【英文法解説】canの過去形、未来形

前回の記事では、意外に知られていない、canの5つの用法を解説しました。また、どんなときにcanをbe able toに置き換えられるかを説明しました。

さて今回は、canを過去形、未来形にする方法をお話します。

canを使った文章は、couldにすれば過去形になる?

生徒さんたちの英会話を聞いて驚くこと、それは、かなり上級者の方でもcanの過去表現を間違えることです。本当に多くの方が漠然とcanをcouldに入れ替えてしまうため、正確な意図が伝わらないのです。未来形では誤解を招くことは少ないのですが、それでも時折不自然な表現を耳にします。

Be able toを使って過去形や未来形を作る

さて、canを過去形にしようと、ついcouldを使いたくなりますが、まずはぐっと我慢して、be able to を使えないかを考えてみます。

be able toならば、was/were able toで過去形になりますし、will be able to/be going to be able to で未来表現もできます。

そうは言っても、前回の記事で紹介した「能力」「機会」「許可」「お願い」「可能性」の5つのパターンすべてでbe able toが使えるわけではありません。場合によってはcanのままのときもありますし、couldを使った方がいい場合もあります。順番に解説します。

1.能力を表す

能力を表すcanを過去・未来にする場合、 be able to に入れ替えるのが自然です。

I can play tennis.

I am able to play tennis.

この2つはどちらも「僕はテニスができる」という意味です。

でも、現在形のときにはわざわざbe able toに言い直しません。無論、強調したいなどの理由でbe able toを使うこともありますが、基本的にbe able toは、「過去形か未来形」で使うと考えてください。

例えば「若いときにはテニスができたけど、今はもう歳をとってしまってできない」などという場合には、is を was に言い換えます。

I was able to play tennis when I was young, but I am too old for that now.
若い頃はテニスができましたが、今や歳を取りすぎてしまいました。

でもこのときにcanをcouldにして

I could play tennis.

としてしまう人が多いのです。でもこれだと、過去に能力を有していたのか、可能性があったのか判別がつきません。ですので、過去の能力に言及したい場合には、必ず was/were be able to と言います。なお、couldも完全に間違いではないのですが、可能性を言い表すことが一般的なので、誤解を避けるためにも使わないほうが無難です。

なお、未来形も同様です。canを be able toに置き換え、その前にwillか、be going toを使います。そうすると、こんな表現ができます。

If you keep practicing every day, you will be able to swim before the summer ends.
もしもあなたが毎日練習と続ければ、夏が終わる頃には泳げるようになるだろう。

If I continue studying at this pace, I am going to be able to speak English fluently.
もし僕がこの調子で勉強を続けたら、やがて英語がペラペラに喋れるようになるだろう。

2.機会を表す

過去の機会を表現したい場合もbe able toを使います。

My parents were out of town yesterday. So my girlfriend and I were able to stay overnight.
昨日は両親が留守だったので、彼女が泊まりに来ることができた。

これもまた日本人が割とcould にしてしまいがちなところなので、気をつけてください。couldが完全な間違いではありませんが、今度は「機会」と「可能性」のどちらか区別がつかないので、なるべく避けます。ただし、否定形のときには be not able to でもcould not でもあまり違和感がありません。

We weren’t able to play the final game as the city was hit by the storm last night.
昨晩は町が嵐に見舞われたので、最後の試合ができませんでした。

We couldn’t play the final game as the city was hit by the storm last night.
昨晩は町が嵐に見舞われたので、最後の試合ができませんでした。

なお未来形の場合には、canのまま言い換えないことが多いです。もちろん、will be able to などに置き換えることもありますが、あまり意識する必要はありません。下の2つの例文はニュアンス的には特に違いはありません。

I’ll have some free time tomorrow. I can talk to her then.
明日は時間があるから、その時に彼女と話せるよ。

I’ll have some free time tomorrow. I will be able to talk to her then.
明日は時間があるから、その時に彼女と話せるよ。

3. お願いする

お願いというのは基本的にその場でその時にするものなので、過去形や未来系の場合を考える必要がありません。というわけで、これは割愛します。

4.許可する・される

前回の記事でも紹介した通り、許可する・される場合にもcan を使います。

You can play video games now.
今テレビゲームをしてもいいよ。

Can I drive your car?
あなたの車を運転してもいいいですか?

過去形にしたいときには be able toには置き換えず、代わりにallowまたは be allowed toに置き換えます。また、letを使うこともあります。

I allowed him to play video games last night.
昨夜はテレビゲームをさせてあげました。

We let our employees go home early last night.
昨晩は社員を早く帰宅させました。

否定形にする場合も同じです。

I didn’t allow him to play video games last night.
昨夜はテレビゲームをさせませんでした。

We didn’t let our kids use their smartphones last night.
昨夜は子供らにスマホを使わせていませんでした。

自分たちが許可を受けたなら、受動態にして be allowed toを使います。

We were finally allowed to go home.
ようやく家に帰らせてもらえることになった。

He wasn’t allowed to leave home for the whole week.
彼は一週間、家を出ることを許されなかった。

ただ、許可を受ける側の視点では、なぜかあまりletを使いません。 “He was let to go home.” などと言えなくもないですが、どこか少し不自然な感じがします。

Letを使うのは、許可するというよりも、これまで理不尽に拘束していた人を自由にさせるような場合にのみ使う感じです。例えばこんな感じです。

He was finally let go.
彼はようやく釈放された。

He was finally let into the country.
彼はようやく入国を許された。

いずれにせよ、許可のcanをcouldにして使うことはありません。

未来形の場合は特に言い換えをせず、canのままで使う場合が大半です。

I can drive my father’s car while he is out of town next week.
来週は父が留守の間、父の車を運転できる。

You cannot invite your girlfriend to the house while we are away for the weekend.
週末の留守中に恋人を家に誘うことはできません。

ただ、will allow/will be allowedなどのように言い換えても大丈夫です。

We will allow you to drive our car next week.
来週は僕らの車を運転することを許可します。

We will be allowed to go home next week.
来週には帰省させてもらえることになりました。

5.可能性を表す

そして最後が、可能性を表す場合です。このときには、canを過去形にしてcouldを使うことが多々あります。ただ大抵は、could + have + 過去分詞で、完了形にして使うのが普通です。ただ単にcouldだけでも使えなくはありませんし、文脈次第では使うこともあります。ただ、なんとなく漠然と使うと焦点がボケがちですので、気をつけてください。

John could have studied harder, but he did not.
ジョンはもっと勉強することができたのに、そうしようとしなかった。

He could have been dead.
彼は死んでいてもおかしくなかった。

なお未来形は can または could の両方で行けます。ただし、couldは過去形としての解釈される余地があるので、文脈に気をつける必要があります。このほか、may や mightなども使えます。「(まだ起きていないけど)〜の可能性がある」という感じになります。

He can be the winner.
彼は勝者になれる。

He could win the race.
彼はレースに勝つことができるかもしれない。

He may just pull it off.
彼は、成功させるかもしれない。

She might just make it.
彼女は成功するかもしれない。

これらの助動詞にはまた細かいニュアンスの違いがありますし、助動詞の過去形だけでまた別の記事が必要なくらいバリエーションがありますので、今回はこのような言い換えが可能だというところに留めておきます。

まとめ

では最後にまとめです。ややこしいので表にしてみます。

新しい文法を習ったら、すぐに使ってみよう!

これはcanの使い方に限りませんが、新しい文法のルールを覚えたら、すぐに実際に使ってみて自分の血肉になるまで練習しましょう。最後に今日紹介した言い換えを使って作文してみます。

Mike has always been a great swimmer. He was the fastest kid on the high school swim team and was able to swim faster than anyone that we knew of. In 2018, He won the high school nationals in 200m freestyle by setting a new national record. Everyone thought Mike could make it to the Olympics. But He got very sick 2 days before the Tokyo Olympic trial and wasn’t allowed to compete in the race.

But now that the Olympic is officially postponed until 2021, there can possibly be another Olympic trial in early 2021. Mike knows that he could have won the last trial, so he is putting everything he’s got and training really hard every day. We think that he may just win the 2nd trial and get his ticket to Tokyo.

マイクは昔から水泳が得意でした。彼は高校の水泳チームでも一番速い子で 、誰よりも速く泳ぐことができました(過去の能力)。2018年には、200m自由形で高校新記録で優勝。誰もがマイクがオリンピックに行けると思っていました(過去の可能性)。しかし、彼は東京オリンピックのトライアル2日前に体調を崩してしまい、レースに出場さえ許されませんでした(許可)。

しかし、オリンピックが2021年まで公式に延期された今、2021年の初頭に、もう一度オリンピックトライアルが行われる可能性があります(未来の機会)。マイクは選考会で勝てたであろうことが自分でもよくわかっており(過去の可能性)、毎日全力でトレーニングに励んでいます。僕らは、ひょっとすると彼が第2回目のトライアルで優勝し、東京行きのチケットを手にするのではないかと思っています(未来の可能性)。

こんな感じでcanをうまく使いこなすだけで、普通にこなれた文章を書くことが可能です。逆にいうと、canなどのような基本的な助動詞をナチュラルに使いこなせることは、それだけ重要であるとも言えます。

Brightureでの取り組み

Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の3つの授業で文法の理解を深めていきます。

Everyday Speech

英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。

Reading and Writing

Reading and Writingは、ブライチャーで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。

Listening and Speaking

通常の英会話の授業では流れてしまいがちな文法のミスや不自然な言い回しを捕まえて、細かく修正を加えます。

それぞれのクラスについては、こちらのページをご覧ください。

My Brightureのレッスン内容

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。