仮定法その4:学校では深く習わない、ちょっと変則的な仮定法のパターンを紹介します

過去3回にわたって、仮定法を解説しました。第1回目は最もよく使う4パターン、その次は「現実的なシーン」に使う4パターン、そして3回目はファンタジーを言い表す4パターンを紹介しました。

今回は、現在や未来の状況に応じて、「こうなるのならば、ああしておけばよかったな…」と思いを馳せるパターンです。あまり馴染みのない使い方ばかりですが、応用篇という位置付けで捉えてください。

1. 今がこうなるなら、過去は…というif

現在置かれた状況に対し、過去の行動を後悔することがあります。例えば「今週こんなに忙しくなるなら、先週のうちに休みをとっておけばよかった」などです。この場合には、次のような形になります。

条件: 過去形
主節: would/should/could + 現在完了形

If I were going to be this busy this week, I should have taken last week off.
今週こんなに忙しくなるのなら、先週のうちに休みをとっておけばよかった。

先週あたりには、まだ今週も暇になると思っていたのに、予想に反して忙しくなってしまい、「それなら、先週のうちに英気を養っておけば良かった…」という状況です。つまり、現実の未来が、過去の予想と食い違っていたのです。

If my new boss were going to be a jerk, I would have left my job.
新しい上司がこんな嫌な奴になるなら、さっさと仕事を辞めてたよ。

「うわ〜。こんな嫌なやつが上司になるなら、退職しちゃえばよかったよ」というパターンです。これも、上司の就任以前には、まさかこんなに嫌なやつが上司になるとは予想していなかったため、退職しておらず、そのことを後悔している状況です。つまり、過去に予想していた現在と、現実の現在が食い違っている状況です。

If I were rich now, I would have bought that Ferrari we saw yesterday.
もし私が今お金持ちだったら、昨日見たフェラーリを買っていただろう。

これは例えば、友達に「昨日フェラーリを見たんだけどね、あれ、今俺がリッチだったら速攻で買ってるわ」と言っているイメージです。でも残念ながら、現実には今リッチではないため、昨日見かけたフェラーリを買うわけにはいかなかった状況です。

If I did not have to fly home this week, I could have signed up to the new project.
もし今週、飛行機で帰省する必要がなければ、新しいプロジェクトを引き受けることができたのに。

これは、本当はプロジェクトを引き受けたかったのだけど、何かの都合で帰省しなければならないため、諦めたような状況です。

まとめです。

2. 未来がこうなるなら、今は…というif

さらに、「もし今夜デートだったら、今頃ウキウキなのに」のように、「未来がこうなるのなら、今頃なあ…」と嘆く場合もあります。思い描くのは、実際にはありえない未来です。この場合には、次の形になります。

条件: 過去形
主節: would + 現在形

いくつか例を挙げてみましょう。

If I were going on a date with him tomorrow, I would be very excited.
もし明日、彼とデートだったら、とてもワクワクしてたでしょう。

実際には明日デートの予定はないため、今ワクワクしていません。

If Sandy were giving a graduation speech tomorrow, she would be very nervous.
もしサンディが明日卒業式のスピーチをするとしたら、彼女はとても緊張するだろう。

実際には明日サンディは明日の卒業式でスピーチをする予定はないため、彼女は緊張していません。

If I weren’t playing football tomorrow, I would go out to a party now.
明日、サッカーの試合がなければ、今すぐにでもパーティーに出かけたいですね。

実際には明日試合の予定があるためパーティに出かけることはできません。

If Julia had a test next Monday, she would be studying for it right now.
もしジュリアが来週の月曜日にテストを受けるのであれば、彼女は今そのための勉強をしているでしょう。

実際には月曜日にテストが予定されていないため、現在は勉強していません。

3. 未来がこうなるなら、過去は…というif

さて最後は、「もし今週末に両親が来ないのだったら、パーティーを計画していただろう」のように、「未来にこんな予定がなければ、過去にこうしていたのに」というパターンです。ただ実際にはすでに予定があり、ありえない未来です。この場合には、次の形になります。

条件: 過去形
主節: would + 現在完了形

If I weren’t going on my trip next week, I would have accepted that new assignment.
もし来週、旅行に行かなかったら、新しい仕事を引き受けていただろう。

If my parents weren’t coming this weekend, I would have planned a party.
もし今週末に両親が来ることになってなければ、パーティーを計画していただろう。

If his sister weren’t visiting this weekend, he would have come on this trip with us.
もし彼の妹が今週末に来なかったら、この旅行に一緒に来ていただろう。

まとめです。

練習しよう!

では最後に、練習してみます。

次の日本語は、どのように表現できるでしょうか?

直訳したり、翻訳ソフトに使ったりせずに、「自分ならこういう場合には、どんなふうに言うだろうか?」と考えてみてください。

1. 今がこうなるなら、過去は…というif

1. 今日晴れになるのなら、家に傘を置いてくればよかった。

2. 今週こんなに暇になるんだったら、先週に2、3日の休みを申請しておけばよかった。

3. セールが今日から始まるなら、昨日あんなに買い込むんじゃなかった。

2. 未来がこうなるなら、今は…というif

4. もし明日デートだったら、今頃新しい服を買いに行ってるだろう。

5.もし来年から留学だったら、今頃は何をしているだろう?

6. もし来週からスキー旅行だったら、今頃は準備で忙しかったろう。

3. 未来がこうなるなら、過去は…というif

7. もし来週、両親が訪れる予定がなければ、スキー旅行の予約をしていたのに。

8. もし週末が雨の予定でなければ、彼女と旅行を計画したのに。

9. もし明日が試験だったら、先週からずっと勉強だっただろう。

解答

では解答です。一つの解答例と考えて、参考にしてください。絶対の正解ではなく、他にも言い方がいろいろあり得ます。なので、これに囚われないようにしてください。

1. If it was going to be sunny today, I should have left my umbrella at home.
今日晴れになるのなら、家に傘を置いてくればよかった。

こういうシチュエーションことって実際によくありますよね。「雨になるなら、車でくればよかった」などなど。なので、文型ごと覚えてしまってもいいくらいです。

2. If I was going to have this much free time this week, I should have applied for a couple of days off last week.
今週こんなに暇になるんだったら、先週に2、3日の休みを申請しておけばよかった。

職場でやることがない少ない暇な状態のときは、

We got some free time.
I got some time at my hand.
I got some cycles to spare.
We have so little to do.

など、さまざまな言い方があります。

ここでは比較的原文に忠実に“If I was going to have this much free time” としましたが、 “If I was going to have this little to do” とした方が、より自然です。また、「2、3日の休み」はここでは “a couple of days off” としましたが、より正確に、 “2, 3 days off” としてもいいでしょう。この辺りは好みです。

3. If the sale were starting today, I shouldn’t have bought so much stuff yesterday.
セールが今日から始まるなら、昨日あんなに買い込むんじゃなかった。

普通、セールは “They are having a sale” などのように不定冠詞 “a” がつきますが、ここでは、「ああ、例のあのセールが今週から始まるなら……」というニュアンスを出したかったので、the sale としました。 “so much stuff yesterday.” の stuff は別になくても自然な文章です。とってしまってもいいでしょう。

4. If I had a date tomorrow, I’d probably be out shopping for new clothes right now.
もし明日デートだったら、今頃新しい服を買いに行ってるだろう。

デートだったらは、 “If I was going on a date” でもいいです。「服を買いに行く」は “I’d be shopping” でもいいですが、 “I’d be out shopping” としたほうが、「服を買いに出掛ける」という感じが出ます。

5. If I were to start studying abroad next year, what would I be doing now?
もし来年から留学だったら、今頃は何をしているだろう?

本当は来年から留学の予定だったけど、コロナでキャンセルになってしまった。そんな状況で言いそうな文章です。そういう感じのニュアンスを出したければ、この冒頭のところは “If I were still going to study abroad next year” などとしてもいいかと思います。

6. If we were going on a ski trip next week, we would have been busy preparing for it by now.
もし来週からスキー旅行だったら、今頃は準備で忙しかったろう。

こちらもまた、「スキー旅行に行く予定だったが、なんらかの事情でキャンセルになってしまった。でももし予定通り行くとしたら、今頃は準備で忙しかったね」という感じです。

7. If my parents weren’t planning to visit me next week, I would have booked a ski trip.
もし来週、両親が訪れる予定がなければ、スキー旅行の予約をしていたのに。

冒頭の部分は “If my parents weren’t visiting me next week” でもいいでしょう。予約には “make an appointment”、 “make a reservation”、 “book” の言い方があります。 “make an appointment” は医者や弁護士など人に会う約束を取り付ける場合、“make a reservation”はレストランのテーブルやホテルの部屋を確保するとき、そして “book” は、旅行やフライトなどを予約する場合に使うのが一般的です(イギリス英語ではまた少し違います)。

8. If it weren’t supposed to rain this weekend, I would have planned a trip with her.
もし週末が雨の予定でなければ、彼女と旅行を計画したのに。

天気予報で週末の雨が確実視されているような状況ですね。特に難しいところはないかと思います。

9. If I had the exam tomorrow, I would have been studying all last week.
もし明日が試験だったら、先週はずっと勉強だっただろう。

冒頭の「もし明日が試験だったら」は、 “If tomorrow were the exam” と直訳しても、口語なら自然で、少しもおかしくありません。

生きた英語にたくさん触れよう!

今回は仮定法の架空の話をするパターンを紹介しました。

ただ、この記事を読んだり、ちょっと問題集を回すくらいでは、実際の会話のシーンで、仮定法を淀みなく使えるようにはなりません。実際の会話では、「if の後にwould + 現在完了が来たから、これは過去のたらればの話だな」などと考えていると、あっという間に取り残されてしまうからです。

聴いた英語がそのまま即座に理解できるようになるには、まず大量の英語を読んだり聴いたりして、これらの文型に何度も遭遇し、文型や語感の違いを感覚的に捉えていく必要があります。また、この際に触れる英語は教科書や問題集の例文ではなく、Podcast や YouTube ビデオや洋書など、あくまでネイティブ向けに作られたコンテンツを意識してください。これ、本当に重要です。

参考記事:「問題集の反復」と「多読多聴」、実際の会話に役立つのはどっち ?

騙されたと思って、ぜひ地道に大量の英文に触れ続けてください。

Brightureでできること

Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の2つの授業で文法の理解を深めていきます。

Reading and Writing

Brightureで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。

レッスン内容:Reading and Writing

Daily Conversation

日常会話でよく使う言い回しを学ぶクラスです。こうした初歩的な言い回しも丁寧に指摘してくれます。

レッスン内容:Daily Conversation

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