英語ビジネスメールの書き方〜件名の付け方編

昨今、海外と取引する会社がどんどん増えており、突然海外とメールのやりとりを始めた人も少なくないでしょう。こんなときにまず困るのがメールの件名のつけ方です。英文のビジメスメールは日本語のメールとかなり書き方が異なりますが、件名のつけ方はその代表的な例といってもいいでしょう。日本ではあまり吟味せずに漫然とした件名をつける人が多いですが、英文の場合には、吟味してつけることが多いのです。件名は相手の目に一番最初に触れるものですから、わかりやすく、目に留まりやすいものをつける必要があります。昨今では1日100着以上メールを受け取ることもあり、見落とされないよう、相手が反応しやすい件名を吟味してつけましょう。今回は、件名をつける際に気をつけるべき6つのポイントを紹介します。

1)スパムと間違われるような一語だけの件名は避ける

まず一文字だけの件名は基本的にやめておきましょう。非常にありがちですが、見落とされやすい典型です。

悪い例)
Report
Call
Meeting
Payslip
John

冗談のように思われるかもしれませんが、こんな感じの件名を実際に頻繁に目にします。さらに “Hi!” “Hello” などとしか書いていない件名も見ます。スパムメールを思われて削除されてしまう可能性さえありますし、実際にメールを開けてみるまで、いったい何の要件なのかも全くわかりません。少なくとも、最低限何の話なのかわかるようにしましょう。

例)やや良い
Submit Report
Call Stacy
Meeting cancelled
John Out of the office
Pick up your payslip

決して十分とは言えませんが、それでもずいぶん良くなりました。それでは次の注意点をみてみましょう。

2)メールの内容がより具体的に伝わる情報を加える!

1ワードだけの件名を卒業したら、次はメールの内容がなるべく具体的にわかるようにもう少しだけ工夫します。日時や場所、あるいは緊急度などを記載すると、具体性が一気に高まってグッとわかりやすくなります。

例)
Submit Report by 3:00 PM Today
Call Stacy at 444-555-6666
Sales Meeting canceled 3/24(Tsu)
John Out of the office 3/24
Pick up your payslip today

ここでは日付や電話番号などの具体的な情報が足されたため、先ほどの例よりもずっとわかりやすく、より具体的になっています。

なお時折、

About meeting
My schedule

などといった感じの件名のメールよく見ますが、これでは具体的な具体的な追加情報になっていません。どんな情報を追加するとより具体的になるのかを考え、面倒臭がらずに必要な情報を追加しましょう。

3)社内メールでは省略形を使い簡潔に

また社内メールでしたら、省略形を使ってよりわかりやすく、簡潔に書くことを心がけます。英文メールでよく使われる省略形5つです。

Urgent または ASAP
“Urgent”は読んで字のごとく「緊急」という意味です。ASAPは As soon as possible の頭文字で、「大至急」というような意味になります。

EOM – End of Message
「ここでメッセージは終わりです」という場合に使います。

OOO – Out of Office
「外出中」あるいは「不在」という意味です。Out of the Officeということで、OOTOと書く会社もあります。

FYI – For Your Information
「お知らせ」という意味です。「本日の午後5時から全体会議です」などのようなお知らせを一斉に出すときなどに使います。

EOD – End of Day
「本日中」という意味です。件名の他に、本文中に使うことも多いです。

それでは先ほどの例文にこれらの省略形を使ってみましょう。

例)
Urgent: Submit Sales Report by 3:00 PM Today
ASAP: Call Stacy at 444-555-6666
John OOO 3/24 PM Only EOM
FYI: Sales Meeting cancelled on 3/24(Tsu)
Pick up your payslip by EOD

このほか特定の業界、あるいは会社内などで使われている省略形もあります。もしも勤務先がどこかの外資系企業の場合には、本社などから来るメールの件名などを参考にこうした省略形を積極的に使っていきましょう。

なお、これらの省略形はお客様や取引先には使わないようにしましょう。失礼にあたることがありますので、くれぐれも気をつけてください。

4)相手に期待する反応を件名に入れる

もう一つの重要なポイントは、相手に期待する反応をメールの件名に挿入することです。例えば今までの例だと、

Urgent: Submit Sales Report by 3:00PM Today
ASAP: Call Stacy at 444-555-6666 EOM
Pick up your payslip before EOD

などの赤字の部分がこれにあたります。

こうすると、何をいつまでにして欲しいのか件名をみただけでわかるため、ほとんど本文を読む必要がありません。件名でやることがこちらの要求が伝わるのなら、そのほうが好ましいのです。また、米国企業では特に、この傾向が顕著です。簡潔にわかりやすく、相手が反応しやすいように、常に工夫しましょう。

5)定例メールは件名を固定する

また、定期的に出すメールはその件名を固定しましょう。購入依頼、進捗レポート、お休みの申請などといったメールがこれにあたります。

Jart Weekly Status 1/14/17
Urgent: Purchase Request: Epson Projector $630
Jill Leave Request 2/13~2/17

赤字の部分が固定する部分です。このような定例メールでも件名をある程度固定しつつ、日付や個人名などといった都度変更しなければならない部分は必ず変更します。緊急度を入れても良いでしょう。こうすると受け取った方も反応しやすいので、常に相手がわかりやすいかどうかを念頭に置いて件名をつけることを心がけましょう。

6)社外に出す場合にはさらに一工夫

さてこのメールでは社内に送る例が多かったので、最後にお客様や取引先などに出す場合についてお話ししましょう。基本的にはこれまでに解説した通りで大丈夫ですが、動詞の前には ”Please” などをつけるて、印象が柔らかくなるようにしましょう。 また、省略形はなるべく使わないようにします。

例)
Please submit Sales Report by 3:00 PM Today
Please call Ms. Stacy White at 444-555-6666
John Hicks out of the office from 3/24~3/29
Sales Meeting canceled on 3/24(Tsu)


なお、人名を書く場合には必ずフルネームを書くようにしましょう。また客先の相手の名前を書く場合には、Mr. Mrs といった敬称も忘れないようにします。

以上、英文ビジネスメールの件名をつける際の注意点です。件名のように文字数が限られる場合には、しばしば冠詞や前置詞なども省かれます。この辺りはニュース記事の見出しなどが非常に参考になりますので、ネットで英語の記事を読む際には、どのようなタイトルがつけられているかにも、ぜひ注意を払ってみてください。なを、前回の「わかりやすい英文ビジネスメールの書き方」と合わせてお読みすることを強くお勧めします。

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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。