more/most, less/least はセットで覚えよう!

John is taller than Zack.
ジョンはザックより背が高い。

Paul is the tallest guy in the class.
ポールはクラスで一番背が高い。

中学生で習う英文です。あまり難しくありませんが、いざ会話となると、とっさに出てこなかったり、文法ミスを犯すことが多いものです。なかでも混乱しやすいのは、次の3つです。

  • most, least の前にtheをつけ忘れる
  • 形容詞、あるいは副詞の前に more、most をつけるのか、それとも語尾を 〜er, 〜est に変化させるのか?
  • less, least の適切な使い方

この3つを詳しく解説します。

最上級に、なぜ the が必要なのか?

最上級の most, least、あるいは 〜est には、必ず the がつきます。least は中学では習いませんが、合わせて覚えてしまうとラクなので、「もっとも少ない」を意味する最上級だと思っておいてください。

He is the tallest man in his class.
彼はクラスで一番背の高い男です。

Jane is the most popular girl in the class.
ジェーンはクラスで一番の人気者です。

Mike is the least popular guy in the class.
マイクはクラスで最も人気がない男です。

問題は、なぜ最上級には必ず the が付くのかです。「最上級には the を付ける」と暗記するのも一つですが、理屈がわかれば、つけ忘れることはなくなりますので、理解してみましょう。

1. 多数の中から最上位・最下位を選ぶ最上級

比較級は、2つを比べる場合に使います。日本とアメリカの人口、A君とB君の成績、カワサキとホンダのバイク、なんて具合です。

一方、最上級は、「3つ以上のモノやコト、人の中から、最上位、最下位を選ぶ場合」に使います。「一番」は一つ(あるいは1人)だけですから、唯一無二の存在です。このため、唯一無二であることを示す定冠詞 the によって導かれます。

これはちょうど、

Yoshihide Suga is the prime minister of Japan.
菅義偉氏は日本の総理大臣です。

と同じです。prime minster (総理大臣)は1人しかなれませんから、「どの総理大臣?」となることはありません。「一番背が高い人」や「一番成績がいい子」も同様に1人だけですから、最上級には定冠詞 the が必要なのです。

John is the tallest kid in the class.
ジョンはクラスで一番背が高い子です。

「一番背が高い子」は1人しかいません。なので、the tallest なのです。

最上級であれば、mostでも同じです。

Gail is the most beautiful girl on the island.
ゲイルは島で一番の美少女です。

このmost の前の the は、忘れる人がとても多いのですが、 mostには「たいていの」といった意味もありますので、theをつけ忘れると、意味が正しく伝わらない可能性があります。ですので、「ただ一人、最も〇〇なのは」というニュアンスを意識して、the をつけるようにしてください。

2. more, mostと 〜eir, 〜est との使い分け

次に迷うポイントが、形容詞や副詞の前にいつ「more/most」がつき、いつ語尾が「 〜er / 〜est」に変化するのかです。

これは、形容詞・副詞の「音節の数」によって決まります。

音節のことを英語ではシラブル(syllable)と呼びますが、英語の発音やイントネーションを知る上で非常に重要な概念なので、詳しく知りたい方はこちらの本をどうぞ。

英語と日本語では、この音節の捉え方が大きく異なります。例えば「マクドナルド」は日本語だと「マ・ク・ド・ナ・ル・ド」の6音節ですが、英語だとMc・Don・ald’sと、3音節です。音節の数え方はかなり複雑ですが、基本的には単語内の母音の数を数え、語尾のeは無視します。また、ee, ea のように母音が続く場合には一つと数えます。また、語尾のy は数えます。

この音節の数によって、 〜er, 〜estにするのか、それともmore, most. (あるいはless, least)にするのかが決まります。ここでは簡単なルールを説明します。若干の例外はありますが、おおよそこの通りです。

ルール1:音節が1つの場合、語尾が「 〜er /the 〜est」となる

音節が1つの場合には、「 〜er /the 〜est」になります。

tall:

比較級:taller

最上級:the tallest

late :

比較級:later

最上級:the latest

Soon:

比較級:sooner

最上級:the soonest

まず、これは簡単ですね。それでは次のルールです。

ルール2:音節が3つ以上の場合は「more/the most」を使う

音節が3つ以上のときは、単語の前に more, the most 、あるいは less, least を使います。

Important :(音節:im-por-tant)

比較級:more important, less important

最上級:the most important, the least important

Comfortable:(音節:com-fort-a-ble)

比較級:more comfortable

最上級:the most comfortable

ルール3:単語が「 〜ly」で終わる場合は「more/most」を使う

さらに、単語の語尾が「 〜ly」で終わる場合にも、more/mostまたは less/least を使います。

commonly:com-mon-ly

比較級:more commonly, less commonly

最上級:the most commonly, the least commonly

seriously :se-ri-ous-ly

比較級:more seriously, less seriously

最上級:the most seriously, the least seriously

ルール4: 音節が2つの場合、「 〜er/ 〜est」/「more/most」のどちらになるかは単語による。まれにどちらでも大丈夫な単語もある

音節が二つの倍には、「 〜er/ 〜est」/「more/most」(または「less/ least」)のどちらかになります。単語によるので、これは暗記するしかありません。また、数は多くありませんが、どちらでも大丈夫な単語もあります。

narrow:(音節:nar-row)

比較級:narrower

最上級:the narrowest

pretty:(音節:pret-ty)

比較級:prettier

最上級:the prettiest

handsome:(音節:hand-some)

比較級:more handsome, less handsome

最上級:the most handsome, the least handsome

simple:(音節:sim-ple)

比較級:simpler または、more simple, less simple

最上級:the simplest または、the most simple, the least simple

こちらに単語をいくつか挙げましたが、特に規則性がありませんので覚えてしまうしかありません。

more, most と less, least の関係

では最後に、日本人があまりうまく使えない、lessとleast の使い方を解説します。

実はmore と most は、many/muchの比較級と最上級です。対して、less と least は、few/littleの比較級と最上級です。

much, many は「多い、大きい」状態を表すときに使います。一方 little, few は、「少ない、小さい」状態を表すときに使います。many, few は対象が数えられるときに使い、much, little は数えられないときに使います。

比較対象に比べてより少ない、小さい、低い方向を表したいときは “less, least”を使い、 より多く、大きく、高い方向を表したいときには”more, most”を使います。イメージ的にはこうです。

いくつか例を見てみましょう。

John, Mike, Peter の3人の男性がいたとします。John はとても太っており、Mikeはやや小太り、Peter は痩せています。

まず、MikeとPeterは、最上級を使ってそれぞれ次のように言い表せます。

John weighs the most.
ジョンが一番体重が重いです。

Peter weighs the least.
ピーターが一番体重が少ないです。

JohnはPeterの二人を比較すると、Johnの方が体重が重いので、こんなふうに言うことができます。

John weighs more than Mike.

ただ、同じ関係でも、視点を変えれば「Mikeの方が体重が少ない」とも言えます。

Mike weighs less than John.
マイクはジョンよりも体重が少ないです。

今度はJohnとPeterを比べてみます。John はPeterよりもずっと体重が多いですから、muchでその幅を表現します。重さは指で指して数えられないのでmany ではなく、muchです。数えられる名詞、数えられない名詞については、こちらの記事をご覧ください。

John weighs much more than Peter.
ジョンはピーターよりもずっと体重が重いです。

これもまた視点を変えると、「Peterよりずっと体重が少ない」と言えます。

Peter weighs much less than John.
PeterはJohnに比べてずっと体重が少ないです。

このmuchはJohnとPeterの体重差の度合いです。PeterとMikeならさほど体重が変わりませんから、 littleを使って、体重差があまりないことを表現します。

Mike weighs little more than Peter.
マイクはピーターよりも少しだけ体重が重いです。

これもまた、逆に、Peterの方が体重が少ない、と言えます。

Peter weighs little less than Mike.

なんとなく、lessの概念がわかったのではないでしょうか?

次は数えられる場合です。

パシフィックホテルは部屋がたくさんにあります。部屋は数えられるので、many を使います。

Pacific Hotel has many rooms.
パシフィックホテルには多くの部屋があります。

一方オーチャードホテルは小さなホテルで、部屋があまりありません。部屋は数えられるので、little ではなく、fewで表現します。

Orchard Hotel has only a few rooms.
オーチャードホテルは部屋数が少ないです。

これを比較級にするとこうなります。

Pacific Hotel has more rooms than Orchard Hotel.
パシフィックホテルはオーチャードホテルよりも多くの部屋があります。

同じことを、「オーチャードホテルの方が部屋数が少ない」と言うには、less を使います。

Orchard Hotel has less rooms than Orchard Hotel.
オーチャードホテルは、パシフィックホテルよりも部屋数が少ないです。

最後に最上級です。パシフィックホテルは、市内で最も部屋数の多いホテルだとします。その場合には、mostで表現します。

Pacific Hotel has the most rooms among all the hotels in the city.
パシフィックホテルは、市内のホテルの中で最も部屋数が多いです。

一方、オーチャードホテルは部屋数がとても少ない、市内で一番小さなホテルです。

Pacific Hotel has the least rooms among all the hotels in the city.
パシフィックホテルは、市内のホテルの中で最も空室が少ないです。

「 〜er/ 〜est」のときはどうするのか?

では、最後にこのless, least を「 〜er/ 〜est」の場合にはどう使うかです。
例えば、Janet, Peter, Mike 3人の大金持ちがいたとします。3人とも、とても richです。

一番の大金持ちはJanetです。最上級を用いて、このように表現できます。

Janet is the richest person in the group.
ジャネットはグループの中で一番のお金持ちです。

では、一番お金がない、Mikeはどうでしょうか? まず、対義語 poor を使ってこう言えます。

Mike is the poorest person in the group.
マイクはグループの中で一番貧乏な人です。

ただ、Mikeは間違ってもpoorではないので、通常このような場合には、least を使って、

Mike is the least rich person in the group.
マイクはグループの中で一番お金持ちではありません。

の方が適当です。

次にJanetとPeter を比べます。Janetの方がお金持ちだ、というなら、

Janet is richer than Peter.
ジャネットはピーターよりもお金持ちです。

と言うことができます。

ただし、「Peterの方がお金持ちでない」と言いたい場合には、

Peter is less rich than Janet.
ピーターはジャネットほどお金持ちではありません。

と言います。 間違ってless richer という言い方をする方が少なくないので、気をつけてください。

新しい文法は聴いて把握し、使って定着させる

さて、今日は学校でmore, most を習うとき教えてもらえない、less, least を紹介しました。この言い方、頻繁に登場しますので、Podcastを聴いたり、ドラマの中で耳にしたら、「実際はこんなふうに使うのか」と、そのまま真似してみてください。気が利いたフレーズがあったら、そのままパクって自分のレパートリーに加えましょう。

子供が母国語を習得するときだって、まずはリスニングをタップリして、それから少しずつ言葉が出てきますが、あれと同じでいいのです。子供と違ってメモも取れますし字も書けますから、もっとずっと早く覚えられます。

Brightureでできること

Brightureでは特に「文法のクラス」というのは用意していません。次の3つの授業で文法の理解を深めていきます。

Everyday Speech

英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。

レッスン内容:Everyday Speech

Reading and Writing

Reading and Writingは、ブライチャーで英語力の基礎固めと位置付けられる重要なマンツーマン形式の授業です。課題図書をこなすことで自然な英文に大量に触れ、英作文をすることで文法のミスや不自然な言い回しを減らしていきます。

レッスン内容:Reading and Writing

Daily Conversation

日常会話でよく使う言い回しを学ぶクラスです。こうした初歩的な言い回しも丁寧に指摘してくれます。

レッスン内容:Daily Conversation

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