派遣社員から外資系企業の責任者へ ーー 「バカバカしいほど英語が大事」な外資系で求められるビジネス英語力とは

香港で外資系企業のファイナンス責任者として働く二葉一嘉(ふたばかずよし)さんは、ライティングとスピーキング、プレゼンテーションを改善するため、2019年1月にBrightureセブ校に2週間留学、その後も My Brighture でレッスンを継続しています。香港での仕事や生活における英語の必要性についても話を伺いました。

二葉一嘉さん/40代/男性/会社員

派遣社員を抜けるためには英語を勉強するしかないと始めた

英語学習歴から教えてください。

もともと英語は好きでしたが、大学は経済学部に行き、3年生で1年イギリスに留学しました。当時の英語力はTOEICで400点くらい。今思えば、もっと勉強しておいた方が良かったな、と思います。

海外に進出している飲食に行きたくて、新卒でワタミに入りました。しかし仕事がハードな上、希望した海外部署への異動はほぼなさそうだったため、1年でやめて派遣社員として働き始めました。

洋酒メーカー大手バカルディにITアシスタントとして出向し、そこからガムシャラに英語を勉強し始めました。派遣社員から正社員になるのは至難の技で、このままいくと、ずっとアルバイト程度の仕事しかできないと覚悟していたのです。そこから抜け出すには、英語をもっと勉強するしかないなと思いました。

バカルディのアジア本社は香港だったんです。ちょうど会社が大きくなっていくタイミングで、本国との関わりが増えていく中、英語ができる人が少なく、ちょっとでもできると注目されて仕事の機会が増える時期でした。

アジアからコンサルタントが何ヶ月か日本に駐在して、一緒にプロジェクトをやるのですが、そこでITのアジア本部のマネジャーと仲良くなりました。

当初はどうやって勉強したのでしょうか。

当時は勝間和代さんが英語のノウハウ本を出していて、「スコアにフォーカスするのが明確でわかりやすい」と提唱していました。そこで身近にあるTOEICを受けまくりました。参考書だけで4、5年勉強し、TOEIC700点まで行きました。

その後、バカルディで正社員になったのですが、リストラに引っかかってしまい、医療機器メーカーの3Mグループにファイナンスとして転職し、2年半働きました。そこでファイナンス・アカウンティング(経理)を勉強し、いつかはリージョナル・オフィスか、本社で働きたいと考えていました。3Mグループをやめて、ラルフ・ローレンの日本法人に、香港のアジア本部にレポートする経理のポジションがあったので転職しました。

ラルフ・ローレンのボスはアメリカで教育を受けた香港人でした。それまでの仕事では、リーディング・ライティングが主だったんですが、スピーキングの能力が必要になりました。そこで、フィリピンの安いオンライン英会話学校R社で勉強を始めました。

廉価な英会話ではビジネスまでは対応しきれなかった

R社での学習はいかがでしたか。

安いしありがたかったです。当時はスピーキングができなかったので、僕にとってはコスパも良かった。今でも初心者で頑張ってる人には勧めています。毎日1コマ、ランダムで気に入った先生を取り、会話を練習しました。半年くらいやって、7年前に香港本社に移ってやめました。

香港では日常的に英語を使うのでしょうか。

香港に移ってからは生活が全部英語に変わりました。家の近くに英会話学校があり、マンツーマンで、香港特有のカルチャーを教えてもらっていました。

ラルフローレンは社員に欧米人が多く、英語のスピードも早い。英語ができず言い負かされたり、頭の中で翻訳してるだけで終わってしまうことがありました。言語のスピードについてけないと能力がないと見られてしまうので、辛かったです。

毎日仕事でネイティブ並みのボスから英語でいろいろ求められて、そのプレッシャーとストレスでオンライン学習をやる力が残っていないんです。

また、実地でスピーキングやプレゼンテーションの必要が出てきました。R社は日常会話レベルはできるけど、実地でビジネスで使える英語はおそらく提供してないのです。

2019年1月、ラルフ・ローレンを退職し、次の会社にいく前に、1ヶ月有休消化期間がありました。ちょうど、友達が香港に立ち寄ったときに、フィリピンの英会話学校に1ヶ月いくと話していて、「1ヶ月あるんだったら、フィリピンに行って、英語でもやろうか」と、学校を探し始めました。ちょうどポジションも上がるし、しっかり勉強したいな、と。

初日から「あ、これはすごい」と驚いた

どんなふうに学校を探したのでしょうか。

香港人の英語の先生に相談したら「なんでフィリピンにいくの?」って感じでした。フィリピンの英語学校は日本人と韓国人くらいにしか知られてません。彼女は「レベルの高いところにしなさい。変なところに行くと、お金だけかかって実りがない。一週間やって、よければ延長し、ダメなら帰ってくれば?」と言いました。そこで、徹底的に勉強させるという2つの学校に候補を絞り、最終的にBrightureに決めました。

決め手は、たくさんの単語を覚えさせられるより、ビジネスに特化した方がいいと思ったこと、また、松井さんのブログも読んでいましたし、外資系で日本法人からリージョナルや本社に行くって難関と知っていたので、尊敬の念がありました。

しかし申し込み時には、Brightureに対し「(御社の)レベルが低かったら、一週間で終わりにします。でもトライさせて欲しいです」って言いました。今思うとかなり失礼で感じ悪いですが、とりあえず言っておこうと。そしたら、「大丈夫ですよ」と対応してもらった。

まずは一週間行ったんですね。行ってどうだったのでしょうか。

5年海外で働いてますから、ある程度生活でも仕事でも英語はできる自負があったのです。ところが、やってみたら「あ、これはすごいな」と初日から驚きました。かなり難しく、認識と実際の差を明確に示してくれた。ハードでした。

どこが難しいと感じたのですか。

例えば、発音の授業である Phonics and Pronunciation(PP)です。僕は発音はもともと捨てていて、そんな授業があるってことも知らず驚きました。

Listening and Speaking(LS)の授業では、ロジカルなスピーキングを求められるのですが、全然できなかった。それまで英国や香港の語学学校では、「ボディとコンクルージョン」など、意見を論理の型にはめるところまで教わっていなかったんです。

RW(Reading and Writing)でも、メールは日常的に書いていたけれど、長文は書いてなかったので、「ああ、何もできなかったんだな」と認識できました。

これまで、雰囲気と業務知識でやり抜いてきたけど、きちんとした総合的なところがカバーされる感じでした。

みんなそうだと思うけど、この二週間は夜中の1〜2時まで宿題やって、大変でしたが、同時にすごく楽しかったです。社会人になって、キツい勉強をする機会がなくなっていましたが、その二週間は好きな勉強をすればいい。充実してて良かったです。

かつてのボスに「発音が聞きやすくなった」と言われる

その後もBrightureを続けられたのですか?

2年間は「My Brighture」で発音のクラスだけ週に2回とりました。ライティングやスピーキングもやりたかったですが、転職して忙しくなり、宿題が多くて時間がなかった。

オンラインのほうが行き来も必要ないし、時間も節約できて良いです。最初はセブ時代の先生を選んでましたが、最近は先生が増えてきたので、何人か試して相性が合う人を決めてます。どの先生も、きちんとトレーニングされてて、この人ダメだなって感じたことがないです。

効果はありましたか?

1年くらい経って、ラルフ・ローレン時代のボスや同僚に「英語が聞きやすくなった」と言われるようになりました。僕は完全なジャパニーズ・イングリッシュだったのですが、自分でも気がついたら、喋りやすくなっていました。音の出し方がスムーズになってきたので、続けてて良かったです。

また、職域が変わり、これまではサポート側だったけど、会議を運営したりファシリテートする機会がものすごく増えたました。ちょうどいいタイミングで発音矯正して、使っていけてるので、相乗効果があります。

レベルの高いプレゼンテーションが求められ、今は話す訓練中

今の会社ではどんな英語が必要なんでしょうか。

今の会社は中華系で、みんな英語は話せますが、ラルフ・ローレンと違って海外の大学の卒業生や欧米人は少なく、楽になりました。 ときどき皆が広東語になることもありますが、重要なミーティングは全部英語でやる感じです。

ただ、最近ジョブグレードがあがり、本社の社長など、レベルの高い人の前でプレゼンテーションする機会が増えました。

このプレゼンテーションも、1年半、スクリプトを全部作って読むだけで、うまく行ってたんです。

ところが先日、大きな会議で準備してないところを突然オーナーに質問され、しどろもどろになってしまい、徹底してみんなの前で詰められてしまいました。その反省から先月からリスニング&スピーキングと、ライティングを始めました。

リスニング&スピーキングで短い時間で1つのトピックを考え、時間内に話す訓練をしています。

コロナで在宅ワークが増えているので、今は週3、4回。PPを2回、LS1回、RW1回。トータル週4回です。けっこう大変です。

発音は、やってて楽しいので、気分転換になりますね。体に染み込んでないので、やらなくなると、元に戻る感じです。宿題も必要ないし、頭使わないし、友達に会って会話してるようなスタンスです。

外国人に何かを伝えるにはロジックが重要になる

ほかの学校は考えなかったですか?

Brightureの授業は、全部がきちんとビジネスに直結していて机上の空論じゃない実感があります。

例えば、メールを出すときの基準がクリアになりました。ラルフローレンの最後のボスは、無茶苦茶厳しいオーストラリア人で、メール1個1個に厳しくコメントしてくるんです。「まどろっこしい」とか、「無駄だよ」って。しかしノウハウまでは教えてくれない。彼らは欧米で教育・トレーニング受けて自然にできてるんですね。

ところが僕たちは論理的に効果的にどう話すかという教育も受けてないですから、どうしていいのかわからない。

Brightureでは、論理的にシンプルに相手に伝えるにはどうするか、きちんと教えてくれます。英語がそこまで得意じゃない人に、どんな基準でビジネスメール送ったほうがいいか、説明できるようになりました。上層部クラスのクライアントとやり取りするようなトレーニングは普通の語学学校ではできないし、そこまでやってるのは見たことがありません。

ロジカルを教えてくれる感じでしょうか?

今は、日本法人のファイナンスを責任者として見ていますが、外資系には、帰国子女とそうじゃない人たちがいます。海外で教育を受けた人たちは、ロジックが徹底的にインプットされてるので、彼らにとったら「普通」なんです。

そして日本で育った日本人はやっぱり「こいつの書いてる英語はわかんない」とか言われてます。僕が読むとロジックの思考の形態が日本と海外で違うのがわかる。ロジックが徹底して頭にインストールされてないから不利なんです。するとこの人には「教育がない」みたいなイメージで見られちゃう。

日本人ビジネスマンは、本などを見て英語のメールを書いていますが、多くのテキストには実戦で鍛えられたロジックがないんです。そのロジックの作り方を、フルスコープで提供してくれるところが見つかって、すごく良かったです。

英語ができるとチャンスが広がる

それだけ外資系には英語が大事ってことでしょうか。

本当にバカバカしいくらい英語が大事です。

日本のファイナンスの責任者になって、日本で人を探す立場になったのですが、日本人の英語力は10、20年前から大して変わってない。ゼロ(全然できない)か1(できる人たち)の世界で、1が極端に少ないのが日本の今の現状です。仕事も英語もできる人は極端に不足していて、1の母集団は無茶苦茶いいところに偏っています。全体数からすると、あまりにも少ない。

日本で英語を本当に使ってるのって、外資系のコンサルタントとか、外資系の投資会社とかだけだと思います。それ以外は外資系でも上層部にいかないと使いません。

英語はちょっとでもできるだけで、仕事の機会があります。自分も、海外の本社勤務になったのは、語学ができたからです。英語がなくても、社員にはなってたかもしれませんが、英語のおかげで次のチャンスを取れました。

香港人など、他のアジア人はどうでしょうか? 日本人だけが英語ができない?

韓国人と日本人が特にできないですね。日系企業の駐在も大体英語できないから、ほぼ日本語でやってます。こんなに英語が全然わかんない種族って、ほとんど見たことない。香港人だって日常会話は普通にできます。

香港の大学って10くらいしかないですが、全部世界的にトップクラスですから、基本的リテラシーは高く、きちんとした教育もある。日本の問題は教育システムだと思いますが、そのため変な苦労をせざるを得ない。

ラルフローレンのように日本人をリージョナルまで引っ張ってくれることは珍しく、通常は、海外の大学を出た人しか出世できません。

Brightureをビジネス・パーソンに進めますか

英語を使う人、特に仕事をしてる人には勧めています。英語でプレゼンしたい人はBrightureのレベルでやらないといけないと思います。一番いいメソッドじゃないかな。

ただ、覚悟を持ってやり続けないと続かないです。例えば、発音でもBrightureでは「これがおかしい、あれがおかしい」って言われてイライラします。おべっか使って「あーよくできましたね」って喜ばせるような部分がない。先生だって、実践的なビジネス経験がない人もいるから、「外資系で7年生き抜いてるのはこっちだ」って思うけど、自分をよくするために教えてもらってます。

今後の予定を教えて下さい。

今後1年、2年で徹底的に、スピーキングを強化します。またライティングも、長い文章を論理的に書けるようになりたい。コロナが落ち着いたら一週間セブにも行きたいなと思います。

ペラペラになったら、勉強は必要ないかも知れませんが、それまではやり続けないと落とし穴があります。出世もできないし、リストラにあうかもしれません。サボれなくてちょうどいいのかな、と思っています。

最近、Brightureではオンライン留学プログラムも始めましたよね。本当は実際にフィリピンに行きたいけど、できないなら、あのきついスパルタをオンラインでやってもいいなと思います。

ありがとうございました。