【英語勉強法】多読のススメ

ブライチャーの Reading and Writing(RW)では毎回必ずリーディングの宿題が出ますが、これにはいくつもの理由があります。今回は、なぜブライチャーではリーディングの課題を課しているのか、そして、なぜ多読をオススメするのか説明してみたいと思います。

1.「英語という言語」に慣れる

まず最初のメリットは「英語という言語」に慣れることです。大抵の英語学習者は一つの物語や記事を最初から最後まで英語で読んだことがありません。物語から数バラグラフ、あるいは1文か2文だけを脈もへったくれもなく取り出して、和訳したり解釈したりしたことがあるだけです。そのため、英語の文章がどのように組み立てられ、流れるのかも知りませんし、読みやすい文章と読みにくい文章の区別もつきません。

これでは、英語で表現したいと思っても、どう書いたり話したりするとネイティブにとって興味深く伝わりやすい内容になるのかの判断さえできません。まずは英語という言語に慣れること。これが第1です。

2. さまざまな単語や言い回しの語感を体得する

同じ単語でも使われ方によってニュアンスが変わったりするものです。これは日本語でも同じです。また、英単語を日本語と結びつけて暗記しても、必ずしも「英単語=日本語訳」になってくれません。例えば「care」という単語は文脈によってかなり意味が変わってきます。以下のような例が英語だと「care」という1語で言い表わせてしまうのです。

助ける
The quality of care at this hospital is very good.
この病院の看護のレベルは非常に高い。

Bob and his sister take turns caring for their elderly mother.
ボブと彼女の姉は、代わる代わる歳いった母親の面倒を見た。

注意する
She painted the window frames with great care.
彼女は細心の注意を払って窓枠を塗装した。

心配する
Don’t you care about what happens to the children?
子供達に何が起きても心配じゃないの?

I don’t care how much it costs, just buy it.
いくらしても構わないから、とにかく買ってしまえ!

欲する
Would you care to join us for dinner?
夕飯に一緒に行きませんか?
(Would you care = Would you like と同じ)

大切に思う
You need to express what you really care about.
自分が本当に大切に思うことを表現する必要がある。

多読をしてこうしたさまざまな使い方に何度も出合ううちに、care という言葉の輪郭、つまりその言葉の「語感」がつかめてくるのです。そしてやがて、この言葉がすっと自分の中に入ってきます。しかし、

Care = 気にかかること、心配、気がかり、不安、心配事、心配の種、気にかけること、(細心の)注意、配慮、気配り

などという感じで覚えていると、なかなかその単語の語感が掴めないものです。結局ポイントは、遭遇回数を増やすところにあるのです。

3. 背景知識が英語でつく

多読を進めるうちに、さまざまな背景知識が英語のまま入ってきます。例えば「Wonder」という児童書がありますが、こういった本を読むことで、アメリカの学校がどのようなシステムになっているのか、中学生同士のやり取りがどんな言葉で交わされているのか、感情を表現するのにどんな単語や言い回しが使われているのかといった背景知識が英語のまま入ってきます。

すると、自分が日本の学校システムや学生時代の体験談などを話すときに、こうした背景知識を引き出して使えるようになっていくのです。無論一夜でそうした知識がつくわけではありませんが、英語で覚えたものというのは英語で引き出しやすいものです。逆に日本語で読んだネタを話そうとしても、必要な表現方法がわからずにつまずいてしまうものです。

結局は近道

多読は、一見遠回りに思える方法ですが、結局は近道です。私自身、まだ日本でコツコツと英語を勉強していたころに1年かけて20冊ほど読んだのがスタートでしたが、この20冊で随分理解力が上がりました。1年ほどたったある日、最初に読んだ1冊を読んで見たら、初めて読んだ時には2週間かかったその本が、なんと1日で終わってしまったのです。これは本当に驚きでした。

結局、英語の勉強を真剣に始めて2年足らずで4年制のアメリカの大学への進学を果たしましたが、勉強といえば多読と多聴、それとTOEFLの問題集くらいしかやらなかったのです。なかでもこの多読は英語慣れする上で圧倒的な効果を発揮しました。

読書を楽しもう!

僕の場合、いわゆる「勉強」のつもりで多読していたのは、結局この最初の1年だけで、あとは普通に読書を楽しんでいます。あまり肩肘を張らず、読みたいと思う本を読んで見ましょう。何事も楽しみながら続けるのが一番です。

多読へのキッカケが欲しい方は、Reading and Writing(RW)を受講いただくことをオススメします!

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。