ショック療法で英語への意欲が急上昇――福岡工業大学との共同プログラム体験談――大学生のCさん

ブライチャーは、福岡工業大学と共同で英語研修プログラムを提供。8月20日から9月2日の2週間に渡って8名の学生を受け入れました。

参加者のCさんは、プログラム初日の厳しさに、体調を崩しかけるほどのショックを受けましたが、課題克服のために2週間奮闘。卒業を間近に控えた今「どうすれば英語が伸びるのかが、やっと分かった」と笑顔で話してくれました。

Cさん /20代 / 福岡工業大学3年生/ 2週間

語学の才能はゼロだと信じていた

英語の学習歴を教えてください。

中学・高校では英語は苦手でした。三単現もBe動詞もよく分からず、定期テストは一夜漬けして赤点を回避していました。大学でも英語の授業についていけず、「日本人なんだから、私が英語ができないのは当たり前。頑張っても無意味」と決めつけ、勉強を拒否してきました。

そこから、どうして真剣に英語を勉強しようと思ったのですか?

大学3年生になって、将来のことを考えたとき、プログラマーになるにしろ、ほかの仕事に就くにしろ、英語はできたほうが絶対によいと思うようになりました。

そのころ、大学の友人たちが、ハワイ大学の留学プログラムに参加し、英語の勉強に目覚めていくのを目にしたんです。特に仲の良い友人は、留学準備期間を含めた1年でTOEICのスコアを200点近くも伸ばすなど、英語に没頭するようになりました。そこまで変われるなら、私も海外で勉強してみたいと思いました。

交換留学や、個人で留学先を探す選択肢もあったと思うのですが、なぜGATE program に参加を希望したのですか?

海外に行った経験がなかったので、いきなり単身で留学するのは怖かった。でも、GATE program* なら、同じ大学の学生たちと集団で留学できる――何かあっても助けあえる安心感があったので、挑戦しやすかったんです。

*Gate Program: 福岡工業大学が将来世界で活躍する人の育成を目指して創設したグローバル人材育成プログラム、「Global Academy of Technological English (GATE) Program」の略称。

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初めての海外、セブに到着して、何を思いましたか?

イメージしていた場所と全然違いました。観光地のような綺麗な場所ばかりかと思ったら、雑多なエリアも多く、道端で寝ている人たちも目にしました。まだまだ経済発展途中なのだなと思いました。

登校初日はいかがでしたか?

大変でした。GATE program ではバディ・システムが導入されていて、生徒一人ひとりに、特定の先生がつき、学習面から生活面まで何でも相談できるよう配慮されていたのですが、顔合わせの段階で、バディの先生が何を言っているのかよく分からなかった。どうしよう、ってすごく不安になりました。

フィールドワークで、英語力の課題を痛感

初日の午後には、現地の人たちに街頭インタビューを行ったそうですね。

午後になって突然、松井博さんから「今からショッピングモール内の人たちに、日本についてどう思うか、インタビューしてきて下さい」と言われたんです。今まで英語を喋った機会なんてほとんど無いのに、フィリピン人に英語でインタビューだなんて、無茶だと思いました。バディの先生が一緒についてきてくれましたが、インタビュー中は自分ひとりでなんとかしないといけませんでした。

インタビューの手応えはいかがでしたか?

散々でした。とにかく、怖かった。まず、話しかけても嫌な顔をされるんです。たまに足を止めてくれる人がいても、伝えたいことがまったく伝わらない。相手が苛立つのが手に取るように分かりました。やっとのことで質問を理解してもらっても、今度は相手が何を言っているのかが理解できない。相槌すら打てず、気まずい雰囲気のままインタビューを終えることになりました。

もうあんな経験したくない――2週間必死に取り組む

インタビュー後、先生からどんな言葉をかけられましたか?

「暗い表情で思い詰めたように話しかけると、相手が怖がってしまう。もっと自信をもって堂々としないと、話を聞いてもらえない」とか、「THの音をSの音で発音しているから、”What do you think of Japan?” が “What do you SINK(沈む) of Japan?”と聞こえてしまい、相手が混乱している」など、気をつけるべきポイントを具体的に指摘されました。

ここまで英語でコミュニケーションが取れないのかと、本当にショックで、その夜は涙が止まらず、もう諦めて日本に帰りたいとさえ思いました。落ち込みすぎて、その後しばらく体調も優れませんでした。

でも、今思えば、このインタビューが私のターニングポイントになったんです。大きな声で、自信を持って話す重要性、きちんとした発音を身につける必要性を実体験から理解できたので、気持ちを立て直して以降は、指摘された弱点を念頭に置きながら、必死に授業に取り組めました。

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授業紹介:Phonics and Pronunciation

翌日以降の授業は、どのように進んでいきましたか?

発音の授業に加え、英語の表現を学びながら、グループになって、フィリピンについて先生にインタビューしたり、インタビューで得た情報を元に作文し添削を受けたり、プレゼンテーションしたりました。

先生たちはとても優しくて、文法がめちゃくちゃで上手く伝わらないときでも「もう一回言ってくれる?」と聞いてくれる。なんとか伝わったら、ちゃんとその後正しい文法での言い方を教えてくれるんです。それを毎日、何度も繰り返すと「この前も同じところを間違えたな」と思い出せる場面が少しずつ増えていきました。

ライティングのクラスでも、先生から毎日「こう言い換えたほうが自然だよ」「この表現のほうがシンプルで分かりやすいよ」と提案されたり、ミスを修正してもらえるので、宿題に取り組むときは「今日の授業では何を指摘されたっけ?」と気をつけられます。

インタビューとライティングを頑張り続けていたら、あるときフッと、習った表現が口から出るようになったんです。「私、いま英語伸びてる!」と気づいた瞬間でした。

「英語って、こんなふうに勉強すれば良いんだ!」「もしかしたら、私でもいつかは英語をものにできるかも!」と感じて、嬉しくなりました。

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授業紹介:Enhancing Expressions
授業紹介:Group Listening and Speaking

日本人とフィリピン人の金銭感覚の違いに衝撃を受ける

先生とのインタビューの中で、興味深い話は聞けましたか?

金銭感覚の違いが日本人と全く違うことに驚きました。フィリピン人は、あまり貯金をしないのだそうです。「明日死んでしまうかもしれないから、いつ死んでも後悔のないように、お給料は毎月使い切るんだ」と答えた先生もいました。価値観の違いに衝撃を受けました。

また、ある先生からは、フィリピン人があまり貯金をしないのは、カトリックの影響もあると教わりました。イエス・キリストはお金持ちが嫌い。貧しければイエスから愛されて、天国に行ける。だから貯金をするときは何かを買うときだけ。目的もなくお金を貯めることはしない、と。

逆に、日本について質問されることも多かったのではないですか?

先ほどのカトリックの話から、日本の信仰について尋ねられた際「日本は多神教の国。お米一粒にも神様が宿っていると考えられている」と教えると、先生たちは驚いていました。「だから日本人はご飯を残さないんだね」と納得してもらえました。文化的な違いをシェアできて嬉しかったです。

2週目のフィールドワークで、成長を実感

初日のインタビューからちょうど一週間後、まったく同じテーマで、再び街頭インタビューを行ったそうですね。

怖かったですが、前回で分かった課題を意識して臨みました。すると、相手の反応が嘘みたいに変化したんです。

まず、みんな興味を持って足を止めてくれるようになりました。質問をしても、前回のように何度も聞き返されたり、困惑されることも、ほとんどありません。まるで日本について話したくてたまらないかのように、どんどん情報を提供してくれたんです。

リスニング力の成長にも驚きました。相手の言っていることがきちんと理解できたんです。たった1週間前は、質問に答えているのか、断られているのかすら判断できなかったのに…..言っていることが理解できると、追加でさらに質問できる。ラリーが続いて話がはずみ、時にはインタビューとは直接関係のないトピックにまで話し込んでしまうことも。ここまで成長しているとは予想してなかったので、本当に嬉しかった。

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最大の収穫は、英語の勉強の仕方がわかったこと

GATE program に参加する前と較べて、何が一番変わりましたか?

前は、語学の才能はないと信じていたけど、私でもやればできるんだって気づけました。今は、英語をもっと伸ばしたい気持ちでいっぱいです。大学に戻ったら、ネイティブの先生に文法の質問をたくさんしたり、間違いを指摘するようお願いしようと思っています。

また、授業中はもちろん、休み時間も先生たちと交流することが多かったので、英語を喋る度胸がつきました。なんて言ったら良いかわからないときでも、とりあえず喋ってみる――喋ればなんとかなる、って思えるようになったんです。

本当に成長を感じた2週間でした。今日で日本に戻らなきゃいけないのが、本当に残念です。

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ありがとうございました。お疲れ様でした。