なぜTOEICが高得点でも英語が話せるようにならないのか?

TOEIC はかなり高得点なのに、 なぜか英語が話せない方が少なからずいます。その一方で、TOEIC は500点程度なのに、どういうわけかけっこう話せてしまう人もいます。 以前 Brighture に留学した生徒さんの中に、超有名外資系企業でディレクターを務めている方がいましたが、この方の TOEIC の点数は500点未満でした。ところが、実際にはかなり話せてしまうのです。

一体なぜそんなことが起きるのか?

いったい、なぜこんなことが起きるのでしょうか? それは、テストで高得点を取る能力と、実際に話したり書いたりするのに要求される能力がかなり異なるからです。特に TOEIC はリスニングとリーディングしかないテストですし、その上記述式ではなく4択問題です。 そして4つの選択肢のうちの一つは、大抵ありえない感じのものです。なので実質、3択問題のようなものです。このため、中学卒業程度の英語力があれば、500点は取れます。

もちろん、高得点を取るためにはかなりの語彙が必要ですし、しっかりとした文法の理解も必要です。ですから、勉強が無駄になることなどありません。また、就職や昇進などに高得点が必要な方も多いと思うので、そんな場合には躊躇せずに高得点を取るための勉強をしっかりやり込むことをお勧めします。

ただ、TOEIC の勉強をすることで鍛えられるのは、 喋る能力ではなく、テストで正解を選ぶ能力です。 この2つの能力はオーバーラップする部分もたくさんありますが、 テスト勉強をしただけでは、どうしてもスムーズにしゃべれるようになりません。

話せるようになるにはどんな訓練が必要か?

では、話すのに必要なのは、一体どんな能力でしょうか?

しゃべるのに必要なのは、自分の引き出しの中から必要な単語や文法、あるいは発音のコツなどを引き出し、それらを瞬時につなげて発話する能力です。 また、喋る内容そのものも考えなければなりません。
テスト勉強に邁進してもなかなかしゃべる能力が上がらないのはこのためです。
逆に、喋る練習ばかりしても、TOEIC の点数はあまり上がりません。必要な能力が異なっているからです。

話せるようになるには?

では一体どんな訓練をすると、話す能力をつけることができるのでしょうか?

まず、音読やシャドーイングなどをやっても思ったほど話せるようになりません。シャドーイングは、話すリズムやスピード感などを身に付けるのにはすごく良い訓練方法ですが、これだけではやっぱり話せるようになりません。自分の脳で考えて出力する訓練にならないからです。

話す能力をつけたかったら、自分のアタマで話す内容を考え、それを瞬時に英文で出力する訓練が必要なのです。つまり、話す訓練そのものです。ただそうは言っても、 普通の人はそんなに英語を話す機会がありませんし、レッスンの時間を捻出するのも容易ではありません。

独り言のススメ

そこで僕がお勧めするのは、独り言で話す訓練をすることです。

例えば、今日のお天気とか、 今話題のニュースとか、明日の予定とか、将来やりたいことなど、話す内容は何でも構いません。壁に向かってでもいいし、人形などを相手に話しても良いでしょう。 僕はその昔、通学の最中などに、見た景色や人物などを英語でブツブツ呟いていました。例えば、”There is a white car passing by. An old man is standing at a bus stop. The traffic is heavy and we have been waiting for the bus for more than 20 minutes now.”(白い車が通り過ぎる。バス停に老人が立っている。道が混んでいて、もう20分以上バスを待っている。) なんて具合です。

また、書く訓練も効果があります。 会話はどんどん流れていってしまいますが、書いたものはそのまま残るので、講師に添削をしてもらうことも可能です。 また時間をかけて、わからない単語や文法を調べながら書くこともできます。

自然な英語をインプットする

こうやって話す練習をし始めると、何が自然な表現なのかわからず、うまく言えないことが多々あります。 そこで効いてくるのが、いわゆる多読多聴です。

たくさんのナチュラルな英語に触れることで、「こんなときにはこんな風に言えばいいのか」 といった気づきが芽生え、少しずつ単語や言い回しなどが蓄積されていきます。

教科書や問題集で紹介される表現方法は日常会話ではあまり使わない、比較的堅苦しいものが多い傾向にあります。こうした表現は、ニュース番組を視聴したり、 記事を読んだりするときにはすごく役立ちますが、日常会話に使うには堅苦しすぎて、ナチュラルさが欠けがちです。

そこで重宝するのが、Netflix のドラマや、様々な YouTube ビデオ、あるいは Podcast などです。 自分の興味やレベルに合ったものを見つけてたくさん視聴することをお勧めします。 すると知らず知らずのうちに日常的な表現方法に出会うため、言い回しが少しずつストックされ、ナチュラルに話せるようになっていきます。

めちゃくちゃ簡単な Podcast の探し方と続け方(多聴初心者へのオススメ番組 5選つき)

時間制限を設けて自分に負荷をかけてみよう

こうしてある程度しゃべることに慣れてきたら、次は自分に負荷をかけてみることをお勧めします。いざネイティブ相手に英語をしゃべるとなると緊張が伴いますし、会議などの重要な場面も多いので、どうしても緊張するものです。

そこで、時間制限を設けて、あえて自分にプレッシャーをかけます。1分以内、あるいは2分以内に伝えたいことを簡潔にまとめて話す訓練です。これは Brighture の Listening and Speaking(LS)の授業でも取り入れている方法ですが、 脳に強い負荷をかけられるため、上達が頭打ちになってきたら、チャレンジしてみることをお勧めします。非常に効果がありますし、IELTS などのテストもこの形式を採用していますので、将来留学を検討している方にもお勧めの訓練方法です。

【LS】Listening and Speaking

そもそも日本語でも話せない方へ

パンデミック以前に Brighture のセブ校で授業を行なっていた時には、 毎週金曜日にプレゼンテーションを実施していました。 一応、到着した週の金曜日と最終週の金曜日を義務づけていましたが、毎週欠かさず参加している方もいました。 もちろん上達が早いのは、毎週参加している方です。

そこで、最低限しか参加しない方に理由を聞いてみたところ、「そもそも日本語ですら話すことがない」という方が少なからずいました。
考えてみると、日本の学校では自分の意見をまとめて発表する訓練をほとんどしません。 なので、日本語でもうまく話せない人がたくさんいます。これは本人の問題ではなく、日本の教育システムの問題です。

実際、僕が合気道の道場を経営していた頃も、よく練習生にみんなの前で技の説明をしてもらったのですが、毎週僕が説明している基本技をやってもらうにも関わらず、 しどろもどろになってしまって、うまく説明できない大人が多数いました。

なぜなら、ほとんどの人が話す訓練をしないまま社会人になっているからです。そして、そのまま研究職や事務職などの、人前で話す機会がほとんどない職業に就くと、なんの訓練もなされないまま時間だけが経っていきます。
こうした方は、読書やニュース番組の視聴などによって、少しずつ話すネタをストックしていてみるといいかもしれません。 その上で、まずは日本語で説明する練習をしてみてはいかがでしょうか?

ただ最終的な目標は、日本語を介さずに英語を話すことなので、 英語で話す練習をするときには、 日本語を介さないように気をつけてください。 脳内で日本語から英語に翻訳する癖をつけると1テンポ遅れるため、外国人と会議等でガンガン議論するといった事はいつになってもできるようにならないからです。

日本国内にいながら英語のプレゼンテーションの練習をしたい方は、TOASTMASTERSという英語でのプレゼンテーションの練習をする場がありますので、 ぜひ参加してみてください。 他の方がやっているプレゼンテーションを見ることで、上手に話すコツなどを学ぶこともできますし、舞台度胸もつきます。

なおこちらは、この YouTube ビデオと、こちらの Voicy の放送が元ネタになっています。ご興味のある方は、ぜひご視聴ください。

【Ask Brighture】スピーキング力を高めるにはどうしたらよいですか?

Voicyの放送はこちらです。

TOEIC が 高得点なのに、なぜ英語が話せないのか ?

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