外国人との英会話に割って入る英語力の養い方

英会話というと、なんとなく「1対1」で行われるようなイメージをお持ちの方が多いのではないかと思います。僕も実際に英語圏に住むまではそう思っていました。

ところが、現実にある外国人との会話シーンにおいては、意外に「1対1」はあまり起きないのです。夫婦とか恋人や親友なら1対1で話すことも多々あるでしょう。

しかし、まだ英語学習中の人に外国人の恋人や配偶者や親友がいる状況はあまり起きません。すると、外国人と1対1で会話するという状況は、海外からのお客さんが来た時とか、商談や面接、お店で値切るとか、そのくらいしか考えられないわけです。

現実の会話はグループでのダベりだった!

では、実際に会話の大半を占めるのは何かというと、複数のネイティブの友達とつるんでのダベりです。そしてグループでのダベりほど難しいものはありません。

まずベースがネイティブの外国人同士の会話ですからゆっくり話す人なんていませんし、スラングだって全開です。早口の人もゆっくりの人もいれば、声が大きい人も、小さい人もいます。また、話題もどんどんと移り変わっていきます。今さっきファッションの話をしていたかと思えば次はスポーツ、かと思うと突然政治の話…。

そして言うこと考えている間に話題が移り変わってしまい、発言のタイミングをずっと逸してしまうのです。だからたいていの日本人は、相当英語が流暢な人ですら話の中に全く入っていけず、地蔵のようにおし黙るか、端っこでニヤニヤしているのが精一杯なのです。

かくいう僕自身も長い間そうでした。いつも発言のタイミングをうかがってばかりで疲れてしまい、グループでつるむのは苦痛だったのです。お昼に誘われたりすると気が乗らない日々が、年単位で続きました。

世の中の英会話レッスンは1対1ばかり

その一方、世の中にあふれているのはこのような現実(つまりグループでのダベリ)とはかけ離れた、1対1を前提とした会話の練習ばかりです。

また、生真面目な英語学習者たちは英会話学校の貴重なお客様なわけですから、“Pardon” といえば先生たちは嫌な顔一つせず何度でも辛抱強く繰り返してくれますし、どんなに発音がひどくても我慢して付き合ってくれます。またCDなどに収録された会話シーンも、現実から大きく隔たるものばかりです。

初心者〜中級者のうちは、このようなプレッシャーのない環境での会話練習から大きな効果が得ることができます。しかし、こういった会話練習をただ何度繰り返しても、なかなか外国人と会話する実際のシーンとは繋がっていきません。これは一体どのように克服すればいいのでしょうか?

英語力が足りないのか?

僕自身が初めてこの問題に直面した時、最初に思ったのは、「自分自身の会話力の問題に違いない!」でした。まだまだ映画だってテレビドラマだって聞き取れずに苦労していた頃でしたからなおさらです。「語彙が足りないのかな?聞き取りができないせいかな?」と、ひたすら英語力の向上に務めました。

しかし、語彙が増えてもリスニングが向上しても、あまり状況は改善しませんでした。確かに最初の頃よりは若干ましになりましたが、相変わらず外国人グループでの会話では強い疎外感を味わい続けたのです。

話題が足りないのだろうか?

次に考えたのは「話題が足りないせいだろうか?」ということでした。スポーツ、ファッション、時事問題…。知らないことはたくさんありました。そこで僕は話題についていけるようにと、一生懸命雑誌を読んだりテレビを見たりしたのです。

しかし、そもそも外国人の彼らと日本人の僕とでは、育った環境も子供の時の体験も同じではありませんから、少しばかり話題を増やそうとテレビや新聞を視聴したって、同じ土俵に乗れるはずもないのです。結局のところ、状況はあまり変わりませんでした。

外国人との会話に割って入るには、話題の振り方が重要。

ところがある日のちょっとした気づきをきっかけに、話題にガンガン入っていけるようになったのです。

それは自分の部署のある会議でした。部門長だった僕はいつも自分で議題を用意して、自ら会話を始めていました。少しでも疑問点があれば根掘り葉掘りしつこくきき、話が脱線すると引き戻していたのは、他の誰でもない僕自身だったのです。

そしてその瞬間、「あれ?日常会話もこれと同じでいいじゃない」と気がついたのです。そしてその日を境にグループでダベるのが難しくなくなっていきました。会話する外国人と同じ文化を共有していなくても、同じ時事問題を知っていなくても、それらは大した問題ではありません。むしろ、「話題をどう振るか」、そして「わからないことは躊躇せずきく」の方がずっと大事なポイントだったのです。

外国人グループの中で会話するときに大切なこと5つ

グループでの会話入り込みそれを楽しむには、5つのポイントがあります。いずれも日本語なら無意識にできることですが、英語になると途端に難しいものです。最初のうちは、意識して取り組んだほうが会話に加わるキッカケを得やすいので、ぜひ意識的にやってみてください。

1. 会話に反応する
2. 声を発する
3. 質問する
4. わからないことは聞く
5. 自分から話題を振る


順番に解説しましょう。

まず、もっとも大切なことは、「会話に反応する」ということです。面白いと思えば笑い、賛同したら頷き、違うと思ったら顔をしかめたり、首を横に振ったりするのです。あるいは、肩をすくめたり、思わず隣の人と目を合わせる、などといったこともあるでしょう。こうしたボディランゲージそれ自体が、会話への参加なのです。

2つ目に大事なことは、声を発することです。 “Oh my God!”、 “Really?”、“No way!”といったような誰が聞いているわけでもないモノローグも大事な会話の一部なのです。独り言さえつぶやけないようでは、話題を提供するなんて到底できません。

3つ目のポイントは「質問をする」ということです。例えば外国人の誰かが “I went to see a movie last night.”と言ったら “What movie?”と間髪を入れずきくのです。長い難しい質問をする必要はありません。誰かが “I bought a new pair of shoes.”と言ったら “Oh, what kind of shoes?”とか “Where at?” などと言った具合にパッとその場で質問するのです。これ自体が、会話に加わる大きなきっかけになります。

4つ目のポイント、それは「わからないことを聞く」ということです。例えば会話している外国人の誰かが“What do you think of Marco Rubio?” と話し始めたとします。どうも他のメンバーは全員Marco Rubioが誰なのか何なのか知っていて、話題に乗っているようです。でもあなたはそれが誰なのか全く知らないとしましょう。

こんな時に日本人は、「盛り上がっているところ、話の腰を折っては申し訳ない」などと考えて何も聞かないままやり過ごしてしまうことが多いのです。こんな時には躊躇せずに“Who is Marco Rubio?” と聞いてみましょう。たいていの場合、話題に出した人はそもそもこの話をしたがっているので、嬉々として説明してくれます。あなたも話題についていけるし、話者もあなたが関心を得られて大満足です。

そして最後のポイントが「自分から話題を振る」ということです。例えば外国人の誰かから新しい靴を履いてきたとします。そして、 “I bought a new pair of shoes over this weekend.”と始めたとします。そしたら、“Where at?” ときき返します。ここまで先ほどの通りです。するとここで。“I got this over at Shibuya with my sister.”という返事がくるかもしれません。

ここが話題をシフトするチャンスなのです。例えば、次の話題として自分の兄弟や姉妹のこと、あるいは渋谷のことならば、唐突な感じを与えずに自然に話題を振ることが可能です。あるいは自分がどうやって週末を過ごしたかでもいいでしょう。

このように会話の中から1語だけ単語を取り出して、そこに繋いでいけばいいのです。ですから:

・“I have not been to Shibuya in a while. How was it? Any new shops?”

などというふうに渋谷の話にシフトしてもいいですし、

・“That’s great! I did not do much over the weekend. I just did some house chores with my brother.”

などと言って、自分の週末の出来事を話してもいいのです。

相手が話しているのと同じ話題で、なおかつ気の利いたことを言おうとするとどうしても何も言えなくなります。そうではなく、自分から話題を作り、振っていくのです。もしも話題が途切れたらその時は “Anyway…” などと言って全然違う話題にふればいいのです。

・“Anyway… I am going to the party at Brian’s this evening. Any idea as to what to wear?”

こんなふうにパーティに着ていく服の話を突然してもいいわけです。パーティの服の代わりに「今夜の巨人阪神戦はどうなるか?」でも「アメリカの大統領選はどうなるか」でも「オススメの映画ある?」でも一向に構わないわけです。

こうして会話が回っていきます。あなたの話題にみんなが首を振ったりうなずいたり、驚いたり、意見を言ってくれたりします。そして1分もしないうちに、話題はまた別のことへとずれていきます。そしたらそれを楽しみ、また時折チャチャを入れて自分から話題を振ればいいのです。

話題のストックを作っておこう

さて、こうしてみると簡単そうですが、やっぱり現実となるとなかなか難しい部分もあります。特に英語力が低いうちは、相手の言っていることがわからなかったり、話題があってもどう表現していかわからなかったりと、幾重もの壁が立ちはだかります。

ですから簡単な表現でいいから、自分の言いたいことをある程度言えるようになっておく、これは大切なことです。そしてこれは、1対1の会話レッスンで十分に培えるのです。また僕がやったようにテレビを見たり雑誌の読んだりというも、まるっきりの無駄というわけではありません。そもそも表現方法があまりにも乏しいと、話題を振りたくても振れないからです。

瞬発力を鍛えておく

ある程度基礎的な英語力がついたら、文法の正確さばかり気にせず、考えたことを瞬時に口で表現できるよう、会話の瞬発力を鍛えておきましょう。日常会話とは瞬時にその場で起きていくものです。日本語を介さずに英語を英語のまま理解する力が育っていないと、会話の瞬発力はいつになってもついてきません。瞬発力の鍛え方については、そのうちに取り上げて書いてみたいと思います。

ブライチャーでの取り組み

ブライチャーでは、この「英語を英語のまま扱う」能力の育成を重要視しています。ですから日本語の参考書も使いませんし、課題図書はすべて新聞記事や小説などといった「生きた英語」だけに限っています。

また、ある程度の瞬発力がついた方にはこの記事で紹介したグループの中での会話力を養う「ソーシャルカンバセーション」のクラスを提供しています。グループレッスンといえば普通は先生1名に生徒5、6人といった感じですが、ブライチャーでは先生と生徒が同人数の比率で、極めてリアルな日常会話を再現しているのです。

さあ、あなたもぜひブライチャーで学び、本当に「使える英語」を自分のものにしませんか?

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。