元米国駐在の会社経営者が、ストイックに発音の「トレーニング」を続ける理由

2018年10月に一週間セブ留学をして、以来オンライン留学やMy Brightureでレッスンを継続されている原大介(はらだいすけ)さん。TOEIC 945点、米国での駐在経験がありながら、発音(Phonics and Pronunciation)に集中して学習を継続。「日本企業が海外で資金調達したいなら、基礎である発音が重要」という原さんに学び続ける理由を伺いました。

原 大介さん/30代/男性/会社経営者

まずは、最初に英語学習を始めたきっかけから教えてください。

高校時代にアメリカ・アラバマ州に1年間交換留学しました。 友達につられて申し込んでみたら受かっちゃったんです。

当時の英語は「あれでよく生活できた」くらいのレベル。ただ、英語ができなくても、ニコニコしてると友達ができました。留学後のTOEICは780点でした。帰国して、慶應義塾大学経済学部を受けたのですが、英語の配点が多く、簡単に合格できました。

その後仕事では英語を使われたのですか。

大学卒業後、公認会計士の試験に合格し、2007年からは外資系のErnst & Youngで働き始めました。ただ業務で英語を使うことはほぼありませんでした。

2011年にTOEICを受け、945点でした。攻略本で対策するだけでしたが、TOEICはそれで伸びるんです。僕は対策は得意なんです。会社の交換プログラムで白羽の矢が立ち、2012年からはアメリカに2年間駐在しました。

実際に米国で働いてみて、どうでしたか。

駐在してすぐ、最初のクライアントのところに、1時間半運転して行ったら、責任者から「英語が思ったより話せないね、イメージと違うから帰っていいよ」って言われたんです。無理やりお願いして話を続けたのですが、これが変わるきっかけとなりました。

仕事の内容はわかっていても、「これって何がどうなってるの」と聞かれた途端に説明できなくて、高い評価がもらえないのです。

そのうち会計能力でポジションを確立すればいいと気づいて、仕事自体はいい感じでできたんですが、アメリカの評価はアピールしてナンボなんです。よく当時の上司から「大介は自分でアピールしないと生き残っていけないよ」と言われました。 コミュニケーションに限界を感じて、日本に帰ることにしました。

日本に帰ってきてからはどうしていましたか。

2015年からはIPOに興味を持ち、スタートアップ何社かでCFOとして働きました。そのうち、「海外からも資金調達が必要だから、将来に向けて準備しよう」って話になり、もう少し英語を勉強しないと、となったのです。 そこで当時渋谷にあったブライチャーの体験授業に行きました。

体験授業の準備体操に20分もかかった

なぜブライチャーの体験授業を受けられたのですか。

松井博さんのTwitterをフォローしていたので「どんな感じだろう?」と。受けてびっくりしました。当時はリスニングの授業のはじめに準備運動があって、英語でカウントするんですが、数字の発音ができなくて、20分かかりました。「thができてない」とやり直しさせられて。

その後30分間レッスンしたのですが、無茶苦茶に疲れて「全然できないものだな」と思いました。発音の授業も、素晴らしくきついレッスンでした。

基礎が全然なってないと指摘の数が尋常じゃないんです。それまでほぼ独学で勉強してきたため、癖のある英語を話すタイプだったと思います。「これ1週間やったら伸びるんじゃないかな」と思いました。

当時は仕事も忙しかったのですが、1週間、発音に注力して学ぶことにし、セブに行きました。

投資相手の心を動かすには「心を動かす英語」が必要

ところで、なぜ資金調達をするのに、英語の発音が重要なのですか。

僕の仕事は、銀行や投資家を説得してお金を入れてもらうことです。ですから、最後は結局、相手の感情をいかに動かすかなんです。投資が決まるときって、部屋の空気が変わるんです。「この会社を応援しよう」と思ってもらうのには言葉への「没入感」が必要で、下手な英語だと感情を動かせません。

日本語なまりの下手な発音で、相手がいちいち「こいつ何言ってるんだろう?」と脳内で変換していたら共感は得られません。

イチローは通訳を使ってましたが、彼の本業は「野球」なので言葉は要りません。しかし経営者は、人を巻き込んで説得できてナンボです。創業のストーリーを言葉以外で表すのは難しいですよね。でも、日本語英語だと没入感が作れない。

今、海外投資家が日本市場に注目してると言われます。しかしネックの一つは、日本の経営者が英語を喋れないことです。うまくいってる経営者は英語ができて、海外投資家からお金を集められてます。

最初のセブの1週間はどうでしたか。

辛かったです。大学受験でも、ここまで集中して勉強した経験はなかったです。

僕は発音を重視し、発音クラスを子音と母音の合計2時間やったのですが、子音では「Z」の音が出せなくて、結局1週間「Z」で終わってしまいました。また、ライティングでは、毎日のエッセイの宿題が出て、毎日3、4時間かけてしんどかったです。

1週間終わって、次の日は観光しようと思ってたんですが、頑張りすぎて熱が出ました。

それまでのオンライン・レッスンと比較して違いはありましたか。

学校にはそれぞれ目的がありますが、ブライチャーは、「トレーニング」や「修行」に近いです。僕も正直、ブライチャーの先生には「エンタテインメント」ではなくて、英語をうまくする手伝いをしてほしいと思ってます。だから、仲良くしたいとか皆無です。しかし、ずーっと続けてたらいつかは上手くなる、正しい軌道に乗ってる感じがあります。

アメリカ駐在前、フィリピンのオンライン英会話を1年やってましたが、「英語ちょっと使っておくかー」と、カジュアルな会話をする感じでした。会社で英国の学校を利用しましたが、こちらは社内の試験準備が目的でした。

その後はどうしていますか。

しばらく渋谷校に週1で通いましたが、10月に起業して忙しくなり、しばらく週2回のペースでオンラインレッスンを続けました。

ところが、コロナで暇になり、ライブも飲みにも行けないので、2020年4月から毎日オンラインレッスンを受けています。ほとんど発音(PP)です。


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発音クラスは筋トレと似ている

発音クラスを毎日やることで効果は出ていますか?

発音の練習は、リスニングとスピーキングに効いていて、特にリスニングに与える影響は思ってるより大きいです。

基礎発音能力が上がってくると、英語が深くわかるようになる。歌を聞いても、ちゃんと単語がクリアに聞こえます。前は単語を拾えても、ぶつぶつぶつ、って感じ。今は糸が伸びてるようにツーっと聞こえるのです。

たまに英語で話すときも以前よりスムーズに話せて、「俺、すごいできてるじゃん」と感じます。以前の先生に「Zの発音ができるようになったね」って言われたりします。

ただし、確実に成果として目に見えるかというと、違います。調子がいい日も悪い日もある。僕は5年間筋トレをやってるんですが、ベンチプレスも毎回110Kgは上がらないけれど、ずっとやってると少しずつ伸びていく。発音も同じです。

方向感としては正しいと思っていて、今のところはその仮説を検証できてます。

なぜ発音のクラスにこだわるのですか。

ほかのクラスも受けたのですが、指摘が結局いつも発音になるので、現時点だと基礎を鍛えないと、どうにもならないと思ってます。

ライティングだけはもしかしたら別かもしれません。ただ正直、英語使って仕事する機会もないし。まずは基礎の筋トレをしています。

先生たちは生徒の状態によってハードルを変えてくる

PPクラスはすでにもう何度も繰り返しているのではないでしょうか?

多分同じ教材を3、4周は繰り返しています。過去どれくらいできなかったか記憶にあり、間違いは少なくはなってきてるのですが、先生側から言われることが変わり、新しい課題が見えてきます。

ブライチャーの先生たちは、ムッチャ僕のことよく見てて、だんだんハードルを上げてきます。最初は個々の発音の指摘だけだったのが、だんだんどうやったら自然に聞こえるかとか、単語が難しくなったりとか。

たまには「ダイスケ、今日は完璧だ」って回があってもいいのに。 あの人たちはそれが一切ない(笑)。ミスを指摘され続けてます。生きてて、こんなに指摘されることってない。ロジックに基づいているのがわかるので、ありがたいです。

先生を信頼しているということでしょうか。

レッスンは結構きついですから、信頼しないとできないですね。少なくとも今受けてる先生たちは5、6人いますが信用しています。

なぜブライチャーを続けているのですか。

ブライチャーは定期的に気づきを与えてくれます。例えば、複数の先生から「th」の音が「d」になると言われましたが、無意識にやっていると、そこに気づかないのです。

最初にセブで音のつながり(Word connection)を教わったときは、「なるほどね」と思っても、練習してなかったんです。「なんでやるのかな」と思っていました。

ところが、洋楽やドラマを聞いていると、確かに「みんな言ってるな」と気づきました。それから、先生から「自分の声を録音しておかしな部分を考えてみて」って言われて、自分で聞くと不自然な部分は Word connection がないんです。そこで、最近、重要だなとわかりました。

こんな感じで、「なんでやるのかな」と思っても反論せず、とりあえず先生の指摘は直し、取り入れてます。そのうえで、自分で重要だと感じたら、指摘が自分のものになるように積極的に練習していきます。

逆に、授業中に「これ意味ないのでは」とか先生に挑戦することはしません。たまに英語の先生と喧嘩する人がいますが、意味がわからないです。

素直な人が伸びるんですよ。2005年にとある資格の学校で先生をやりましたが、素直な子、言ったことをやる子が絶対伸びるんです。これは間違いない。才能じゃないです。人の話を聞かないと自分で勝手に判断してドツボにはまってっちゃう。

1週間のオンライン留学を2回受けていますが、これはどうでしたか。

とにかくキツくて、達成感はありました。ただ、最近では、「もっと復習する時間を取った方がいいかな?」とも思っています。

今までブライチャーがインプットだったんですが、自分で練習した上で、「ここができてない」とアウトプットを修正してもらうのが正しい使い方なような気がしてます。

ブライチャーに不満はないですか?

フィリピンだから通信が不安定になったり、先生が都合で急に替わったりすることもありますが、それはどうにもならないですよね。

ここ数年で購入したもののベスト5

全体的な感想と、今後の学習予定を教えてください。

僕にとっては、欲しかったものを与えてくれてる学校です。受けてよかった。ここ数年間で購入したうち良かったトップ5に入ります。松井さんには感謝してます。

今後はおそらく、PPだけ続けてるのも不健全かなと思い、そのうちリスニングとか、他のものを組み合わせて行って、自分なりにフィードバックもらって改善してくのかな、と思います。

今後ブライチャーを考えている人にアドバイスはありますか。

基礎からしっかりやってくことを求めてるのなら、お勧めします。僕も道半ばだけど、やってよかったなーと思ってます。コストパフォーマンス的にもいいです。打てば響くレッスンなので、ハードなレッスンに耐えてたらそのうちいいことありますよ、と言いたいです。

全部お膳立てして欲しい、とか、すごいライトに楽しみたい、人にはどうかな?とも思いますが、基礎力は向上すると思います。

ありがとうございました。


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