13 6月 TOEIC対策に必要な英語と、コミュニケーションに使える英語は別物です
「TOEICで高得点を取ったら、次はいよいよ実際に使う練習をしよう」
こんな風に考えて、TOEICで高得点を得てからBrightureにやってくる人がたくさんいます。そこで初めて自分があまりにも話せないことに気が付いて、愕然とする人も少なくありません。TOEIC900点って実際かなりやりこまないと取れない点数ですから、ショックなのはよくわかります。
しかし、テストが高得点でもしゃべれないのは、実は不思議でもなんでもありません。テストで高得点を取るのに要求される英語力と、実戦で必要な英語力には、大きな隔たりがあるからです。これはTOEICに限らず、入学試験、英検、TOEFLなど、全てのテストに対して言えることです。
もしもあなたの英語学習の目的がテストで高得点を取ることだけでしたら、それはそれで目的に適っているわけですから、何も気にする必要はありません。テスト対策に邁進しましょう。実際問題、TOEICの点数で足切りする企業は少なくありませんし、英検準1級があると大学受験の際の英語テストが免除される学校もあるようですから、テスト対策をまったくしないというのも現実的なオプションではないでしょう。
ただ、実際に英語を使えるようになりたいのであれば、試験対策をしても話せるようになるわけはないことは知っておいても良いでしょう。それどころか、むしろ足かせになる可能性さえあります。
ではどうして、テスト対策を先にすると話せなくなってしまうのでしょうか? また、どのような順番で勉強すれば「話せること」と「試験で高得点を取れること」をある程度両立できるのか、具体的に考えてみたいと思います。
テスト対策を優先する弊害
「まず文法をきちんと身につけ、次に必要な語彙を蓄え、その後に覚えたことを使う練習をすれば話せるようになるはずだ」
多くの人はこんな風に考えて勉強を始めます。つまり、
1)正確な文法とテストに必要な語彙の獲得
2)流暢さ
という優先順位です。
TOEICの勉強に使われる問題集や参考書はすでに定番が確立されています。多くの人が「瞬間英作文」に「DU03.0」「一億人の英文法」そして「TOEIC公式問題集」をグルグルと回します。実際、TOEICで高得点を目指すなら、これ以上効率的なやり方はないでしょう。多くの人が数年以内に800点以上の点数を叩き出します。
するとどうなるか? まず、TOEICで高得点を出すのにかかった年数分だけ、流暢さの獲得が確後回しになります。それで済めばいいのですが、TOEIC高得点が目的化してしまい、2)の「流暢さの獲得」に、結局たどり着かない人さえいます。
そしてある日ついに話す練習を始めると、なまじ文法の知識が豊富なだけに自分の間違いにすぐに気がつき、萎縮して言葉が口をついて出てこなくなってしまうのです。現実には少しぐらい間違ったところで意思の疎通は十分に図れるのですが、知識があることがかえって裏目に出てしまうのです。
またさらに、テストなどに頻出する単語や言い回しと、日常生活でよく使う表現はかなり差があるため、いざしゃべろうとすると、適切な言い回しがとっさに出てこないのです。散々相手を待たせた挙句、文法的には正しいのに、なんともチグハクなな英文が出てきたり。フィラー(「あ〜、う〜」などと言った意味のない音)があまりにも多いため、何を言ってるのかわからなくなってしまうこともあります。
また、日本の受験対策をやりこんだ人だと、妙にこねくり回した複雑な文体で喋ろうとする人も少なくありません。これは書き言葉も話し言葉も同様です。結果として相手に通じません。
さらに発音に関していえば、上級者も初心者もほとんど差がありません。誰も発音を習ったことがないから致し方ありません。
ですから、この順番で勉強すると、どうしても流暢に話せるようにならないのです。
まずは流暢さを!
私のオススメするのは、まずは流暢さを獲得することです。順番としてはこのようなイメージです。
1)流暢さ
2)必要な語彙や言い回しの獲得
3)正確な文法
まず最初は、僕らが普段日本語でどんな話をしているのか考え、それを英語でスムーズに言えるようになることを目指します。ではここで、普段何を話しているのか、少し考えてみましょう。なるべく簡単なことからスタートです。
ステップ1〜現在形
まず挨拶をしますよね。
初対面ならば自己紹介をするでしょう。
名前、性別、年齢、趣味、好きな食べ物、嫌いな食べ物、家族構成、出身地、仕事、習慣。そんなところでしょうか? これらはすべて現在形で表現可能です。
とりあえず少しずくらい文法を間違ってもいいので、通じる発音で、滑らかに即答できるように訓練していきます。一度作文して、それを丸暗記しましょう。なお、作文したら必ずネイティブか、ネイティブに限りなく近い人に見てもらい、使用頻度の高い、自然な言い回しに直してもらいます。そしたらスカイプ英会話や Language Exchange などを利用して、ドンドン使っていきます。発音を見てくれる人がいるなら、最初から通じる発音を目指しましょう。カタカナ発音ではダメなのです。
次に、相手にも同じようなことを尋ねる練習もします。これも作文してネイティブ・チェック、そして丸暗記です。これで現在形の肯定文と否定文、そして疑問文がスムーズに言えるようになります。
ステップ2〜過去形
現在形がクリアできたら、次に過去の出来事を言えるようになりましょう。
昨日やったこと。週末やったこと。やろうと思っていたけど、やれなかったことなどなど。
もちろん同じことを相手に訊けるように疑問文も練習します。こちらもネイティブ・チェックで丸暗記します。これで過去形の肯定文と否定文、疑問文が言えるようになります。
ステップ3〜進行形
そしたら次はやっていたこと、やっていることを話します。つまり現在進行形と、過去進行形ですね。
例えば昨日やっていたこと。今やっていること。あるいはやっていないことでもいいでしょう。
もちろん否定文も肯定文も、そして疑問文も覚えてしまいます。必ずネイティブチェックを入れ、発音も通じるレベルを心がけます。
ステップ4〜未来形
そしたら次は未来の話です。
来週の予定。将来の夢、明日の今頃は何をしているか、などなど。
疑問文もセットでマスターします。これで、未来形、未来進行形の否定文、疑問文などが言えるようになります。
ステップ5〜「たら、れば」の話
最後は仮定法です。
「たら、れば」の話もできるようになります。
これで仮定法、仮定法過去が扱えるようになります。
ここまでクリアしたらだんだん文章の複雑さを増やしていって、3単元とか関係代名詞とか、完了進行形とか付加疑問文などをクリアしていけばいいのです。あくまで会話の中で滑らかに扱えるパターンを増やしていくのが大きなポイントです。
なお、受験に出てくるような複雑は文型は全く必要ありません。会話では短い文章を、and, then, but, because, so that, therefore などといった接続語を使って繋いでいくことの方が多いからです。とにかく通じればいいんです。ここが原点です。
とにかくスピーディに発話できることに重きを置き、文法の修正はある程度の反応速度が身についてからにします。最初から文法の正誤にこだわると、どうしても意識過剰になって反応速度が上がらなくなるからです。三単現なんて間違っていて構いませんので、どんなに遅くても2秒以内の反応すること、そして途中であまり詰まらずに話せるようになることに重きを置きます。
ちなみにTOEIC900点の方ですら、話し始めにはしどろもどろになって “He do.” などと言ってしまうものですが、そんなのは気にすることはありません。要するに一種の反射ですから、簡単な文章でいいので、パキパキ答えられるように訓練していきましょう。
単語や言い回しを増やしていこう!
ここまできたら、次は単語を置き換えて、話せるネタをどんどん増やしていきます。こんな時に役立つのが多読、多聴です。子供向けの書籍や番組でいいので、いろいろなコンテンツに接して、会話で使える言い回しや単語を増やしていきます。これまでに覚えた基本的な例文の語句を入れ替えるだけで、話せることの幅がどんどん広がります。また、自分が話題にしそうな、自分にとって興味のあるネタや趣味の本などから言い回しを増やしていくのも大きなポイントです。よくオススメのDVDなどを聞かれますが、別に「フレンズ」にこだわる必要もありません。観たいものを見ましょう。興味の持てないものは長続きしないからです。
日本語でもロクに話題にしないことを英語で話せるようになっても、あまり意味がありません。とにかく自分が伝えたいこと、聞きたいことを最優先で学習するのが結局は近道です。
文法を整理する
さて、このあたりに来たら文法の勉強を始めましょう。少しずつ正しい文法で話せるようにして行きます。肝心の反応速度を落とさないよう、くれぐれも気をつけてください。日本独特の受験用の奇妙な精読をたくさんしていると、帰国子女ですら反応速度が落ちて来ます(これ、マジです)。ですから、会話の瞬発力が落ちないよう、くれぐれも気をつけてください。
試験対策を取り入れていく
このあたりまできたら、試験対策にシフトして行っても良いでしょう。ただ、試験対策はあくまで試験対策であることをどこか心に留めておきましょう。仕事などで現実に英語を使うことになったら、テストのスコアなんてなんの役にも立ちません。外資系の面接でTOEICの点数を聞かれることはまずありません。アドリブでサクサクと話せるようになること。最初の目標はあくまでここです。
僕自身、まずはある程度話せるところを目指しました。やったことと言えば中学の教科書の丸暗記だけです。ちなみに高校2年の時の英語の成績は、10段階で3で、クラスで下から2番目くらいでした。その後1年間のホームスティ。これ以降、発話がもたつくことは2度とありませんでした。
帰国後に1年ほどTOEFL対策をガッチリとしましたが、実に勉強になりました。単語が劇的に増えたのと、文法が整理されたのが実に良かったです。わずか正味1年半ほどのアメリカの大学への進学を果たしました。
本当にこれだけで話せるようになるの?
今回のこの記事では発音矯正やフォニックスの学習について省いていますが、この2つをごく初期のうちにやっておくと、確実に短期間で滑らかに話せるようになります。発音は先生について習うのが一番近道です。発音矯正に力を入れている英語学校などに通って、一発で通じる発音をしっかり身につけてしまうのは’、賢いお金の使い方です。フォニックスも同様です。これを知るだけで、音とスペルの関係がしっくり来て、初見の単語でもあまりつまずくなります。
またリスニングですが、子供番組でもなんでもいいですからどんどん聴きましょう。漫然と聞くのではなく、視聴した内容の要約を書いたり、シャドーイングやディクテーションをするのもおすすめです。
なお、漫然と聞くのは効果がないと言われますが、英語に触れる絶対量を増やすという意味では決して悪いアイデアではありません。ネイティブの子供は、何もわからないうちからテレビ番組を見たり、親が喋るのを耳にしているんです。あんまり杓子定規に考えず、「とにかく慣れる!」というくらいのつもりで言語に浸りきりましょう。
Brightureでは、このスタイルで教えています
初心者がブライチャーに留学すると、この記事の通り、まずは身の回りのことを言えるようになるところから練習しています。以下は標準的な初心者向けのカリキュラムです。
会話〜2コマ
発音矯正〜2コマ
読み書き〜1コマ
弱点補強〜1コマ
このうち弱点補強のクラスは、大抵言い回しや語彙の増強に使われます。
皆さんも是非、Brightureに留学して、流暢さを身につけませんか?