【英語学習法】「独り言」こそが、スピーキング力をあげる練習方法だった?!

「独り言英語」学習法とは、一人の時に英語でブツブツ英語を話すという勉強法です。とても怪しく見えるため、敬遠されがちです。人目を気にするタイプにはなかなかできかも知れません。怪しく見えるだけならまだしも、本当に効果があるのかどうか、半信半疑に思う人も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、「独り言英語」には効果があるのか、あるとしたら、いったいどのようなものなのか、具体的にはどのように実践すればいいのかを詳しく解説したいと思います。

「独り言英語」学習法は本当に効果があるのか?

最初に結論から言うと、独り言学英語習法には絶大な効果があります。具体的には、次の3つの効果が期待できます。

– 口の筋肉をなじませる
– 英語ので話すイメージトレーニング
– 英語を英語のまま扱う

それでは順番に解説します。

独り言英語のポイント1:口の筋肉をなじませる

例えば、 “I have been procrastinating.” (ついグズグズ先延ばしにしちゃってさ〜〜。)という覚えたてのフレーズをスムーズに言えるようになりたいとします。しかし、覚えたてのフレーズを実際の会話の中でサラリと使うのは容易ではありません。ちょうど会話がそういう流れになったときに、タイミングよくスラッと言いたいわけです。ところがいざそのような場面になると、変に緊張して喉が張り付いてしまったりして、機会を逸し続けてしまうのです。

こんなときに効果を発揮するのが「独り言英語」学習法です。まず procrastinating という単語を pro·cras·ti·nat-ing と音節に分けて、何度も何度もハッキリと声に出して繰り返します。こうすることで、口の筋肉がこの単語の発音に慣れていきます。ちょっと、テニスのスイングを覚えるのに、最初はゆっくりと大げさに振って練習するのと同じことです。ちなみにこの procrastinating という単語、私もなかなか滑らかに言えずに苦労した単語の一つです。

英語の発音というのは突き詰めれば筋肉運動ですから、スラスラを言えるようになるには、喉、声帯、顎、軟口蓋、横隔膜などといった発音に関わる筋肉群を適切にトレーニングする必要があります。ギターやピアノで複雑な運指を覚えるのとなんの差もありません。この発声訓練をこなさないと、どうしても滑らかに使えるようにならないのです。

単語がスムーズに発音できるようになったら、今度は “I have been procrastinating.” と文章で繰り返して言ってみます。フレーズがすっかり体に馴染むまで、何度でも繰り返しましょう。なお、具体的な発音のコツについては、こちらの書籍をオススメします。

独り言英語のポイント2:イメージトレーニング

だんだんフレーズが体に馴染んできたら、次は頭の中で具体的な会話シーンを想像してみます。この際、ネイティブスピーカーが覚えたいフレーズをどのように使っているかを思い出してみます。映画やドラマのシーンなどを参考にしてもいいでしょう。具体的なイメージが沸いたら、まずはこれを書き出してみます。

例1:
“Have you done your homework?” (宿題やった?)

“No. I haven’t. I have been procrastinating.” (ううん。つい先延ばしにしちゃってさあ〜〜)

例2:
“Have you filed your tax return yet?” (もう確定申告した?)

“No. I haven’t. I have been procrastinating.” (ううん。つい先延ばしにしちゃってさあ〜〜)

ネイティブスーカーや英会話の先生にアクセスがある場合には、自分で書いた会話例がナチュラルかどうか、一度確認してもらいましょう。間違って変な使い方を覚えてしまうと、あとで直すのが大変だからです。なお、ここで書き出す会話例は、なるべく現実に近い状況を想定した方が、実際の会話ですぐに使えるようになります。

そうしたら次は、この会話シーンを自分一人でなんども繰り返して、スムーズに言えるようにします。実際に使っている場面を思い浮かべ、感情を込めて何度も練習しましょう。演劇の練習をしているつもりで臨んでください。

なお、幼児も言葉を覚え始めの頃は、一人遊びしながらブツブツと独り言で会話をしているものです。やっぱり、いきなり対面で言葉を発するのは勇気を要するのです。だから、お人形さんを相手に無意識に練習してるんですね。それと同じことです。

独り言英語のポイント3:英語を英語のまま扱う

こうしてイメージトレーニングがすっかりと馴染む頃には、もうこの「つい先延ばしにしちゃってさあ〜〜」という訳文が頭の中からすっかり消えています。ピアノなども最初は譜面を見ながらたどたどしく弾いていたのが、テクニックが定着するにつれて意識から譜面がなくなっていきますが、あれと同じことです。

そういえば私のビジネスパートナーの中西もよくブツブツと何か言っています。何も知らないと単なる怪しい人ですが、しばらくすると、ブツブツと練習していたフレーズを実際に使い始めるのです。最初の頃は微妙に状況にフィットしていなかったり、発音がこなれていなかったりしますが、日が経つにつれてより自然に、滑らかになっていきます。こうして新しいフレーズが定着したら、次のフレーズの暗記です。この繰り返しで、英語が英語のまま扱う回路が、自分の中に出来上がっていきます。

関連記事:【英語学習法】会話の瞬発力を上げるにはどうすればいいのだろうか?

新しい単語、フレーズ、文法… すべてに応用が利きます

なおこの「独り言英語」学習法、新しい単語や言い回し、そして文法と、すべてに応用が利きます。せっかく新しい文法や英語を学んでも、それだけでは実際に使えるようになりません。何度も何度も練習して無意識レベルに落とし込まないと、スムーズに出てくるようにならないのです。

ですので、新しい単語や言い回し、あるいは文法を習ったら、いくつも例文を作ってみて、口に出して練習してみましょう。なお、作った例文をネイティブや英語講師にチェックしてもらうのは必須です。特に初心者〜中級者のうちは、必ず見てもらってください。誤って覚えてしまうと、今度はそれを直すのに倍の時間がかかるからです。例文が出来上がったら、何度も口に出して練習しましょう。つっかえずに滑らかに、情景を思い浮かべながら言えるようにするのがポイントです。

関連記事:【英語学習法】そもそも単語はどうやって覚えるのが効果的なのだろうか?

すっかり馴染んだらいよいよ実践です

独り言での練習がすっかり馴染んだら、いよいよ実践です。英会話のレッスンや、職場での会議などで、実際にどんどん使ってみましょう。もちろん最初のうちは不自然な言い方をしてしまったり、うまくタイミングよく使えないこともあるでしょうが、何度も使っているうちに、徐々に滞りなく使えるようになっていきます。

滑らかに話せるようになりたかったら、対面で実際にしゃべることも大事ですが、独り言で自主トレをする時間も同じくらい大切です。ただ漫然と先生とおしゃべりするよりも、こうやって独り言で自主トレをみっちりやったほうがよほど早くしゃべれるようになります。

関連記事【英語がペラペラになりたいあなたへ】意識すべきたった1つのこと

Brightureでできること

以上、「独り言英語」学習法の効果と、具体的なやり方について解説しました。

Brightureでは使用頻度の高いダイアログ(会話例文)を、より自然で、滑らかな話し方を練習する Speech Fluency というクラスが用意されています。正しい発音はもちろんのこと、適切なアクセントやイントネーションを用い、感情表現を伴った自然な話し方の体得を目指します。 こちらのビデオは、その授業の一コマです。 授業はマンツーマン形式です。



このクラスの詳しい内容については、下記のリンクをご覧ください。

クラス紹介:Speech Fluency

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。