なぜリスニングはこんなにも難しいのか?

リスニングって、とても難しいですよね。 問題集に付属のCDの例文は聞き取れるのに、Netflixで映画やドラマを見ると半分もわからなかったりします。 Podcastはためになると聴き始めても、わからない部分があまりにも多くて、途中で投げ出してしまいがちです。
いったい、どうして僕らはこんなにもリスニングができないのでしょうか?

原因はいくつかある

原因はいくつかあります。 一つは、日本語と英語の音があまりにも違うことです。 日本語には音素が26しかありませんが、英語には48もあります(数え方によっては54(!)です)。 なので、音を正しく判別できないのです。また、単語の語尾と次の単語の先頭がくっついて、別の音に変わることもあります。初心者の頃、英語の音声がただ単に「ルルルル」のように聞こえるのはこのためです。

日常会話と例文が乖離している

もう一つは、日常会話でよく使われる単語や言い回しと、 テスト対策に必要なそれが大きく異なっているためです。このため、日常会話よりもニュースの方が先に聞き取れるようになる人が少なくありません。なぜならテストに出てくるような語句や言い回しは、ニュースや講義で使われるようなものが多いからです。
一方で、日常会話になると本当に些細なことが全くわからなかったりします。 また、テストや教材で使われる音声は、ごく標準的な発音で比較的ゆっくり話されますが、実際の会話では、カジュアルな表現もあれば、訛りもあります。 このため、教材に付属しているCDならば聞き取れるのに、普通の日常会話が全く聞き取れないという残念な現象が起きてしまいがちです。

予測しながら聴いていない

でも、今日のこの記事で特に強調したいのは次の点です。
それは、日本語なら内容を予測しながら聞けるのに、英語だとできないということです。
僕らが普段日本語を聴くときには、次に来るであろう話の内容はもちろんのこと、使われる単語や言い回しさえも予想しながら聞いています。このため話し手の声が小さくても、 周囲がうるさくても、内容を理解することができます。 レジの順番待ちなどで並んでいる時に、前で話している人の会話がなんとなくわかってしまったりするのもこのためです。

ところが、これが英語となると、うまく予測できません。それは、英語という言語に僕らが十分に馴染んでいないからです。 このため、わずかでも自分で予測していた内容から外れると、 全く聞き取れなくなってしまうのです。
よくレジなどで、 お釣りの額を言われると思って待ち構えていると、急に雑談を始められることなどがあります。 すると、予想とあまりにも違うため、大した話でもないのにパニックを起こしてわからなくなってしまいます。これは日本語でも同様で、あまりにも馴染みのない内容や、話が頻繁にあちこちに飛んだりすると、予測が成り立たなくなり、聞き取れなくなります。

どうすれば英語でも予測を立てられるようになるか?

では、一体どうすれば英語でも予測を立てながらリスニングをすることができるようになるでしょうか? これは急にはできるようにならないので、レベルアップしながら、少しずつ守備範囲を広げていく必要があります。

簡単なことから始める

例えば “How are you?” と尋ねると、教科書的には “I am fine, Thank you. And you? ” と返ってくると教わります。しかし実際には、

“Fine.”
“I’m good.”
“Great.”

なんて感じで返ってきますし、それどころか、”How are you?” と、オウム返しに尋ねる人もいます。また、ただ “Hi!” とだけ返事をする人もいます。
最初はビックリしますが、何度か遭遇するうちに、段々このようなものだとわかってきて、疑問にすら思わなくなります。ですので、まずはこうしたごく簡単な挨拶などからスタートして、頻繁に使われる言い回しや、会話のパターンなどに慣れていきます。

仕事の内容は予想しやすい

仕事で英語を使う方であれば、仕事に関連した内容は比較的予想しやすく、 聞き取りやすい分野です。 会議ではある程度話が分かるのに、 その後食事に行ったらさっぱりわからなかった、などといった経験がある方もいるかと思いますが、これは仕事の内容は予想がつくからです。 予備知識もふんだんにあるため、 少しばかり知らない内容があっても想像で埋められます。
逆に言うと、仕事に関連した話は、会話の予測を訓練していくのに適した材料です。
まずは、仕事に関するニュース記事などをピックアップして、毎日のように読みます。 数十記事を読めば、少しずつ内容の予測がつくようになって、読むスピードが徐々に上がっていきます。
次に、自分の仕事内容に関連したPodcastやニュースなどを視聴します。 既に文字でいちど消化しているので、かなりスムーズにわかりますし、次につながる単語も予測できるようになってきます。
ちょっと足りないように感じたら、ビジネス英語で頻繁に使われるイディオムを50ほど暗記してみてください。また、仕事の話というのは大抵お金、リソース、スケジュールの3つに集約される傾向があるので、この辺りの話をするのによく使われる言い回しを押さえておくだけで、会話の行き先を予測しやすくなります。

50 COMMON BUSINESS IDIOMS

また、会話のレッスンを取る際にも、話したいトピックをあらかじめ指定して、自分の仕事に関連した話を何度もしておくと、さらに予測の精度が上がり、聞き取れないといったことが減っていきます。

仕事の話に慣れてきたら…

こうして仕事の話に慣れてきたら、今度は自分の趣味や、興味のある分野の話などに的を絞って、同じ方法で単語や言い回しを増やしつつ、予測の精度を上げていきます。 記事を読むだけでなく、関連するYouTubeビデオやPodcastなどを視聴すると、すごく効果があります。また、会話レッスンを受講する際にも、徐々にトピックを、仕事から趣味へと移していきます。

ニュース全般は割と楽

TOEICなどですでに高得点をお持ちでしたら、ニュース全般は割と楽に予測ができるようになります。 すでに、必要な言い回しや単語の大半を知っているからです。また、ニュース番組はどれもフォーマットが決まっているので、さらに予測がしやすいです。なので、最初のうちは興味のあるニュースから始めて、少しずつ守備範囲を広げていくと、 ニュースに限って言えばかなり正確な予測を立てて聞き取ることができるようになってきます。

日常会話は一番最後でいい

一番難しいのは、特に発音の訓練などもされていないごく普通のネイティブによる日常会話です。 スピードや話題の幅も人それぞれですし、アクセントも多種多様です。 また、話す人の年齢によっても、使う単語がかなり変わってきます。なので、うまく予測を立てて聴き取るのが難しいです。 これは日本語でも同じで、高齢者と高校生が話す日本語では、 話題の幅も、話すスピードも、使う単語や言い回しも全て変わってきます。 なので、誰の話でも聞き取れるようになるには、かなりの経験が必要です。
最初のうちは自分と年代が近い人や、同じ性別の人、 同程度の学歴や、同じような仕事についている人などと話をしていくと、思考パターンも近いため、予想が立てやすく、聞き取りやすいです。
そして少しずつ年齢の幅を広げていくと、 多くの人が言っていることが聞き取れるようになっていきます。 以上、 どうするとリスニングがスムーズにできるようになるのか、について解説しました。 お役に立てれば幸いです。

Brighture
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