【英文法解説】過去完了進行形って、どんなときに使うか知っていますか?

前回の記事では、過去完了形について説明しました。今回はさらに踏み込んで、過去完了進行形について解説します。

この過去完了進行形もまた、「いったいこれ、一体どんなときに使うの?」と思わせてくれる文型のひとつです。

まず、過去完了進行形って、過去進行形と何が違うんでしょうか? どんなときに“I was washing my car.“ と言わずに “I had been washing my car.” と言う必要があるんでしょう? そのあたりも見ていきたいと思います。

過去の過去から、より直近の過去まで続けていた

過去完了形というのは、「過去のある時点に繫がりのある、さらにもっと過去の出来事」を表現するための文型でした。

“James had cooked breakfast when we got up.” などはわかりやす例文です。朝起きてみたら(過去1)、 もうジェームスが朝ご飯を作り終えていた(過去2)、というわけです。

これが過去完了進行形になると、“James had been cooking breakfast before we got up.” 「僕らが起きるまで、ジェームスは朝ご飯を作り続けていた」というように、直近の過去まで継続していた出来事を表現できるのです。

「過去1」でジェームスは朝ご飯を作り始めて、「過去2」で僕らが目を覚ますまで、作り続けていた。そんな風景を言い表すのに適しているのが、過去完了進行形です。現在完了進行形を、過去にひとつ分ずらしただけと考えると、分かりやすいかもしれません。

現在完了進行形

過去完了進行形

さて説明はこのくらいにして、例文をたくさん見ていきましょう。

They had been talking for over an hour before Tony arrived. トニーが着くまで、1時間以上話し込んでいた。

She had been working at that company for three years when it went out of business.
会社が倒産するまで、彼女がその会社で3年間働き続けていた。

How long had you been waiting to get on the bus?
バスに乗るまで、どのくらい待たされたの?

Mike wanted to sit down because he had been standing all day at work.
一日中職場で立っていたので、マイクは座りたかった。

James had been teaching at the university for more than a year before he left for Asia.
ジェームスはアジアに旅立つまで、1年以上大学で教鞭をとっていた。

2つの過去の出来事の因果関係

過去完了進行形はこのほか、「あんなことしてたら、こんなふうになってしまった」とふうに、過去の2つの出来事の因果関係を示すのにもよく使われます。「彼女に貢がせていたら、愛想つかされた」「飲んでばかりいたら、悲惨な成績を取ってしまった」などなど、使い道はたくさん考えられます。さっそく例文を見てみましょう。

Jason was tired because he had been jogging.
ジェイソンはジョギングをしていたから、すっかり疲れてしまった。

Sam gained weight because he had been overeating.
サムは食べてばかりいたから、体重が増えてしまった。

Betty failed the final test because she had not been attending class.
授業をすっぽかしてばかりいたから、ベティは期末テストで落第してしまった。

過去進行形か、それとも過去完了進行形か?

さて、ここで疑問が湧いてくるかもしれません。いったいどんなふうに普通の過去進行形と、過去完了進行形とを使い分ければいいのでしょうか?  普通の過去進行形と過去完了進行形を理解するために、まずこの2つを比較してみましょう。

Jane was browsing the Internet when she suddenly noticed it was completely dark outside. 外がすっかり真っ暗になっていることにふと気がついたとき、ジェーンはネットサーフィンの真っ最中だった。

Jane had been browsing the Internet for about an hour when she suddenly noticed it was completely dark outside. ふと気がつくと、ジェーンが一時間ほどネット・サーフィンをしている間に、外はもうすっかり真っ暗になっていた。

この2つの文章で異なること、それは「暗くなったことに気がついた」タイミングです。上の過去進行形では、「ネットサーフィンしている最中に気がついた」感じですが、下の現在完了形だと、「1時間ほどネットサーフィンをした後に、気がつくと暗くなっていた」と、出来事の前後関係がハッキリしています。もう一例見てみましょう。

He was tired because he was exercising so hard.

He was tired because he had been exercising so hard.

両方とも和訳では「彼は激しく運動していたので、疲れてしまった」です。しかし、英語では受ける印象は違うのです。上の文章は「運動をしている最中に疲れてしまった」感じがするのに対して、後者の文章は「運動を一定時間続けていたので、疲れてしまった」という感じがします。運動はもう終わっているか、終わった直後でしょう。

過去進行形

過去完了進行形

別の言い方をすると、過去進行形というのは、「していたこと、起きていたこと」を強調したいときに重宝する文型なのです。対する過去完了進行形は、「3年間がんばって勉強し続け、その結果ハーバード大学に入れた」などという具合に、「いついつまで最初の出来事が続いていた」と、出来事の長さを強調できます。また、「何がが起きた後に別のことが起きた」とか「何かが起きたたら、こういう結果になった」などというように、イベントの前後関係や因果関係をハッキリさせたいときにも便利な言い回しです。

まとめ

ではまとめです。

– 過去完了進行形は「過去の過去から、より直近の過去まで続けていた」出来事を言い表すための文型(“They had been talking for over an hour before Tony arrived.” など)。

– 過去完了形は、過去の2つ出来事の因果関係を言い表すのに使いやすい(“Sam gained weight because he had been overeating.” など)。

– 過去の2つの出来事の前後関係や因果関係を言い表すときには、過去完了進行形が向いている(“They were talking for 3 hours before Justin arrived ” など)。

– ある過去の出来事がもうひとつの出来事によって中断された場合などには、普通の過去進行形のほうが分かりやすい(“Tony was cooking breakfast when we got up.”)。

新しい文法を習ったら、すぐに使ってみよう!

これは時制に限らないのですが、新しい文法のルールを覚えたら、すぐに実際に使ってみて自分の血肉になるまで練習しましょう。たくさんの例文を作ってみてもいいでしょうし、今回のこれまでに説明してきた過去形、過去完了形、そして今回の過去完了進行を利用すれば、かなり複雑な過去の物語を語ることもできます。

Tom had already been going to college in Boston for 2 years when he met Sally for the first time. They happened to sit next to each other at a small coffee shop. They started talking and Tom knew right there and then that he was falling in love. They eventually got married and moved to California after college. They had happily lived together until Tom past away last year. Who’s Tom and Sally? That’s your grandpa and grandma, and this is how they met.

「トムがサリーに初めて会ったとき、トムはもうすでに2年間ボストンに住んでいました。 彼らはたまたま小さなコーヒーショップで隣同士に座ったのです。 彼らは話し始め、トムはそこですぐに、彼が恋に落ちたことを悟りました。 彼らはやがて結婚し、大学卒業後にカリフォルニアに引っ越しました。 昨年トムが亡くなるまで、彼らは一緒に幸せに暮らしていました。 トムとサリーは誰かって? お前のおじいちゃんとおばあちゃんだよ。そして、これが彼らの最初の出会いだったのさ。」

Brightureでの取り組み

Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の3つの授業で文法の理解を深めていきます。

Everyday Speech

英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。

クラス紹介:Everyday Speech

Writing Reviews

Writing Reviewsは、ブライチャーで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。

クラス紹介:Writing Review

Listening and Speaking

通常の英会話の授業では流れてしまいがちな文法のミスや不自然な言い回しを捕まえて、細かく修正を加えて来ます。

クラス紹介:Listening and Speaking

オンラインにて無料体験レッスンを提供していますので、ぜひ一度受講してみてください。合わせて無料学習相談も行なっています。英語学習でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。