日本人の発音がネイティブに通じない5つの理由

読者の皆さんの中にも海外旅行や出張などで、発音が通じなくて困った経験がある人、たくさんいるのではないかと思います。コーヒーを頼んだつもりがコーラが運ばれてきたり、work と言ったつもりなのに walk と勘違いされたりなど、ごく簡単なことさえもなかなか通じないものです。

一体どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?

原因はいくつもありますが、端的に言えばこの記事で紹介する5つに集約されます。今日はこの「日本人の発音が通じない5つの理由」と、その解決方法についてお話しましょう。

日本語は超省エネ言語

まずなぜ日本人の英語が通じないのかをお話する前に、英語と日本語の根本的な違いを指摘しておきましょう。両言語の際立った特徴がわかると、攻略方法も自ずと見えてくるからです。

英語と日本語のもっとも端的な違い、それはエネルギーの消費量です。英語はガンガン息を使って抑揚をつけ、音声の高低も1オクターブくらい変化する、いわばエネルギー浪費型の言語です。一方日本語は、日本語は息をあまり使いませんし、大きな抑揚もつけません。また声の上げ下げの幅も大きくありません。一言で言えば、英語というのは燃費の悪いエネルギー消費型の言語であり、日本語というのは超省エネ型の言語なのです。ですから、英語を喋る際には、思い切って大きな声で、大げさに喋るくらいでちょうどいいのです。日本語をしゃべる要領で舌の位置や口の開き方だけを変えても、なかなか英語らしい響きにならないのです。海外在住年数が長い方の喋り方が、なんだか大げさに感じたことがある人も多いと思いますが、それはこう話さないと通じないからなのです。舞台の上で演劇をしているようなつもりで、思い切って大きな声で、大げさな身振り手振りで喋ることを心がけてください。まずこれが、英語を通じさせる第1歩です。

それでは、日本人の英語がなぜ通じないのかその理由を一つずつ解説しましょう。

理由1:声が小さすぎる

まず、日本人はおしなべて声が小さすぎます。私自身、自分が米国企業で働いたときにこれを何度も痛感しました。私自身は10代からアメリカに住んでいたのであまり苦労しませんでしたが、30代で初めて住み始めた会社の同僚や、時折日本から来る出張者は、どの方も発音以前に声が小さくて苦労していました。

逆に、多少発音が悪くても、比較的声の大きく、ゴリゴリと自分を押し出せる人たちはなんとかなるのです。声が小さいと、会議などでもまともに聞いてもらえません。日本やフィリピンなどで語学学校に通うと不思議なくらい通じますが、これは講師たちが日本人の声の小さいのに慣れているからです。あれは現実とはかなり異なりますので、とにかく大きな声で発声するようにしましょう。

なお、大きな声で発声するには、口や喉の中を大きく開き、音声をうまく共鳴させるのがポイントです。トンネルの中で声を出すと壁に反響して声が響き渡りますが、あれと同じ原理です。オペラ歌手が発声する様子などを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。

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理由2:リズムが間違っている

日本語と英語では音節が捉え方がかなり異なっています。また、カタカナ英語の影響も大きく、根本的にリズムが間違っていることが多いのです。いくつか例を挙げてみましょう。

マップ 〜2音節
map 〜1音節

ドッグ  〜2音節
dog 〜1音節、1拍

ホットドッグ  〜4音節
hot dog 〜2音節

トンネル 〜4音節
tun-nel 〜2音節

エネルギー 〜4音節
en-er-gy 〜音節

マクドナルド 〜6音節
Mc-Don-ald’s 〜3音節

私自身、McDonald’s(マクドナルド)がまったく通じなかった経験があります。 “tunnel” (トンネル)も通じませんでした。リズム自体が間違っていると、イントネーションなどいくら変えてもまったく通じません。逆にリズムが合っていれば、割と通じることが多いのです。

日本語は「母音」だけ、「子音+母音」、あるいは「ん(n)」をそれぞれ一つの音節と数えてリズムを作りますが、これに対して英語は、「母音」だけ、「子音+母音」、「母音+子音」、「子音+母音+子音」など、さまざまなパターンで音節を捉えるのです。また語尾につく母音 “e” は発音しない、などといったルールもあります。

例えばスタント(離れ業)という言葉は、4音節からなり、4拍子で発音されます。

SU-TA-N-TO 〜(1:子音+母音)+(2:子音+母音)+(3:N)+(4:子音+母音

一方同じ単語を英語で書くと “stunt” ですが、こちらはなんと1音節なのです。

Stunt 〜(子音+子音+母音+子音+子音)

こんなふうに音の塊の捉え方がまったく異なるため、日本語と英語とでは、リズムの付け方がまるっきり異なってしまうのです。そして英語は英語のリズムで発音しないと、やっぱり通じないのです。舌の位置とか音の上げ下げとかまずはどうでもいいですから、とにかく大きな声で、正しいリズムで話すことを心がけてみてください。

なお、これを改善する方法は比較的簡単です。不確かな単語は必ずネットで調べてみましょう。Syllable Dictionary (howmanysyllables.com) などのサイトで簡単に調べることができます。ちなみにこのサイトで調べてみると、Mcdonald’s は Mc-Don-ald’sの3音節であることがわかります。そしたら次回からは3拍子でこの単語を発してみましょう。グッと英語らしく聞こえるはずです。

3)母音を正しく発音する

大きい声で、正しいリズムで話しているのにそれでも通じなかったら、次は母音の発音に気をつけてみてください。ここもまた、日本人にとっては超難関です。日本語には母音が「あ・い・う・え・お」の5種類しかありませんが、英語には20種類もの母音があるのです。多くの人が、発音がよくわからない母音を日本語の「あ・い・う・え・お」のいずれかの音に当てはめて発音するか、あるいは舌を丸めて「英語風(?)」に発音していますが、日本語風に話しても、あるいは英語風に話しても、正しい音でなければ通じません。

母音の音を発するポイントはいくつかありますが、大切なのは舌をずっと下の歯の裏か歯茎の裏につけて、不用意にブラブラさせないことです。舌が浮いていると母音とはまったく異なる音になってしまうのです。「舌を浮かせて発する母音」というのは英語に存在しませんので、この点はくれぐれも気をつけてください。もう一つのポイントは、しっかりを口を開いて大げさに発音することです。英語は母音を中心にリズムをつけて話す言語ですし、日本語よりもずっと抑揚が大きい言語です。思い切って母音にアクセントを置いて強く発音すると、ようやく英語らしく聞こえてきます。ブライチャーに来るみなさんも、ここを徹底的に直されます。そして母音が引き立って来ると、俄然英語らしく聞こえるようになります。

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4)余計な音を混ぜない

また、必要のない音を混ぜてしまっている人もたくさんいます。まず良くあるのが、カタカナ英語に引きずられて不必要な母音を混ぜるケースです。例えばcatという単語には母音は “a” 1つしかないのに、 cat-to のように不要な “o” を足してしまうのです。John and Bill などと言おうとして、 “John ando〜 Bill” などのように不要な “o” を付けた上に、”o” を長く伸ばしてしまう人さえいます。

また先ほどお話したように、日本語にはない母音を出そうとして、舌を丸めてまったく間違ったRのような音を発する人も非常に多いです。おそらく3人に1人くらいはやっていますし、アメリカに10年以上住んでいる人でもざらにやっています。

余計な母音やRの音を混ぜる癖は、矯正が非常に難しいです。まず第1に、ほとんどの人が自覚していないからです。そして、自覚していない癖は実に直しにくいものです。なかには自分では英語らしい音を発しているつもりの人もいるので、指摘すると気分を害してしまい、素直に矯正に取り組んでもらえないこともあります。

さらに、長年それを正しいと信じて自分で練習を繰り返してしまった人もいます。こういう方は本当に強固に癖がついており、矯正に長い時間がかかります。

もしも自分にこうした癖があるのに気がついたら、きちんとした発音教室に通い、しっかりと矯正してください。自己流で改善するのはほぼ不可能です。

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5)子音が正しく発音できていない

通じない原因の最後の一つは、子音が正しく発音できていないことです。l、r、th、w、y、v、f、h などが特に難題です。ただ、これらの音よりも上の1)〜4)までの方がよほど重要で、それらができていないと、子音の音が出ていてもとにかく悲しくなるほど通じません。発音矯正というとみんなこの子音の矯正ばかりに目が行きがちですが、それだけで通じる発音は身につきません。ここで紹介した1)〜5)のすべての要素をしっかりと鍛えていきましょう。

なお、この1〜5の中で、この5番目の子音は一番学習しやすいです。発声のメカニズムがわかれば、誰でも必ず発音できます。もちろんそれを定着させるのには時間がかかりまますが、音を発すること自体は決して難しくありません。

リンキングは後回しでいい

なお、リンキング(リエゾン)はとりあえず気にしなくても大丈夫です。リンキングを知るとリスニングに役立ちますが、別にできなくても、この1〜5番がしっかりできていれば必ず通じるからです。基礎ができた上で「もう少し滑らかに話せたらな……」と感じてからリンキングに取り組んでも、決して遅くありません。むしろ、そのくらいになってから取り組んだ方が、最初から正しい音を繋げることができますから、変な癖をつけなくて済みます。たいして日本語がうまくない外人が、無理して「べらんめい調」で話しても奇異に聞こえるのと同じで、まずは基本をしっかりと押さえてみてください。

リンキング(またはリエゾン):英語では、文章中の2つの単語が連結して音が変わる現象がよく生じます。この現象をリンキングと呼びます。リンキングの知識はリスニングには必要ですが、発音するぶんにはまったく必要ありません。

さて、いかがでしたでしょうか? 以上が日本人の発音は通じない理由5つと、その解決方法です。きちんと正しい発音を学びたい方は、ブライチャーにぜひどうぞ! 丁寧に指導させていただきます。

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。