【英文法解説】過去進行形は「録画」です

前回の記事で、過去形というのは、今とは繋がりがない、過去の完結したイベントを表現する時に使われる「スナップショット」のような表現方法だと説明しました。

では過去形がスナップショットだとするならば、過去進行形は一体何に当たるのでしょうか? そしてどのようなときに使われるのでしょうか? この記事では、過去進行形を使って何が表現できるのかを説明します。

過去進行形は「録画」です

過去形がスナップショットだとするならば、過去進行形は「録画」と言ってもいいかもしれません。過去進行形を使うことにより、過去のシーンをより動的に表現することができるのです。

過去進行形は「録画」であるが故に、出来事の流れや、その時の雰囲気を言い表したりするのによく使われます。具体的には、次のようなときに使われます。

1. あるイベントが別のイベントによって中断されたとき
2.「ある特定の瞬間」になにをしていたか言いたいとき
3. 2つのイベントが同時並行で起きているとき
3. その場の雰囲気を表すとき

それでは順番に解説しましょう。

1. あるイベントが別のイベントによって中断されたとき

過去進行形は、「過去に進行していたイベント」を表現する方法です。その中でも、もっとも頻繁に使われるシーンは、「やっていたことを中断された場合」なのです。例を見てみましょう。進行中の出来事は過去進行形でいい表され、中断するほうのイベントが過去形で表現されます。

I was watching TV when she called.
彼女が呼んだとき、僕はテレビを見てきた。

When the phone rang, she was writing a letter.
電話が鳴ったとき、彼女は手紙を書いていた。

It started to rain while we were having a picnic.
ちょうどピクニックをしているときに、雨が降り出した。

What were you doing when the earthquake struck the area?
地震が襲ってきたとき、何をしていたの?

I was listening to music with my earbuds, so I didn’t hear the fire alarm.
イヤフォンで音楽を聴いていたから、火災報知器の音が聞こえなかった。

You were not listening to me when I told you to do your homework.
宿題をやるように言ったとき、あなたは聞いていなかった。

Someone stole John’s car last night while he was sleeping.
昨日眠っている間に、誰かがジョンの車の車を盗んだ。

Sammy was already waiting for us at the gate when our plane landed.
僕らの飛行機が着地したとき、サミーはもうゲートのところで僕らを待っていた。

A: What were you doing when you broke your leg?
足を折ったとき、一体何をしてたの?

B: I was snowboarding.
スノボをしてたんだよ。

2.「ある特定の瞬間」になにをしていたか言いたいとき

ある特定の時刻に何をしていたのかを言い表すときにも過去進行形がよく使われます。日本語でも同じですよね。例えば「昨日の10時には、借りてきたDVDを見てた」とか「今朝9時頃には、まだ電車に乗っていた」なんていう場合です。いくつか例を見てみましょう。

Last night at 6 PM, I was eating dinner.
昨晩6時ごろ、僕は夕飯を食べていた。

At midnight, we were still driving through the desert.
ちょうど真夜中頃、僕らはまだ砂漠を運転していた。

At this time yesterday, I was sitting at my desk at work.
昨日のこの時間、僕は職場で机に向かっていた。

「普通の過去形だって、特定の瞬間にやっていたことを言い表わせるんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。もちろんその通りです。例えば、“I ate dinner at 6:00PM last night. ” という表現はごく普通に用いられます。しかし、これだと「6時に食べている最中だった」という感じが出せないのです。

過去形はスナップショットですから、行為の最中ではなく「6時にちょうどに食べ始めた」とか、「6時ちょうどに食事が終えた」と言ったときには過去形の方が便利です。ちょっと過去形と過去進行形の両方の文章を並べて、雰囲気の違いを味わってみると、しっくり来るかもしれません。

過去形:
I started to eat at 6 PM last night.
昨晩6時に食事を始めた。

I just finished eating at 6 pm.
昨晩6時にちょうど食事を終えた。

過去進行形:
I was eating at 6 pm.
昨晩6時に食事をしていた。

3. 2つのイベントが同時並行で起きているとき

ひとつの文章の中で過去進行形を2つ繋げて使うと、2つのイベントが同時並行で起きていた様子を言い表すことができます。これもよくやる使い方です。

例文を見てみましょう。

I was studying while Mom was making dinner.
お母さんが夕飯を作っている間、僕は勉強していた。

While I was reading, Tim was watching TV.
僕が読書をしている間、ティムはテレビを見ていた。

I was singing while driving.
運転をしながら、歌っていた。

I wasn’t paying attention while the manager was talking.
マネージャが話している間、聞いちゃいなかった。

What were you doing while I was waiting?
俺が待っている間、お前は一体何をしていたの?

My wife wasn’t working, and I wasn’t working either.
私の妻は働いておらず、私も働いていなかった。

4. 場の雰囲気を表すとき

また、過去進行形を重ねて使うことで、「その空間」、「その時」の雰囲気を言い表すこともできます。

There were screaming teenagers running up and down the halls, slamming doors in the middle of the night, making life miserable for all the other customers in the hotel.
真夜中に大声をあげて廊下を走り回り、ドアをドタンバタン開け閉めしているティーンエージャーたちが、ホテルに滞在していた客たちを苦しめた。

テーンエイジャーたちがドッタンバッタンして、非常に不快な様子が伝わってきますよね。

When I walked into the office, the boss was yelling, several people were busily typing, some were talking on the phones and customers were waiting to be helped.

僕がオフィスに足を踏み入れたとき、ボスは怒鳴り散らし、人々は忙しくタイプし、ある者は電話で話しており、客たちは応対してもらうのを待っていた。

ドタバタしたオフィスの様子が伝わってきます。

まとめ

では過去進行形のまとめです。

– ある進行中の出来事が別の出来事によって中断されたときには、中断された方を過去進行形、中断したほうを過去形で表現する。 (I was taking a shower when you called.)

– 「ある特定の瞬間になにをしていたか」を表現する場合にも、過去進行形がよく使われる。(He was eating dinner at 7:00 AM this morning. )

– 2つのイベントが同時並行で起きていることを表現する。(He was reading a book while I was cooking.)

– 過去進行形を重ねることで、場の雰囲気を言い表すこともできる。(The lovers were kissing, the church bells were ringing and the children were smiling. )

では最後に、過去形と過去進行形だけを用いて、お話を書いてみましょう。

We were staying at this hotel in San Francisco on the night of Christmas Eve. The hotel was really decent and we enjoyed our stay for the most part. But there are some teenagers staying on the floor above. They were screaming, running up and down the hallway, slamming doors while we are trying to watch TV. We called the front desk and asked them to intervene. But there was no sign of the situation getting any better. So we ended up calling the police. We finally got back our quiet evening.

「私たちはクリスマスイブにサンフランシスコのとあるホテルに泊まっていた。割と良いホテルで、僕らはそこでの滞在を概ね楽しんでいた。しかし、上のフロアに何人かのティーンが宿泊していた。僕らがテレビを見ようとしている間、彼らは大声をあげ、廊下を駆け回り、ドアをバタンバタンと開け閉めしていた。私たちはフロントデスクに電話して介入するようにお願いしたが、状況がよくなっていく気配はなかった。仕方がないので、警察に連絡をした。僕らはようやく、静かな夕べを取り戻した。」

こんな感じで、お話を書いてみてください。過去形と過去進行形の使い分けが整理できると思います。

さてここまでで、現在形、過去形、そしてそれぞれの進行形を復習しました。次の記事では、未来形について解説したいと思います。

Brightureでの取り組み

Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の3つの授業で文法の理解を深めていきます。

Everyday Speech

英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。

クラス紹介:Everyday Speech

Writing Reviews

Writing Reviewsは、ブライチャーで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。

クラス紹介:Writing Review

Listening and Speaking

通常の英会話の授業では流れてしまいがちな文法のミスや不自然な言い回しを捕まえて、細かく修正を加えて来ます。

クラス紹介:Listening and Speaking

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。