【英文法解説】Can と Could はどう使い分ければいいの?

can と could の違いは、学校であまり明確に教えてもらえないことの一つです。僕自身もアメリカに住んだり、多聴や多読を繰り返したりしてようやく感覚的に身につけました。そこでこの記事では、この二つはどう違うのか、たくさんの例を用いながら説明したいと思います。

can・could はそもそも何を表すのか?

could はご存知の通り、can の過去形です。この二つの単語はさまざまなシーンで、主に次の5つを言い表すのに使います。

1. 能力を言い表すとき
2. お願いするとき
3. 許可を得たいとき
4. 許可が得られているとき
5. 可能性を表現するとき

それでは順番に解説しましょう。

1.能力を言い表すとき

中学に入って一番最初に習う can の使い方が、この「能力」を表現する場合です。

I can swim.

と言えば「私は泳げる」、つまり「泳ぐ能力がある」ということになります。

I cannot swim.

と言えば、「私は泳げない」つまり「泳ぐ能力がない」となります。

また泳ぐ能力があるかどうか聞きたい場合には?

Can you swim?

となります。簡単ですよね。また、今泳ぐ能力があれば未来もその能力を持っている可能性が高いので、基本的に can は「現在〜未来」の話だと考えられます。図で表すとこうなります。

では could は何を表現するかというと、過去に有していた能力についての説明です。

I could swim.

だったら「私は(過去には)泳ぐことができた」ということになります。

I could not swim.

だと、「私は(過去には)泳ぐ能力がなかった」になります。

なお、could はあくまで過去の能力の話なので、今でもその能力があるとは限りません。また実際の会話の中でも、わざわざ過去の能力に言及する場合には、

I could run 10 miles when I was young, but I can no longer do that.
若かった頃、僕は10マイル走ることができたけど、今は到底そんなことはできない

などのように、「過去」と「現在」を対比させることが多いのです。

つまり、could を使うと言外になんとなく「もはやその能力は有していない」という感じが出るので、ここに注意してください。

日本人が間違えやすいポイント

なお日本語の「できた」は「成功する、達成する」という意味があるので、つい「おどかすのに成功した」というような意味合いで、

I could surprise my teacher yesterday.

などと言ってしまいがちですが、実はこれ、ちょっと奇妙に聞こえるのです。何と言うか、「昨日は先生を驚かすの能力を有していた」というふうに聞こえてしまうのです。

英語の could はあくまで「能力があった、可能だった」という意味合いで使うので、「驚かすことに成功した」と言いたい場合には、

I was able to surprise my teacher yesterday.

といった方が自然に聞こえます。つまりwas/were able toには「実際に実行できた」という意味合いがあるのです。

なお、「能力を有していた」「可能だった」と言いたい場合には、

I could see my teacher from my seat yesterday.
自分の席からでも先生をよく見ることができた(見ることが可能だった)。

が適切です。しかし、「週末を楽しく過ごすことができた」と言いたいなら、

I could enjoy the weekend.

だとなんとなくおかしいのです。こうすると、「楽しむ能力を有していた」と聞こえるのです。

ですので、この場合にも

I was able to enjoy the weekend.

の方が、ずっと正確にニュアンスが伝わります。

なお、この be able to とcan の違いはかなり微妙なので、また別の機会に取り上げてみたいと思います。

2. お願いするとき

もう一つの状況は、何かお願いをする場合です。ただお願いするといっても、can と could では丁寧さが変わります。

can を使ってお願いする場合には、かなりカジュアルなニュアンスになります。例えば、子供が親に何かおねだりするような状況や、友達に何か簡単なことをお願いするところをイメーシしてみてください。

Can you take me to the zoo?
動物園に連れてって〜!

Can you take me to the airport?
空港まで乗せてってくれる?

これに対して、could を使うともう少し丁寧なニュアンスになります。

Could you lock the door when you leave the office?
オフィスを出るときには、ドアをロックしていってもらえますか?

またよく、kindly などと組み合わせて、丁寧な感じを出すこともあります。

Couldyou kindly tell us the direction to the station?
駅までの道順を教えていただけませんか?

3. 許可を得たいとき

また、許可を得る場合にもcan、あるいは could を使います。この場合も、両者の違いはカジュアルか丁寧かだけです。

Can we play now?
もう遊んでもいいですか?

Can I borrow your car?
車借りてもいい?

一方 could を使うと同じ許可を得るのでも、丁寧になります。

Could I use your bathroom?
バスルームをお借りしてもよろしいですか?

また please を足してもいいでしょう。

Could I have your name, please?
お名前をお伺いしてもよろしいですか?

この許可を得る際の couldは、だいたい may と同じような使い方です。ですので、mayと差し替えてもおかしくありません。

May I use your bathroom?

May I have your name, please?

また、手助けを申し出る場合にも、この can / could / may はしばしば使われます。これは、手伝ってもいいかどうか許可を求めている感じです。

Can I help you?
お手伝いしましょうか?

Could I carry your luggage?
お荷物をお運びさせていただいてもよろしいですか?

May I escort you to your room?
お部屋までエスコートさせていただいてもよろしいですか?

4. 許可が得られているとき

それから、すでに許可がおりていることを言い表すときにも使います。

can は現時点で許可が下りていることを、could は以前許可が下りていたことを言い表す場合に使います。

The kids can play until supper.
子供は夕飯まで遊んでていいよ。

We can smoke in this room.
この部屋ではタバコを吸っても構いません。

You can take the books with you if you want.
よかったらその本を持って帰っても構わないよ。

一方 could を使うと、過去に許可されていたことを表現できます。

When I started to work for this company, we could bring our kids to work.
僕がこの会社で働き始めた頃は、職場に子供を連れてきてもいいことになっていた。

When I was a child, we could not leave the school until 4:00 pm.
僕が子供だった頃は、午後4時までは学校を出れなかった。

なお、このようなニュアンスで could を使う場合には、大抵の場合、現在は状況が異なっています。今は許可されているが、昔はされていなかった。あるいは逆に、昔は許可されていなかったが、今はされている、といった感じです。

When I started to work for this company, we could bring pets to work, but starting 2002, We can no longer do such a thing.
僕がこの会社で働き始めた頃は、会社にペットを連れてきてもよかったんだ。でも、2002年から、そんなことは許可されなくなった。

When I started to work for this company, we could not work from home, but now, we can work remotely if want to.
僕がこの会社で働き始めた頃は、家から働くことは許可されなかった。でも今は、リモートで働いてもよくなった。

5. 可能性を表現するとき

さて、次は可能性です。これちょっとわかりにくいのですが、can は一般的によく起こりうる可能性に使い、could はある条件を満たした場合にもしかすると起こる可能性に使います。わかりにくいので、いくつかの例を用いて説明します。

It can be really hot and humid during the summer in Tokyo.
東京では夏の間、とっても暑くて蒸すことがあるんです。

You can go to jail for stealing someone else’s money.
人の金を盗んだら、刑務所に行ったとしてもおかしくない。

いずれのケースも、いわば一般論です。東京の夏はひどく蒸して暑くなりがちですが、もちろんそうでもないこともあります。人のお金を盗めばいつ刑務所に行きになってもおかしくはありませんが、絶対に行くとは限りません。

一方、「今夜はすごく冷え込むかも知れない」であるとか、「運が悪いと刑務所に行くかもしれない」といったように、ある条件が整うと、もしかするとそうなってしまうかもしれない、といったような場合にはよく could が用いられます。

The temperature could go down to -5C tonight.
今夜は気温がマイナス5度にまで下がるかも知れない。

If John gets sued, he could lose the lawsuit and end up going to jail.
もしジョンが訴えられたら、彼は敗訴して、刑務所行きになる可能性がある。

This extreme rain could cause the river to flood the city.
大雨で街に洪水が起きるかもしれない。

Global average temperature increases of just 1 to 2 °C could result in widespread changes to the Earth’s environment.
地球の平均気温がたった1、2度上昇しただけで、地球環境が広範囲で変化する可能性がある。

こちらはいずれも、「もしかするとそうなるかも知れない」というようなある特定の条件下で起こりうる場合です。このような狭い話には、could の方が向いています。

なおこの可能性の違いが、先に出てきなカジュアルさと丁寧さに違いに繋がっています。

例えば、

I can help you with it.
それ、僕が手伝えるよ。

という文章だと、手伝う気持ちが前面に現れるのです。「条件と問わずに手伝ってあげるよ」という感じです。

一方、could を使うと、

I could help you with it.
それ、僕が手伝ってもいいよ。

という感じで、手伝うのに条件がつく感じなのです。

I could help you if I feel like it.

気が向けば手伝ってもいいよ。

かも知れませんし、

I could help if the time allows.
時間があれば手伝ってもいいよ。

かも知れません。何れにせよ、無条件で手伝ってくれる感じではないのです。

そこで、丁寧にお願いする場合や許可を得たい場合には、could をつけることによって、「いろいろご都合がおありかも知れませんが、よろしければ……」というようなニュアンスに変化する訳です。

まとめ

それでは最後にまとめです。

– 現在の能力を表現したいときには can、過去の能力を言い表したいときにはcould を使う。ただし、過去に能力があったことが、今できるとは限らない。

– 「〜できた」と達成を言い表すときには could よりも was/were able の方が適切。

– カジュアルにお願いするときは can、丁寧にお願いする時は couldを使う。

– カジュアルに許可を得たいときは can、丁寧に許可を得るときには couldを使う。

– すでに許可が得られていることを言い表すときにはcan、 過去に許可が得られていることを言い表す場合には couldを使う。

– 一般的な可能性を言い表すときはcan、特定の条件下での可能性を言い表すときは could を使う。

実際に使ってみよう!

こうした文法知識がついたら、参考書の例文ではなく、実際にネイティブ向けに書かれた書籍やPodcastなどで、生のサンプルに何度も遭遇することが大切です。そうするうちに、can と could のニュアンスの違いが育ってくるからです。

また、どんな文法のルールでもそうですが、実際にどんどん使ってみて、何も考えてなくても口をついて出てくるまで、繰り返し使って無意識レベルにまで落とし込みましょう。ほとんどの人はこのプロセスが足りていないので、スルスルと英文が口をついて出てこないのです。

Brightureでの取り組み

Brightureでは特に「文法だけに特化したクラス」というのは用意していません。なぜなら、文法というのは肌感覚で捉えないと、なかなか実際には使えるようにならないからです。ですので、文法に特化した授業をやるのではなく、実際に様々な表現を試行錯誤しつつ繰り返すことで、、文法の理解と定着を図っていきます。

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初歩的な英文法やイディオムの学習を目的とした初心者〜中級者向けの授業です。

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通常の英会話の授業では流れてしまいがちな文法のミスや不自然な言い回しを捕まえて、細かく修正を加えて来ます。

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。