21 8月 効率的な英語学習法「i+1の法則」を公開。
「どうやったら英語をペラペラ話せるようになりますか?効率的な英語学習法が知りたいです。」
こんな質問をよくいただきます。
英語がペラペラになるのは、別にさほど難しいことではありません。ただし、少なくとも数年間に渡る継続的な努力が絶対に必要です。
今回は、僕が「i+1の法則」と命名した、ペラペラになるのに絶対に外せない英語学習法について詳しく説明したいと思います。
※もくじ【1】もっとも効率的な英語学習法『i+1の法則』とは
【2】英語学習効果を最大化する3つの原則
【3】具体的な英語学習の流れ。3つのステップとは
【1】もっとも効率的な英語学習法『i+1の法則』とは
「今自分が理解できるものよりもほんの少しだけ難しいコンテンツに挑戦し続ける」
これがもっとも効率的な英語学習法です。僕はこの方法を「i+1の法則」と呼んでいます。「i」は、学習者の現時点での理解度を指し示します。そして、現時点の自分のレベルよりも、ほんの少しだけ難しい課題、つまり「i+1」のレベルにチャレンジしてみるのです。必ずしも「+1」ではなく、「+2」や「+3」の日があっても構いません。
しかし、「+20」をやると、まったくわからなくなってしまい、やる気を喪失します。まだ中学英語しかわからい時期にTIMEの購読をするのは、「+100」ぐらいのチャレンジなわけで、やる気を失うに決まっています。
【2】英語学習効果を最大化する3つの原則
原則に従ってこそ効果がでます。3つの原則を説明します。
・原則1.インプットとアウトプットの比率は5:1にすること
・原則2.文法学習は後回しにすること
・原則3.和訳/英訳や返り読みをしないこと
それでは、順番に解説しましょう。
原則1.インプットとアウトプットの比率は5:1にすること
2歳児は300ほどの単語を理解すると言われていますが、スムーズに出てくるのはせいぜい2〜30です。そしてこの比率は、年齢を経ても変わりませんし、第二外国語の学習者にもそのまますっぽりと当てはまります。
自在に操れる言葉というのは、常に知っている言葉のせいぜい5分の1くらいなのです。例えそれが母国語でも、成人していても、自在に出力できる単語や言い回しの数は、読んだり聞いたりして理解できる単語数よりもずっと少ないものです。
ですから英語ペラペラになりたかったら、どんどんインプットして自分の中の英語の世界を豊かにしていくことが欠かせないのです。そしてインプットする情報は、別にマンガでもアニメでもドラマでも小説でも新聞記事でも構わないのです。特定の教材やコンテンツに固執するよりも、むしろ様々な内容にたくさん触れた方が、結果として様々な表現方法を蓄えることにつながります。
「インプット=文法学習」ではない。
さらに付け加えると、ここでいう「インプット」は、英語の問題集を何周もしたり、文法書を読み込んだり、品詞分解をしながらゆっくりと英文読解することではありません。文法学習はあくまで言語のルールを取り出して学ぶプロセスであり、それ自体は英語の「インプット」ではないのです。
多くの英語学習者は、文法学習に時間を使い過ぎていて、肝心なインプットに十分な時間を費やせていません。大事なのは「英語を英語のまま聞く、読む」絶対量なのです。文法や問題集ばかりにご執心だと、いつになっても英語をインプットする時間が確保できません。今は書籍だって映像だってネット経由で瞬時に手に入るのですから、腰を据えて徹底的に英語に浸りきってみましょう。文法学習は、必要性を感じ始めてからでも決して遅すぎることはありません。
✓補足:インプットとアウトプットの時間的な目安とはインプットに必要な時間的な目安は1000時間です。1000時間ほどインプットすると、簡単な会話をこなすだけの語彙や言い回しが蓄積されます。
親の仕事の都合なので海外の現地校に放り込まれる子供たちも、だいたい3ヶ月、つまり1000時間ほど英語に触れたところで、周囲の言っていることを理解し、簡単な英会話ができるようになります。彼らはこの時期に英語を蓄積していくのです。
僕自身も、僕の家族も同様の体験をしました。初めてホームスティをした際、約3ヶ月するとラジオやテレビの会話や、周囲の言っていることがボンヤリと理解できるようになったのです。そして徐々に簡単な意思疎通を図れるようになっていました。小学校2年でアメリカに来た長男も同様です。8月にやってきて、その年のクリスマスの頃には、少しばかりしゃべれるようになっていました。
原則2.英文法の学習は後回しにすること
「英語をインプットすると言っても、最初に文法をしっかり勉強しないと理解できない」と考える人も多いでしょう。しかし、僕らは文法学習なしで母国語を習得しているわけで、文法学習は語学習得の絶対条件ではありません。
ブライチャーの生徒さんからも「本を読んでいるとわからない文法がたくさん出てきます。文法学習をやり直した方がいいでしょうか?」との質問を頻繁に受けます。私はその都度、「文法は今のレベルで十二分ですから、わからない部分は前後の文脈から検討をつけながらどんどん読み進んでください」とアドバイスしています。
ブライチャーの生徒さんからもよくこんな質問を受けます。
「本を読んでいるとわからない文法がたくさん出てきます。文法学習をやり直した方がいいでしょうか?」
私はその都度、このように回答します。
「文法は今のレベルで十二分ですから、わからない部分は前後の文脈から検討をつけながらどんどん読み進んでください」
結局僕らはこうやって母国語も身につけてきたのです。挿絵や話し手の表情から内容を憶測し、わからない部分を埋めていくのです。僕らが日本語の本を読んでいるときだって、すべての漢字が読めるわけでも意味を知っているわけでもありません。でも、僕らはごく自然に前後の文脈から意味を類推し、何の支障もなく読んでいるのです。文法を勉強するのは、簡単な会話ができるようになった後にした方が、むしろ「文法を考えすぎて言葉が出ない」という悪い癖がつかずに済みます。
原則3.和訳/英訳や返り読みをしないこと
完璧を目指して同じコンテンツをグルグル回す方がいますが、そこに新たな学びはありません。しかし同じようなレベルでも、コンテンツを少し変えるだけで新しい言い回しや単語、つまり「+1」に遭遇します。ですから、同じ教材をグルグル回すのではなく、どんどん新しいコンテンツにチャレンジしていくことが大切です。
【3】具体的な英語学習の流れ。3つのステップとは
ここまでで3つの原則がわかったと思います。次は具体的な手順を見ていきましょう。
・手順1.とにかくインプット(読む、聞く)
・手順2.独り言を言って練習する
・手順3.実際に使う(書く、話す)
順をおってお話します。
手順1.とにかくインプット(読む、聞く)
「ペラペラになるためには、しゃべる練習が必要なのだ。でも僕は日本に住んでいるから、そんなにしゃべる機会を得られない。だから、しゃべれるようになれない」
そんなふうに考えている方が多いのではないかと思います。しかし、しゃべれるようになるのに絶対に欠かせないものは、たくさんのしゃべる練習よりも、むしろたくさんのインプット、つまり「読む、聞く」なのです。
考えてもみてください。子供はどうやって母国語をしゃべれるようになるのでしょうか? それは保護者やテレビなどから大量のインプットを得るところから始まるのです。周囲の大人や兄弟姉妹からたくさん話しかけられたり、絵本の読み聞かせなどをしてもらうたびに、子供たちは徐々に語彙を増やし、言語の構造を理解していくのです。
実際に子供の口から言葉が出てくるようになるのはインプットが始まって12〜24ヶ月後のことですし、出てくる言葉はやっと一言二言です。しかし、幼児がすぐさましゃべり出さないからといってその英語学習法が悪いと考える人はいません。言葉を発せられるようになる前には、どうしてもこの「溜める」というフェーズが必要だからです。
この沈黙の期間に子供の脳内ではインプットされた様々な情報が意味のある形でリンクされ、徐々に言語野が形成されているのです。やがて、言葉が少しずつ出始めます。最初に出てくるのは「わんわん、ブーブー」といった簡単な単語だけです。しかしこの時期にすでに、実は子供は言われたことをかなり理解しています。例えば「パパはどこ?」などと聞くと指で差しで答えたりします。「わんわん、ブーブー」しか言えないからといって、それしかわからないわけではないのです。
手順2.独り言を言って練習する
実際の会話練習の取り組む前に、もう一つやることがあります。それは「独り言による英語学習」です。 母国語の学習期にある子供がやることと言えば「一人遊び」です。人形の世話を焼いたり、ヒーローになりきったり、手におもちゃの車や飛行機を持ち、何やらつぶやきながら遊んでいます。頭の中でストーリーを描いては物語の渦中の人になりきって一人で言葉を発して遊ぶのです。
第2言語の学習する大人だって同じことです。映画や書籍やテレビ番組などで気に入ったフレーズに出会ったら、それを何度も繰り返してつぶやき、自分の体に馴染ませましょう。テニスのスイングを覚えるのも、英語を覚えるのも大差ありません。実際に使う場面を思い描き、何度も繰り返して体に染み込ませるのです。
手順3.実際に使う(書く、話す)
言葉が馴染んできたら、いよいよ会話練習を始めてみましょう。ただ会話練習といっても、1日に何時間もしゃべる必要などありません。子供たちが母国語を覚える過程で、1日何時間もしゃべり通しているでしょうか? そんなことはありません。実際に言葉を発している時間は、せいぜい1日1時間程度なのです。じゃあそれ以外の時間は何をしているかというと、ひたすらインプットし、ごっこ遊びで練習しているのです。
外国語習得も同じことです。インプットして、独り言で体に馴染ませ、そして実際に使ってみます。すると様々なフィードバックが得られます。覚えたフレーズが通じた喜び、相手の言っていることがわからないもどかしさ。知らない単語、聞き取りにくい発音……。そしたらまたインプットに戻ればいいのです。こうしてこのループを繰り返していれば、必ず喋れるようになります。
また、「書く」アウトプットも大きな効果があります。文法を正確に身につける最短距離は、文章を書いてはネイティブレベルの人に直してもらうことです。読書と並行してこれを繰り返すうちに、自分の書いた文章を読み返した時に、「あれ、ここがなんだか変だな?」という感じで間違ったところに気がつくようになります。また、これまでに読んできた書籍や記事の中から、使いやすい文体を持ってきて使ってもいいのです。
自力で書いた文章が、パクってきた文章に大きく見劣りします。そこで一生懸命直したりしているうちに、だんだん格好になってくるのです。やがて、正しく書かれた文章はどのような響きを持つものなのか、だんだんと体でわかってきます。すると、話し言葉の文法も徐々に正確さを増してくるのです。
まとめ:英語を習得するための必要な指針は「i+1」である
さて、ペラペラになる方法の解説は以上です。
初歩的な会話獲得におよそ1000時間、外資系企業などで働いたり、学部留学してもあまり困らないレベルに達するのに必要な時間はおよそ3000時間です。また、ネイティブとなんの遜色もなく意思疎通を図り、日本語に限りなく近いような感じで第2外国語が扱えるようになるのに必要な時間は、およそ一万時間です。
必要な指針は「i+1」で進むことだけです。それ以上でも以下でもありません。
※さいごに…ブライチャーへ事前申し込みしてくださった場合は、定点をきめつつ「i+1」をコンサルティングいたします。つまり、あなたの現時点での英語力を測り(i)、次にすべきこと(+1)を説明いたします
留学前から「i+1」のインプットを繰り返し、ブライチャーに留学中はアウトプットのみにフォーカスしましょう。