直訳すると会話が噛み合わなくなる英語フレーズたち

映画や海外ドラマを観ていて、「それらしい単語はどこにもないのに、なんでそう訳すの?」と思ったことはありませんか? 本格的に英語学習を再開した私がつまずいたのが、これでした。

児童書を読んでいても、馴染みのある単語が並んでいるはずなのに意味が掴めず、なかなか先に進むことができません。海外ドラマを観ていても、かろうじて拾えた単語が、私が知っているものとは全く違う意味に訳されていて、何度も「どういうこと?」ってなりました。

私の中で大量に発生していた「なんで?」の原因は、英語のフレーズを知らないことでした。

この英語のフレーズ、やっかいなことに、馴染みのある単語が含まれていることが多いのです。そのため、つい単語をひとつずつ訳してしまいがちなんですが、そうすると全く違った意味になってしまいます。

今回は、海外ドラマや洋書でよく見かける英語のフレーズの中から、「そんな意味だったの!?」という5つをご紹介します。

1.Tell me about it

「Tell me about it.」このまま訳すと、「それについて話して」です。もちろん、文脈によってはこの使い方もします。でも、ネイティブはこのフレーズを、共感するときの「わかるー!」というときにも使います。

「いやいやいや。無理無理。会話の中でこう言われたら、普通にイチから詳しく説明してしまうよ」と思ったそこのあなた。私も仲間です。でも必死に説明している最中、相手は「いや、知ってるよ。だから共感したんじゃん」となってしまうので、注意しましょう。

もし共感の意味で相手がこのフレーズを使ったときには、「I know!」や「Right?」と返すと、会話が盛り上がります!

    A: Learning a new language is so challenging!
    「新しい言語を学ぶのはとっても大変!」

    B: Tell me about it! So many things to remember!
    わかる!覚えなきゃいけないことがいっぱい!」

    A: I know!
    「そうそう!」


2.Why not

これも2通りの使い方があります。ひとつは素直に「なんでダメなの?」という使い方です。
もうひとつがやっかいで、「もちろん!」や「いいね!」など、同意や共感を表すときに使います。

レッスンの中で、「今日のレッスンでこれにチャレンジしたい」と、講師にリクエストしたところ、「Why not」と返されて、頭が真っ白になりました。ふたつ目の使い方を知らなかったので、私のチャレンジが断られたと思ってしまったんです。実際はその逆で、その提案に乗っかってくれていました。

文脈によって意味が全く異なりますが、これをきっちり使い分けできるようになると、より自然な会話を楽しめるようになります。

    A: Let’s go to the beach this weekend!
    「週末ビーチに行こう!」

    B: Why not!
    いいね!


3.Do you want to ~ ?

週末みんなで出かける予定を立てたとします。すると仲間の一人があなたに向かってこう言いました。

「Do you want to pick me up?」

あなたは心の中で「え?迎えにきたいかって?偉そうだなぁ……」と思ってしまいませんか?
実はこれ、「私のために〜したい?」ではなく、「〜してくれる?」と、カジュアルにお願いしたいときに使う表現です。

英語話者は上から目線で「私のこと迎えにきたいんでしょ?」って言ってるわけではないので、こう言われてもムッとせずに会話を進めましょう。

    A: Do you want to pass me the salt?
    「塩を取ってくれる?

    B: Sure, Here you go.
    「もちろん。はいどうぞ」


4.salt and pepper

白髪まじりの髪のことを「salt and pepper」と表現します。
「salt」で白髪、「papper」で黒髪を表現しているんですね。なんだかおしゃれです。

この表現を知らずに会話で使われると、「塩と胡椒持ってどうするんだろう?」となってしまいます。もちろん、文脈でわかることもあると思います。
「My mom has salt and pepper.」と言われて、「What will she cook with them?」と返してしまわないように注意しましょう!

    We would be having salt and pepper as we reach old age.
    「私たちは歳をとると、白髪まじりの髪になります。」


5.have a ball

「ボールを持っている」と思ったあなた。残念ながらブッブーです。
実はこれ、「とってもいい時間を過ごす」という表現です。

なんでこうなるのか不思議に思って調べてみたところ、「ball」には「ボール(球)」の他に、「舞踏会」という意味もありました。そこから、「舞踏会=楽しい会」になって、「いい時間を過ごす」という表現で使われるようになったそうです。「have a fun」や「have a good time」などと同様の使われ方ですね。

ちなみにこれは、口語で使われることがほとんどです。

    The kids had a ball at the birthday party.
    「子供たちは誕生日会でとってもいい時間を過ごした。」


番外編:Moonlight (as a verb)

最後に番外編として、フレーズではないですが、「こんな意味もあるんだ」という単語です。

「Moonlight って、どういう意味でしょう?」と突然クイズを出されました。当然のように「月明かり」と答える私。目の前にいた、したり顔の質問者が忘れられません。くそっ。

これは「夜間のバイトをする」という意味の単語でした。動詞として使います。

    He has just started to moonlight as a bartender.
    「彼はバーテンダーとしての副業を始めたばかりです」


生の英語にたくさん触れよう!

英語のフレーズは、ネイティブの会話の中でバンバン使われます。海外ドラマや洋書の中にもめちゃくちゃ出てきます。でも、一単語ずつの単語を覚える学習を続けていると、当然ですが英語のフレーズのストックは増えていきません。

こちらの記事でもそのことに触れています。

【英語学習法】そもそも単語はどうやって覚えるのが効果的なのだろうか?

ストックがない状態で洋画を視聴したり、洋書を読んでも内容が理解できなくて、英語学習をやめてしまうこともあると思います。実際私は何度も挫折を繰り返しました。何が辛かったかって、「海外ドラマや洋書に、フレーズめちゃくちゃ出てくるから覚えたほうがいいよ」って言われても、どれがフレーズでどれが単語なのか区別がつかなかったことです。

英語フレーズのストックを増やすには、生の英語に触れるしかないと思います。ネイティブの小学生が読むような本にもフレーズや結構難しい単語は当たり前のように出てきます。背伸びせずに読める or 少し難しいくらいの本をひたすら読んでいるうちに、知らない単語が出てきても「あ、これフレーズっぽい」と、なんとなくわかるようになります。 あと、BrightureのスピーキングクラスのDC(Daily Conversation)も、英語表現のストックを増やすにはもってこいの科目です。

そうやって少しずつ英語フレーズのストックが増えていくと、洋画やポッドキャストの視聴で「めちゃくちゃ使われてる……」と気づくようになります。ここまでくるとこっちのものです。洋画の視聴や洋書を読むことがどんどん楽しくなってくるはずです。

ストックを増やす作業(洋書を読む、洋画や英語のポッドキャストを聴く)は、自分ひとりでもできます。目覚めの10分、昼食後の20分など、1日の中ですきま時間は必ずあると思うので、毎日少しずつでもインプットをして、たくさんのフレーズに出会ってください!

Brighture
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