09 6月 41歳からの再スタート。「多読・多聴」で英検1級に合格!
杉原健さんは、41歳で人生を大きく変える決意をし、世界一周旅行の傍ら、英語学習を再開しました。ブライチャーのスタッフとして「多読・多聴」に出会った2018年の8月から英語力が一気に向上。それだけで、最終的に英検一級まで一気に上り詰め、今では英語のコーチングなどもしています。
杉原健さん/40代/英語コーチ・会社員
交通事故で人生が大きく変わった
なぜ、40代で英語学習しようと思ったのですか。
2015年に横断歩道で車にはねられ、腰椎骨折の大怪我をしたのが、人生を変えた大きな引き金になりました。ソーシャルワーカーとして十数年働き、キャリアアップで自治体病院のソーシャルワーカー採用試験に合格した矢先でした。
幸い回復し、リハビリしながら新しい職場に通ったのですが、大変でした。転職先の病院には難しい患者さんも多かったんです。事故のこと、家族の問題も重なりうつ病になってしまった。職場から「休みなさい」と言われ、療養の甲斐なく、退職することにしました。
交通事故の慰謝料があったので、うつ病が少しよくなった時期に「ここじゃないどこか遠くに行きたい」と思うようになりました。せっかくなら世界を見てみよう、世界一周しようと思い、同時に英語学習を再開しました。
それまでの英語学習歴を教えてください。
英語は苦手で、大学以来完全に避けていました。一応、外語大学卒業なのですが、落ちこぼれていて、当時、英検準一級に全く刃が立たなかったくらいです。仕事で使うことも一切ありません。
そこで世界一周の前に、フィリピンにある「旅人のための英会話学校」に10週間滞在しました。大学の座学は苦痛だったのですが、外国の人とコミュニケーションするのは楽しくて、滞在を2週間伸ばしたほどです。
その後、世界一周では、サバイバル・イングリッシュが中心になりましたが、旅するうちにどんどん英語が面白くなってました。 1年してフィリピンに戻ってきました。
なぜ、フィリピンに戻ったのでしょうか?
このまま日本に帰るのが嫌だったのです。自分が思いつく縁のある外国は、フィリピンくらいでした。
そこで、以前お世話になった学校に行き、「便所掃除でもなんでもするのでおいて欲しい」と頼み込みました。そこで宿と食事を提供してもらい、ボランティアとして働きながら、一日4時間の授業を受け勉強を続けることになりました。
9ヶ月たった頃、ブライチャーで半年前から働き始めていた同じ学校の友人に誘われて、ブライチャーのスタッフになりました。そこで「多読・多聴」に初めて出合って、一気に英語力が上がることになったんです。
そのころは、ブライチャーのことを知っていましたか?
まったく知らなかったです。ブライチャーに行ってみて、あまりの違いに驚きました。旅人のための英会話学校とは、授業のやり方もくる人のタイプも180度違う。すごくストイックだな、と感じました。
ブライチャーの授業は受けなかったのですか。
最初に一週間、ほかの生徒さんと同じように授業を受けました。それ以外には、スタッフとして新人講師の模擬レッスンの生徒役を何度もやりました。
僕はその頃、ちょうど英語が行き詰まってたんですね。転職の時、英語で面接を受けましたが、その時に、社長の松井博さんから「ビギナーから中級だ」と言われました。英検で2級レベルくらいです。
ブライチャーでは、松井さんがさかんに「多読・多聴」と提唱してました。さらに彼がときどきフィリピンに来て「英語は英検準一級からがスタートだよ」と言うんです。
その言葉がずっと残っていて。「難しいけど、まず準一級を目指してみようか」と思いました。生徒さんにも「本当に英語力は多読で伸びるんですか?」って聞く方がいるので、スタッフとして答えたいなと。「社長の言う通りに勉強してみて、どれくらいできるか試してみよう」と考えたのです。
そこで「多読と多聴」を言われた通りにやってみました。そしたら本当に10ヶ月で英検準一級に合格したので驚きました。
勉強が嫌で「多読と多聴」しかしなかった
具体的にはどんなことをしましたか。
やったのは、本当に「多読と多聴」だけです。
もともと、試験の点数を上げるだけの目的で英語に触れることは避けていました。要するに「勉強」は嫌いだったのです。「そんなコトしたらせっかく好きになった英語が嫌いになってしまう」と思い、そのときハマっていた多読・多聴だけしかしませんでした。
まず多読ですが、松井さんがブログで紹介する書籍をかたっぱしから読みました。ブライチャーの本棚に推薦図書があったので、朝早く行って読むことにしました。
しかし読むものが児童書ばかりなので「こんなレベルの本を読まないといけないのか」ってプライドが傷つきましたね。その後はネイティブの小学校中学年程度のものを読みました。おすすめの本だけだと飽きるので、好きな村上春樹さんの英訳本も混ぜていました。多読をはじめて10ヶ月目で準一級を受けましたが、それまでに3〜40冊読んだと思います。
多読開始から1年、英検準一級・TOEIC790点取得くらいまでは「ネイティブの小学校低学年向け」の本を読んでいたことになります。 英検準一級は、ネイティブの小学校低学年レベルと言われていますので、話の辻褄はあうと思います。
多聴は、毎日ポッドキャスト1時間英語を聞いてました。初心者が聴ける音源って探すのが難しいので、こちらも松井さんがブログで紹介しているものを選び、「7割くらい意味がわかるもの」を聞くようにしました。
【英語学習法】リスニングの強化に適した Podcast レベル別24選
10ヶ月後、英検準一級を受けたときはどうでしたか。
試験を受けたときは、あまり手応えがなく、「こんな簡単でいいのかな。何か勘違いしているのかな」という感じでした。
送られてきた結果を見たら、東京都の全受験者の上位1%で、満点に近い成績だったんです。「松井さんの言う通りやったな」と思いました。試験対策はほぼやらず、毎日多読・多聴を続けただけでしたから。そこで調子に乗って1級も受けてみることにしたんです。
上達の実感はありましたか。
ドラマチックに変わった実感はなく、気づいたら結果がついてきてた感じです。英語って「これだけ努力したからできる」とか言いにくいです。インプットとアウトプットの相関関係が明確じゃないので辛いんですね。
そういえば、「多読と多聴」はインプットですが、アウトプットはしていましたか?
フィリピンにいたので、日常生活や仕事で、多少はあったと思います。アウトプットが少しでもある前提でやるのとやらないのは違うでしょうね。
その後英検1級を受けたのですか?
その後2ヶ月ほどして、ブライチャーをやめて英検1級を受けたら、受かったのでびっくりしました。同じように、多読・多聴を続けてただけです。ただ、松井さんから「英検1級は単語のセクションが変態レベルで難しい」と聞き、単語だけ単語帳を作って対策しました。英検準一級からさらに読んだ本は41冊に増えてました。この学習のおかげで、その後、読めたり聞けたりする英語のコンテンツが圧倒的に増えました。
当時、前の語学学校に遊びに行ったのですが、2年前に僕を知っていた先生たちが、上達に驚いていました。「レスポンスが速くなった」と言われました。
多読・多聴を続けるコツはありますか?
多読を長く続けるコツは「興味のある分野の洋書を読む」です。僕の場合、山登りとか旅のもの、精神科関連のものやマインドフルネスに関するものでした。
例えば、僕が専門だった精神科関連の本は、1、2段階上のレベルのものが読めるんです。また、英検受験時の1年ほど前から毎朝「マインドフルネス瞑想」を実施していて、関連する「AWAKENING FROM THE DAYDREAM : Robert Nichtern」は一気に読みすすめることができました。
旅行記も、日本人のものより外国人のブログの方が視点が違って面白い。興味があるものを英語で情報収集すると、触れられる英語のレベルが上がります。逆に興味がないと続かないので致命的です。
また、日本語で概要を理解してから英語に取り組むのはとても効果的な学習法です。僕の好きな村上春樹はその著作のほとんどが英訳されているので、僕のような学習者にとっては幸運以外の何物でもないです。
読むペースもどんどん上がりました。最初は「Who was シリーズ」の1冊を一週間かけて読んでましたが、今はたまにわからない単語を調べたりする時間も含めて1冊3〜40分で十分読めると思います。
リスニングはどうでしょうか?
最初は松井さんが勧めてくれる音源を聴いていて、いつの間にか、英語のニュースを聞くのが習慣になってました。 英検一級取得当時には「GLOBAL NEWS PODCAST: BBC WORLD SERVICE」と「The Daily : the New York Times」を聴いていました。
1級に受かった後くらいからは、自分で音源を探して聴けるようになりました。
リスニングはいろんな能力と連動していると思います。リスニング能力をあげるのにリスニングだけするのは遠回りかもしれません。発音も関係していますし、話さないとリスニング能力も落ちます。また、多読でボキャブラリが増えるので、リーディングとセットにすると、結果的に聞く能力が上がっていくのではないでしょうか。
同じように「多読と多聴」していても、そこまで急に英語力が伸びるケースは少ないのでは?
そういえば、世界一周のときから興味がある情報を英語でとりにいく癖をつけていました。例えば、航空券の約款や空港のサインボードなんかをかたっぱしから読んだりはしていました。
ブライチャーでスタッフをしていた時期、伸びる人に共通する特徴はありましたか。
傾向としては、決めたことをコロコロ変えずに、愚直に続けられる人が伸びるようです。参考書変えたり、先生を変えたり、自分がやってることが信じられないと遠回りになってしまう。なぜそうなるかというと、学習が楽しめてないんじゃないかな、と思います。「楽しい」の割合が多いと伸びますよね。
杉原さんは今も学習を続けていますか。
はい、今も多読と多聴を続けています。縁があって山梨県で会社員をやっているんですが、仕事の傍ら、英語のコーチングもはじめました。英検一級を取って以来、「英語の先生をしてほしい」とか、「英会話を個人的にレッスンしてほしい」といった依頼は、結構コンスタントにいただいたりします。本当に光栄だと思っています。ありがたいことです。
英語を勉強する目的はなんでしょうか。
ただ好きで面白くてやってます。英語でいろんな世界にアクセスできるメリットは大きいです。物事を違う視点で見られるというのは、最高の財産です。海外で英語で楽しい3年半を過ごし、視野が広がりました。3年前、日本しか知らず日本語だけの世界で生きていたときと今だと、圧倒的に違います。
杉原さんからみて、ブライチャーはどんな人にお勧めでしょうか?
僕は、発音だけは唯一お金を払って、プロからきちんと習うべきものだと思っています。「自分で自分の間違いに気づきにくいから」です。聞き取れない音は正確に発音できない。聞き取れない以上、正確にその音を真似ることができるはずもありません。そこで、どうしてもプロの指導が必要になるわけです。
とはいえ、やはりいきなりネイティブ・スピーカーに英語を習うのは気が引けますよね。そこで、退職した今も自信を持っておすすめできるのがBrightureの発音のレッスンです。
ネイティブレベルの美しいアメリカン・アクセントで話す先生が数多く在籍しています。松井さんが計画されたメソッドに沿って、厳しく訓練された先生が担当する発音の授業は本当に評判が良かったです。
そんなに先生のレベルが高いんですか?
高いです。
僕もスタッフとして採用に関わらせてもらっていましたが「え、この人落としちゃうんだ」みたいなケースは山程ありました。無事筆記試験と面接に合格したとしても、その後の模擬レッスンでブライチャーのメソッドをきちんと習得できなかったり、我流で押し通してしまう先生は正式採用には至らないんです。あの厳しさがあるから、質の高いレッスンを提供できているんだと思います。
ブライチャーは上級者向けのイメージが強いようですし、ビジネス向けと謳ってはいますが、もちろん一般の英語やビギナーにもきちんと教えることのできる優秀な先生が揃っています。厳しいことで有名なブライチャーのレッスンですが、満足度も抜群でした。元スタッフとして、これは断言できます。ぜひ一度試してみてください。
ありがとうございました。