02 3月 「来週までに提出して」は、「by」「until/till」「before」のどれ?
生徒さんたちがよく間違えるのが、 by、unti/till, before の使い分けです。テストではどれも「〜までに」と訳せば正解なので、違いを正確に把握している人が少ないようです。
そこで今日は、この3つの使い分けを解説します。
締め切りや期限を表す by
まず、byは期限を示します。提出期限とか、締め切りとか、飛行機の搭乗の時間など、過ぎてしまうと非常にマズいものですね。いくつか例文を挙げてみます。
I need to be there by 1 pm.
午後1時までには着いていないといけない。
She has to submit her homework by 3 pm tomorrow.
彼女は、明日の午後3時までに宿題を提出しなければならない。
They must sell 50 more cars by the end of this month.
彼らは、今月末までにあと50台の車を売らなければならない。
Gretchen has to finish the report by Friday
グレッチェンは金曜日までにレポートを仕上げなければならない。
否定文と疑問文はこうです。
Can you finish the report by 1 pm?
午後1時までにレポートを仕上げられますか?
No. I cannot. I may be able to finish it by 2 pm.
いいえ、できません。午後2時までには終わらせることができるかもしれません。
さて、by を使った文章には、特徴が3つあります。
1)期限を表す
前述の通り、by は、期限を表す表現です。飛行機の搭乗時間や宿題の提出期限など、過ぎてしまうとまずい期日です。そして期限までどう時間を使うかには言及していません。
例えば、
I need to be there by 1 pm.
午後1時までには着いていないといけない。
でしたら、大事なのは1時前に着くということだけです。11時に着こうが、12時に着こうが、12時59分に着こうが、問題ありません。
同様に、
Gretchen has to finish the report by Friday
グレッチェンは金曜日までにレポートを仕上げなければならない。
という文だったら、重要なのは、金曜日までにレポートを仕上げることです。グレッチェンが金曜日に徹夜しようが、はたまた、毎日1時間ずつ仕事しようが問題ではありません。
あるいは、木曜日に終わらせようが、水曜日に終わらせようが、それも関係ありません。とにかく大事なのは、期限だけなのです。
2)need, have, must などがよく一緒に使われる
byを使った文章では、need, have to, must のような、「〜ねばならない」というニュアンスの動詞や助動詞が使われます。このほか、can, cannot も、よく使われます。
I can get to the airport by 1 pm.
午後1時までには空港に到着できます。
I cannot finish the task by 5 pm.
午後5時までにこのタスクを終わらせることはできません。
3)継続性がない動詞が使われる
また、arrive, finish, pay, send, などといった、継続性がない動詞がよく使われます。逆に、stay, work, walk などと言った継続性を感じさせる単語は、基本的に使われません。
残り時間を表す untilとtill
until/tillは、時間の長さを表現するのに使います。また、from とペアで、 from + 開始日時 + until +終了時間、という感じで使われることも多々あります。
until とtill の意味はほぼ同じです。until の方がややフォーマルで、文章を書くときによく使います。一方 till はカジュアルで、口語でよく使われます。それ以外は、特に何も変わりません。
I will work from 11 am until 7 pm today.
本日は午前11時から午後7時までの勤務となります。
Our business hour is from 9 am until 5 pm.
営業時間は午前9時から午後5時までです。
John is going to be in England from July till the end of this year.
ジョンは7月から今年の年末までイギリスにいます。
なお、多くの場合、開始日時は省かれます。なぜかというと、すでに話し手と聞き手の間に共通認識があるか、すでに何かが開始しているからです。また、会話の文脈の中で、開始時期が重要ではないこともあります。
Kenta did not speak any Japanese until he was 8 years old.
健太は8歳になるまで日本語を話さなかった。
John is going to be in town until this Friday.
ジョンは今週の金曜日までここに滞在します。
I lived in New York until June of 2015.
私は、2015年の6月までニューヨークに住んでいました。
Jenny is on maternity leave until March 15th.
ジェニーは3月15日まで産休です。
I cannot play video games until I get home.
家に帰るまで、ビデオゲームができない。
until/till を使った文章には、3つの特徴があります。
1)until/till は指定日時まで状態が続く
until/till を使う場合には、指定された日時まで、ある状態が続くことが多いです。例えば、「夏の終わりまでここに滞在する」であるとか「期末試験まで勉強する」などといった具合です。
I am going to sleep until the sun is up.
日が昇るまで寝ているつもりです。
I have to study until the final exam is over.
期末試験が終わるまで、勉強しなければならない。
2)継続を意味する動詞を使う
Stay, work, study, open, live, play など、状態が継続する動詞を使います。
The store is open till 9:00 pm.
お店は夜9時まで空いています。
We stayed in the tent until dawn.
僕らは夜明けまでテントに留まった。
否定文のときはどうだろうか?
さて、byとuntil/tillで混乱しやすいのは、否定文です。
Until は特に何も考えずに使えますが、byは、状況に応じてuntilに変えた方がいいことも多いです。また、untilは「継続性のある動詞を使う」と解説しましたが、否定文では、そうとは限りせん。
まずはuntil から。
This store is open till 11 pm.
このお店は夜11時まで営業しています。
This store is not open till 11 pm.
この店は午後11時まで営業していません。
John is staying in town until Thanksgiving.
ジョンは感謝祭まで町に滞在しています。
John is not staying in town until Thanksgiving.
ジョンは感謝祭まで滞在しません。
特に違和感なしです。では次は by です。こんな文章があったとします。
I have to finish this report by this Friday.
私は今週の金曜日までにこのレポートを終わらせなければなりません。
byのままでも否定文にできます。
I don’t have to finish this report by this Friday.
私は今週の金曜日までに このレポートを終わらせる必要はありません。
ただ、until/tillも使えます。
「いやいや、〜日までやらなくて大丈夫なんだよ」と、期限よりもむしろ、期限までの時間に焦点を当てたい場合です。finish という継続性がない動詞を使っていても、そのままuntilを使って否定文にしても、なんの違和感もありません。極めて自然な英文です。
Hey John, you don’t have to finish this report till next Friday. The deadline got postponed.
ジョン、来週の金曜日までこのレポートを完成させる必要ないよ。締め切りが延期されたよ。
ちなみにアメリカでは昨年はコロナウイルスの影響で確定申告の締め切りが3ヶ月延期されましたが、こんな場合には、「延期によって時間的余裕ができたので、慌ててやる必要がないね」という感じで、焦点を期日から、延期によって生まれた時間的な猶予にシフトしたいのです。ですので、
Did you hear the news? We don’t have to file our tax return till June 15th. The government postponed the deadline due to COVID-19.
ニュース聞いた?6月15日まで確定申告をしなくてもいいんだって。コロナウイルスの影響で、政府が期限を延期したんだってさ。
という感じになります。
「以前」を表すbefore
さて最後にbefore。「以前」を表しますが、使い方はby とよく似ています。ですので、by を before に入れ替えても、違和感のない文章になります。ただ、by と before では、やや強調するポイントが違うので、そこだけ押さえておく必要があります。
まずは、by を使った例文。
Can you get your homework done by 7 pm?
7時までに宿題を終わらせることができますか?
これだと、とにかく「7時(という締め切り前)に終わらせられますか?」という感じです。一方、byがbeforeに入れ替わると、
Can you get your homework done before 7 pm?
7時以前に宿題を終わらせることができますか?
「7時より以前に終わらせられますか?」という感じになります。
次は、byとbefore, until とbefore をそれぞれ比べます。
I need to wake up by 5 am.
朝5時までに起きなければならない。
この表現だと、5時に起きさえすれば、ギリギリまで眠っていても、4時に起きていても関係ありません。大切なのは、5時に起きていることです。
I need to wake up before 5 am.
朝5時前に目を起きなければならない。
これに対してbefore 5 am だと、5時よりもだいぶ前に必ず起きていて、すでに身支度ができているようなイメージです。
次は、until とbeforeを比較します。
I was sleeping until 5 am.
朝5時まで眠っていました。
この文章だと、朝5時が来るまでぐっすり眠っていた、というイメージです。一方こちらは、5時が来るだいぶ前に目が覚めてしまったようなイメージになります。
I woke up before 5 am.
朝5時前に目が覚めました。
まとめ
それでは最後にまとめです。
– by は提出期限や締め切りなどのような、期日を示すのに使う。
– byを使った文章では、need, have, must などの単語がよく一緒に使われる( “I need to leave by 9 am.” など)。
– byを使った文章では、継続性がない動詞が使われる(stay, study, sleepのような継続性のある単語は使われない)。
– untilとtillは残り時間を強調したいときに使われる。
– untilとtillは継続性を感じさせるsleep, stay, work のような動詞が使われる。
– byを使った文でも、否定文の場合にはuntilを用いることが多い( “I don’t have to leave till tonight.” など)。
– その場合には、継続性がない動詞が使われても違和感がない。
– beforeは、期限よりも以前に、というニュアンスになる。(“Please finish your homework before supper” など)
さて、覚えたての文法を自分のものにするには、実際の会話に応用することを想定して、すぐに練習するのがポイントです。そうしないと、いざ本番という時になかなかうまく使えないものです。
I thought we have to get our tax return submitted by April 15th like we always do. But I heard the news that the deadline has been postponed for 3 months, which means I can just put it off until July. So I completely forgot and by the time I remembered, I had less than 48 hours until the deadline. I panicked and stayed up all night. In the end, I was able to submit before the deadline, but I should have just finished it in April like I always do and get it over with. Oh well.
確定申告はいつものように4月15日までに提出しなければならないと思っていたのだけど、期限が3ヶ月延期されたというニュースを聞いて、7月まで先延ばしにしてもいいということにななった。だから僕は完全に忘れていて、思い出した時には、すでに期限まで48時間を切っていた。慌てて大パニックで徹夜しました。結局、締め切り前に提出できたけど、いつものように4月中に終わらせて終わらせればよかった。まあいいや。
こんなふうに文章を作ってみて、口に出し、何度も練習して定着を図ると、実際の会話のシーンでも、淀みなく出てくるようになります。また、映画やドラマの会話シーンなどにも頻繁に登場しますので、ぜひ、いろいろなドラマを見て、実際の使い方に馴染んでください。
Brightureでの取り組み
Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の3つの授業で文法の理解を深めていきます。
Everyday Speech
英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。
レッスン内容:Everyday Speech
Reading and Writing
Reading and Writingは、ブライチャーで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。
Daily Conversation
日常会話でよく使う言い回しを学ぶクラスです。こうした初歩的な言い回しも丁寧に指摘してくれます。