beautiful country.
それは行ったほうがいいよ。すごく美しい国だよ。
経験がなぜ完了形なのかというと、「そのような経験を今も有している」と過去の体験が、今に繋がるからです。その結果、話題に乗ることができたり、あるいはできなかったりと、今につながるわけです。
継続1:時間をかけて変わってきたこと
それでは最後に継続について解説します。これが一番わかりにくい部分かも知れませんね。
まず、継続を言い表すときには、Sinceを使って起点を示すか、for を使って期間を明確にします。また、「for 期間」という文型は、継続した時間の「長さ」を強調したいときによく使います。
We have been married for 20 years.
僕らは結婚して20年になる。
I have had a cold for two weeks.
もう2週間も風邪をひいている。
She has been in England for six months.
彼女は6ヶ月間イギリスに行っていた。
I have not seen her for 6 months now.
私は彼女にもう6ヶ月も会っていない。
一方 sinceを使う場合には、起点を示して、そこから現在まで継続している出来事を言い表します。
You have grown so much since the last time I saw you.
前回会った時から、ずいぶん大きくなったねえ。
The population of Japan has gone down by 1,66 million since 2008.
2008年以降、日本の人口は166万人も減少した。
His English has really improved since he moved to Canada.
彼の英語はカナダに移住してから、すごく向上した。
その他の使用例
さらにこの現在完了形、バタバタと立て続けに出来事が起きてめまぐるしい様子を伝えたい場合などにも便利です。日本語で言えば、「午前中だけで3つも会議があって疲れたよ〜〜」なんてことを言いたいときです。“We have already had 10 quizzes and 5 tests in this semester.” (今学期はもう10の小テストと5つのテストがあった)とか、“We have had so many problems since day one.”「初日から、次から次へとよく問題が起きた」という具合です。
過去形のときにもたくさんの出来事を連続して描写し、バタバタ感を表すことができるという話をしました。例えば “He arrived from the airport at 8:00, checked into the hotel at 9:00, and met the others at 10:00.” なんて具合です。現在完了形も感覚としてはこれと似ています。ただ、こちら方は過去形と違って、今もまだ継続している雰囲気を醸し出すことができます。例を見てみましょう。
The army has attacked the city five times.
陸軍はすでにその町を5回も攻撃した。
We have had a lot of problems since the beginning of the project.
そのプロジェクトの立ち上げ当初から、たくさんの問題が発生した(そして、今後も発生するかもしれない)。
She has talked to several specialists about her problem, but nobody has been able to pinpoint the root cause.
彼女はその問題について複数の専門家と話したが、誰も原因を正確に指摘することができていない。
「以前からずっとずっとやり続けてきた」と言いたい場合には?
では、「以前からずっとずっと休まずにやり続けてきた」というようなことを言いたいときには、どのように言えばいいのでしょうか?
実はそのような場合には、現在完了形よりも現在完了進行形を使ったほうがずっと表現しやすいのです。これについては、次回の記事でので解説します。
まとめ
現在完了形について2回に渡って書いてきましたが、次のような文章が、現在完了形の意味合いを端的に表してくれると思うのです。
What have you done for me lately?
あなたは最近私のために、いったい何をしてくれたって言うの?
What have I done to deserve this?
こんな目に遭うなんて、いったいオレが何したって言うの?
過去の出来事が今に影響を及ぼす。端的に言ってしまえば、現在完了形とはそのことを言い表すための文型です。
– 現在完了は、つまるところ「現在に繫がりがある過去の出来事」を言い表す文型です。
– 「完了、結果」とはつまり、何かを完了させた結果、今どうなったか言いたい場合などに使います(I can’t watch the movie tonight because I have not finished my homework yet.)。
– 経験を言い表す場合には ever, never, once, twice などの表現がよく使われます(I have never been to Italy. など)。
– 継続を言い表すときはsinceを使って起点を言い表すか、for を使って期間を言い表します(I have lived in Osaka since last summer. I have not seen her for 6 months. など)。
– 「トラブルつづきだなあ」なんていう具合に、「立て続けに出来事が起きている様子」を言い表すのにも、現在完了がよく使われます(we’ve had so many troubles since day one. ” など)。
それでは次の記事では現在完了進行形を解説します。
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