48歳から初心者で学習スタートし、英検準一級に合格。「なかなか伸びない」悩みの中、発音の重要性に気づいたことが、ターニングポイントになった

48歳でゼロから学習をスタートしたKさんは、語学スクールや参考書などさまざまな勉強を経て、56歳でブライチャーのセブ校に1週間留学、2020年から My Brighture でレッスンを継続して、英検準1級に合格、現在は英検1級を目指しています。ブライチャーと他のサービスや参考書をどのように組み合わせたのか聞いてみました。

Kさん/60代/男性

まずは英語学習を始めたきっかけから教えてください。

コンビニエンスストアのフランチャイザーで長年、営業職をやってきました。毎日忙しく仕事で精一杯の中、日本の外の世界のことや留学は考えたこともないまま生活していました。

48歳のとき、教育部門に転属になり、社員教育や加盟店教育などに携わることになりました。営業と全く違う文化で、教える立場に立ったことがなかったので、教わるってどんなだろう?と疑問に思い、生徒としての立場を経験してみようと思いました。当時「海外進出するから英語をやれ」という雰囲気が社内にありましたから、せっかくなら「英語ができればかっこいいな」と思い始めました。

しかし、学校教育の英語をもう一度やるのは面倒だとも思いました。中高生の頃のように、単語を覚えたり、文法をやるのは嫌だし、できれば教科書は使いたくない。違うやり方はないのかなと思って探したところ、オンラインレッスンや駅前留学が世の中にあるらしい。そこで、ほぼ同時にレアジョブと、イーオンを始めました。

レアジョブとイーオンでの体験を教えてください。

レアジョブは週一回。初級の初級でフィリピン人の先生と文法のテキストを少しずつ勉強する方式で、これは今も続けています。

イーオンでは週一回、日常会話のグループレッスンを受けました。初級の5、6人のグループで、先生を前にして簡単なコミュニケーションをします。今思うと簡単なクラスでしたが、1年やって、このままでは永遠に英語の力はつかないだろうと思いました。

カナダ人の先生が「喋れない英語は使えません」と言っていて、そうか、と思ったのです。学校に他のクラスはないか?と聞いたら、音読のクラスで英語に慣れろと言われて、入ったんです。ここでは、毎週テキストの音源を聴いて、ひたすら読むんですね。ポイントで発音が違うとか言われることはあります。しかしこれも、2年半やったのですが、やっぱり上手くならないんではないか。改めて、どうやったら身につくんだろう?と。

学校では誰も言及しなかった発音記号を学んで、視界が開けた

それで、どうされたのですか。

その頃「完全英語上達マップ」という本を読んだら、目から鱗でした。文法とか単語とか、基本を身につけないといけないと。まず英検の2級を受けようと思いました。そこで、「 英文法講義の実況中継(1)(2) (実況中継シリーズ) 」と、「英検2級 文で覚える単熟語」を1年くらいやったら、一回で合格したんです。

ところがその後、夏休みに海外旅行でヨルダンの砂漠に行って、メキシコから来た二人の女子大生と、シンガポール人とテントで一緒だったのに、全く会話にならなくて、すごい疎外感でした。「何が2級だ。喋れないし使えないじゃないか」と思いました。旅から帰って、2級の2次面接は合格したが、「こんなもの合格しても何の役にも立たない。もう少し違うことをやらないと」と。

このヨルダンのコミュニケーションでは、聞けない、話せない、単語は聞き取れないーーというのがショックだったので、やるなら発音だろう、と思ったのです。

どうやって発音を学んだのでしょうか?

そこで、「英語耳」という本を買ってきて、独学でフォニックスを始めました。発音記号は学生時代に見た気がするが、教わった記憶が一切ないんです。そういえば、誰も発音記号について言及しないけれど、何なんだ、と思ってたんですね。

「英語耳」には発音記号の説明が出てきて、目から鱗で、視界がブワーっと開けました。そして、発音にも決まりがあるんだ、と驚きました。2018年にのめり込んで、1000周しろとあったのですが、700回くらいはやりました。俺は単語は知らないけど、「英語耳」を700回やったし、発音は多くの日本の学習者より上にいるのでは、と思ってました。

そこで、どれほど俺の発音が通じるのか、外にいって確かめてみたいと思ったのですね。2019年に短期留学としてフィリピンのQQ Englishに行ってみたのです。リゾートで英語を学べるのは最高だなと思いました。そして、以前と比べると、はるかに言ってることはわかるし、唱えてきた発音も何となく通じる。やってきたことに間違いない。

ただ、この学校にずっといたとして英語力はつくのかな?と思いました。授業のやり方を見ていて、何となく喋って聞こえるだけで、そこから伸びないことに気づいていたんです。インプットが足りないんだろうな、と。

ブライチャーのセブ校で「問題が噴出」

その後はどうしたのですか。

同じ年の暮れに「ブライチャー」がスパルタらしいと聞いて、セブ校に1週間行くことにしました。このとき、自分が持っている問題が噴出しました。

まず発音です。今までやってきた発音に対して、ほぼ「ノー」と言われました。初めて、ロングAとかショートAがこういうふうに言うんだ、と。独学で発音を学ぶのは無理なんだと気がつきました。

理屈でフォニックス的なものを教えてもらっても、この発音がいいとか悪いとか、具体的に相対しながら教えてもらわないと、身につけるのは難しい。発音の理屈を日本語で解釈するのは難しいな。発音専門のカリキュラムがないと無理だったのかな、と。

また、読む力が足りないと感じました。RW(Reading and Writing)では、毎日毎日予習、復習しても足りないです。当時は予習で10時間くらい勉強していました。毎日英作文で宿題があったのですが、慣れていないので、すごく時間がかかるのです。ブライチャーでは相当予習させられると聞いてたので、こんなものかと思いましたね。

レッスンを受けながら、俺はここが足りない、ここも足りないが増えていく。そんな感じで過ごしていました。また同時に、セブにこんなに優秀な若者がいるのか、と感服しました。

発音の独学に、意味がなかったと思いますか?

いえ、そうではないと思います。私の発音は不完全で誤っていたかもしれないけれど、英語にはフォニックスというものがある、カタカナとは明らかに違うと知った上で授業に入っていけたので、よかったのです。

いきなり初心者が発音クラスに連れてこられても、何で発音なんだ?と、ぽかんとしちゃうと思うのです。英語が嫌いになってたかもしれません。

ブライチャーでは、1週間の最後に成績が出るのですが、CEFRのA2相当とあり、「初級か」と。やっぱり英検2級は意味ないんじゃないか、と思って帰ってきました。もっともっとインプットが必要だなと。

やってきた発音練習は無駄ではないけれど、やり方を変えないといけないな、と課題を持って帰ってきました。

「カウンセリングを受けてみませんか」と言われて、学習を変更

セブに行った後はどんな勉強をされたのですか。

その後の半年はそれでも何となく「英語耳」「英検準1級 文で覚える単熟語」を続けました。しかし、どこか「これじゃダメなんだよな」と思っていたのですね。

その頃コロナになったのです。休みの間、どうしようかな、と。そこで旅行に行き、ホテルにこもってブライチャーのオンライン留学プログラムを1日3、4コマ受けよう、と思ったのです。これを受けたら、もう一度課題が見えてくるのではないかと。しかし1週間受けて、やはり成績はCEFRのA2でした。「変わらないじゃないか。これは困ったな、何をやっても伸びない」と悩みました。

そんな頃、ブライチャーの方から「カウンセリングを受けないか」と話をいただいたんです。カウンセリングしてくれたのは、松井博さんだった。

カウンセリングではどんな話になったのですか。

多聴多読、インプットが足りないという話になり、具体的な提案がありました。「おおそうか」と。それまでに、感じてたこと、そのままでした。

そこからは、「Who was」シリーズを1週間に1冊、2冊読んでみようと始めました。「ラダー」シリーズは読んでいたのですが、目的意識が出てきて、もっと数を読もうと思い、シリーズものがいいだろうと、片っ端から読みました。また、Podcastを紹介されて、VOAの Learning English を聴き始めた。VOAはスクリプトも用意されているので、リーディングとリスニング同時にできて相当のインプットになりました。これを2年以上毎日続けました。

それからブライチャーのオンラインで PP(Phonics and Pronunciation)と RW を始めました。

PPについては、「今までやってきた発音の練習を中途半端に終わらせるわけにはいかん。ゼロからやろう」と決心しました。

RWは英検準1級の英作文に真剣に取り組もうと思って始めたのですが、宿題を元にクラスが進むので、予習に毎週3、4時間もかかり、先生からは「時間がかかりすぎている」と指摘を受け、途中から1時間で書こうと頑張りました。また、添削を紙に書き復習と解析をしました。

早く書くのが課題だったのですね。

これを繰り返し1年やって、2022年になると、コロナの影響で、会社から「定時で帰れ」と言われるようになりました。帰ってテレビ見るのもいいけれど、さらに英語に没頭できるではないか。そこで、定年前に仕事をしながら英検準一級に受かってみたいと思って、勉強をスタートしたんです。

しかし3回受けてダメで、なかなかうまくいかない。60近くなると単語も覚えられない。英検も二回落ちると、これは永遠に受からないのではないか。かといって、10年近くやってきて、終わるのも嫌です。せっかくなので、行けるところまで行ってみたいと思いました。

また、海外で英語で生活してみたいという思いもあって、仕事を辞めたのです。英語学習にかけられる環境を考えたとき、もう仕事はいいや、という選択肢が取れた。

「英語のハノン」と「ブライチャーのPPかSF」&「黄リー教」と「ブライチャーRW」が最強ツール

仕事を辞めて学習は変化しましたか。

毎日、時間があるので、受かるためには何をしたらいい?と勉強のギアを入れることにしました。当時は杉原健さんのブログを読んでいて、「黄リー教(「基礎文法から学ぶ英語リーディング教本」)」「英語のハノン」をやろうと思ったんですね。

英検の準1級の英作文対策としては、RWでやっていたことをバージョンアップして、AIを使って特化した学習を始めました。ブライチャーでは、英語の文章の、さまざまな書き方の形を教えてくれる。スタイルによって、事実を羅列したり、形容詞を多用したり、それぞれに言い回しやテクニックがあり、幅広くいろいろ教えてくれると思います。一方で、英検の英作文に関しては、「型」が決まっていて、英検に特化した学習が必要だと感じました。

そこで、チャットGPTに「CEFRのB2を対象に、英検の準1級の英作文の模範解答を書いてください」とかお願いし、それを文法チェックソフトの「Grammaly」にかけて勉強しました。AI活用の良いところは、1対1のレッスンでは分からないことがあっても『こんな基本的なこと今更恥ずかしくて質問できない』『どうやって質問して良いか分からない』となるところ、じっくり考えてから質問できるし、人間ではないので恥ずかしいという気持ちが起こりません。

こうして、2023年の秋に英検の準1級に合格しました。ただし、何で合格したのかわからないくらい自分では手応えがない。特に英検の講評では、読む・聞く・書くのなかで「読む」の語彙力は合格平均から劣っていたんですね。これはもう一度準1級を受けて、よりハイスコアで合格しなければと思いたちます。

今度はブライチャーのRWに加えて「黄リー教」の精読に力を入れました。ここで英文に存在する構造的ルールを得ることができました。それまでは、英文ってこんな「感じ」で読んで、書けば良いというある種「勘」で処理していたのでした。しかし「黄リー教」は英文処理における「勘」を排除して、「理屈」を叩き込んでくれました。おかげで2回目の準1級では、英作文の満点近い得点も含めて大幅スコアアップで再度合格できました。

話すこと、聴くことに関してはブライチャーで自信を持っていましたので、準1級の2次面接試験では準備を全くせずに合格しています。そのブライチャーでは、PPはカリキュラム的には1周したので、SF(Speech Fluency)に進みました。これはとてもとても素晴らしいと思いました。個人的には、「英語のハノン」とブライチャーのPPかSFの組み合わせも最強ツールだと思います。

それはどういうことでしょうか。

「英語耳」だけでは理屈はわかるけど、発音練習には1対1で対面で教えてくれる先生が必要です。そして「英語のハノン」は文法本の形式を取りながら、短いセンテンスをネイティブのスピードで言う練習をします。発音やリダクションを含めて練習させてくれますが、実際に「この場面ではリダクションが必要なのか」とか、「アメリカンTにするのはどういうときか」とか、そこまでは載ってないんです。

だから、ブライチャーのSFで使い方を教わってからハノンをやると、英語の捉え方が変わるというか、喋り方が変わる。これが英検のリスニングに役立つと思います。お互いを行き来することによって、流暢さが養われ、リスニングも鍛えながら、文法の知識もついていきます。

今はタイに3ヶ月滞在していて、ブライチャーかレアジョブを毎日どちらか。そして「英語のハノン」をやっています。生活が落ち着いてきたので、今は英検1級に向けて勉強しているところです。

第二の人生で、仕事で一区切りついて何もやることがないのは怖いんです。そこに英語が日課にちゃんとある状態はいいですね。生きがいというと大袈裟ですが、日課ですね。

いま初期の頃と英語を振り返ると、変わりましたか?

ヨルダンに旅行した頃の自分と比べると、比べるのも申し訳ないほど変わったと思います。

自分の英語を確かめるために海外に行っていますが、行くたびに、後退したとは感じず、通じるようになってきています。勉強は苦しいですが、たまに行く海外で、「俺ってこんなにできるようになった」と感じます。

今後の目標を教えてください。

英検1級に合格したいし、またタイ語も覚えたい。英語を学ぶときに、あっち行ったりこっち行ったりしてきました。今後は、英語で学んだことを活かして、焦らずにタイ語を学ぼうかな。

また、日本に帰って、そのあとはアメリカに行きたい。なんだかんだ言っても、学んでいるのはアメリカ英語なので、そこに自分を晒してみたいと思います。

今までの英語学習で変化したポイントはどこでしたか?

発音記号に出会ったことが大きなポイントでした。必要なのがそれだったら俺はやるよ、と思いました。

また、ブライチャーに入って、インプットの大切さがわかったこと。そして、多聴多読のためには、発音が重要だったということです。また、準一級で語彙が足りないと指摘されましたが、それを埋めるのも結局多聴多読なんだと気づきました。

英語学習これから始める人へのアドバイスは

海外旅行で通じなくて「悔しい!かっこ悪い!情けない」を味わうのが、英語学習のジャンプのきっかけになります。

それから勉強をやめないこと。効果が出るのは後かもしれないけど、やっただけの成果は出ます。

会社で加盟店の人に仕事上の知識や技術を教えていると、ベトナム人、フィリピン人、中国人の方々が研修に来るようになった。この人たちが流暢な日本語を話し、中には、よくこんなにできるな、という人がいる。どこで日本語を習ったの?と聞くと、「名探偵コナン」で覚えました、とかいうのです。彼ら、学校なんて行ってないですよ。一方で、日本語学校に行っても話せない人がいる。

ひょっとしたら語学って勝手に難しく考えているだけかも、多聴多読だけでできるのではないか、今はそう思っていたりします。特別な才能や努力がないと習得できない世界、とは思わなくなりました。でも、近道もないんじゃないかな。

ありがとうございました。