「オンライン留学」の良さは「相談できる先生の存在」と「強制力」にあり

Tさんは、キャリアチェンジのために会社を辞めて、3月1日から13週間の予定でセブに留学に来たものの、コロナウイルスのために2週間で帰国。帰国後はオンライン留学に切り替えてさらに11週間受講しました。長期でオンライン留学を続ける秘訣はどこにあるのか、スランプの乗り越え方は? 聞いてみました。

Tさん/20代/女性/会社員

英語学習歴から教えてください。

小学校5年生のとき、週1回で英語教室に通い、英検3級を取りました。高校も英語系で、大学では国際系の学部でした。英語はずっと好きでしたが、ちっとも喋れなくて大学のときのTOEICが660くらいでした。それでもあわよくば、英語関係で仕事したいと思っていました。

ところが、大学でロンドンに1ヶ月留学したら、留学先の人たちが拙い単語を理解してくれて、意外とあっさりコミュニケーションが取れたんです。今思うと、相手が合わせてくれたんだと思うんですが、単純に「会話が楽しい」ことに気づき、「自分は本当に英語使って仕事をしたかったのかな?」と疑問に思いました。そこで、方向転換したのです。

日本をよくしようと思い、地域活性化を研究するゼミに入りました。そして英語はまったく使わない、保育園設立のコンサルティングを行う企業に入りました。

またなぜ英語学習を再開したのでしょうか。

コロナになる1年前から、中国や外国の人から日本の教育に対する問い合わせが増えてきました。そこで、改めて社内で英語で仕事をしたいと思い、仕事しながら勉強していました。

ところが働いていると、勉強時間が確保できないのです。会社の同僚の留学経験者に相談したら、「思い切って、現地に行っちゃった方が早い」と言われました。行くなら超ハードなところと思い、ネットで調べて、ブライチャーに13週間行くことを決めました。

13週間にしたのはなぜでしょうか。

せっかく辞めたんだから、当初は半年行こうと思ってました。悩んで(創業者の)松井博さんに学習相談したら、「6ヶ月はしんどいよ。まずは3ヶ月13週間でやってみたら」とアドバイスを受けたのです。

留学するにあたっての目的はありましたか。

発音とスピーキングの向上です。とりあえずは日常英会話ができること、最終的には英語を使った仕事を目標にしました。

発音が悪いと伝わりませんし、日本だと結構他人の発音を笑う人がいるので恥ずかしさもあり、克服したいと思いました。文法と語彙は留学前にやり直して行きました。

最初の2週間はどうでしたか?

初日は、先生の指示がわからないことがあり、悲しくなりました。また、先生が言ったことをまとめて他の人に伝えるリスニングとスピーキングの練習(Group Listening and Speaking)が難しくて。できないのを突きつけられてる感じでショックでした。

それから、発音の授業には本当に驚きました。高校の授業で軽く発音は習ったのですが、口の模型を使った法則の説明はまったくなかったので衝撃でした。ただ、なまじ中途半端に知らないからこそ、変な癖がないとも言われました。かえって早く吸収できたように思います。

自習室では、みな真剣に勉強してましたが、仲良くなると勉強法を教えてもらったり、旅行も誘ってもらったりしました。普段は真剣に勉強して、土日はリラックスと、メリハリつけてやってたので、刺激になりました。

先生たちは優しく、とても根気よく丁寧。話す内容がとても知的で、ためになるような話が多かった。会話を楽しむというより、いろいろ考えたりとか、こういう意見もあるよね、と議論できたり。

セブに留学して、すぐにパンデミックが起きたんですね。

出発は2020年3月1日でしたが、すでにフィリピンでもマニラを中心にコロナウイルスが広がり始めていました。2週目で情勢がガラッと変わり、土曜日には学校全てが運営休止となり、セブに残って様子を見るか、家に帰ってオンライン留学するか、延期するかの3択となりました。せっかくだから止めるのも嫌だな、と、日本に帰ってオンライン留学で続けることにしました。帰って1週間休み、再開しました。

オンラインクラスではどんなカリキュラムでしたか。

受けたのは、セブ島と同じ1日6コマです。

内容は、Phonics and Pronunciation(PP)2コマ。1 on 1 Listening and Speaking(LS1)、Daily Conversation(DC)、Reading and Writing(RW)、Remedial Class(RC)です。最後の2週間は、Business Writing(BW)とBusiness Coaching(BC)を取りました。PPは2クラスあり、母音のクラスと子音のクラスがありました。私は2週間やって1週間休むというパターンにしてもらいました。

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オンラインのほうがやりやすい科目も

対面式とオンラインで違いはありましたか。

セブでは周りの人からの刺激を受けていたので、最初は孤独が辛かったです。初めからオンラインだったら違ったかもしれません。セブの仲間たちとはその後も、オンライン飲み会などで励まし合っていました。

プレゼンテーションがなかったのもちょっと残念でした。プレゼンで自分が練習して話した内容って覚えやすいのです。

一方で、発音クラスはオンラインのほうが良いと思いました。対面だと、鏡を使って口の動きを先生が見るのですが、オンラインだと画面の近くに寄って口の動きを見せられる。先生も必要以上に(物理的に)近づかなくて済むので、オンラインの方がやりやすそうでした。

また、AA(Academic Adviser:プログラム期間中、担任講師として学習の進捗管理やフィードバックを行います)とのミーティングもオンラインの方が密でした。毎週火曜日に担当してくれるAAの先生のコンサルテーションがあり、心配なことや授業が大丈夫か? などを相談できてよかったです。ネットが悪いとか、先生が優しすぎるから、もっと厳しくしてほしいとか、先生は変えないで欲しいとか、いろいろとお願いしていました。 私の場合、セブとオンラインではほぼ同じ先生でした。

オンラインでは先生の励ましがモチベーションになった

オンラインクラスになって、その後変化はありましたか。

2ヶ月目くらいから、特に発音のクラスで「あ、できてきたかも」と感じることが増えました。今まで、「この発音はどうだっけ?」と考えていたのに、思考なしにできるようになってきたのです。先生に舌の動きを確認しなくても、「違う」と言われた瞬間に直せるように変化しました。

2ヶ月目の終わりになると、また伸び悩みました。リスニングが聞けなくなり、どうしたんだろう? と心配になったりして。

どうやって切り抜けたのでしょうか。

このときも、AAの先生に相談し、いろいろとアドバイスを受けて切り抜けました。

2週間に1回成績とフィードバックがあるのですが、AAの先生が「何でもいいから楽しいと思うこと、リラックスできることを見つけて続けてください」と励ましてくれました。「歌を聞いてみたら」と言われたりしました。

この先生は、以前勤めていた会社ではなかなか英語が通用せず、苦労したそうです。「こんなにできる人にもそういう時期があったんだ」と驚き、それが「やらなきゃ」という原動力になりました。

厳しい先生もいました。イントネーションを重視する先生、リンキングワードを重視する先生、単語だけをしっかりできてるか重視する先生と、ちょっとずつ違う。ただ、みなさんいい先生で、代えてもらったことはないです。

「毎日ライティング」をするとフレーズが身についていく

大変なことはありましたか。

ライティングのクラス(RW)です。エッセイを毎日書くのが、本当にしんどくて。最初はテーマが簡単で先生のチェックも少ないんですが、だんだん難しくなり、寝る時間がどんどん遅くなってました。

「女性蔑視」「温暖化」など、大きなテーマを与えられて、300単語くらいを、平均して大体3時間かけて書きました。温暖化なら反対か賛成か、専門家の情報を探し引用して自分の言葉で構成します。リサーチし、根拠となる文章を見つけるのも、それをまとめるのも大変でした。

日本語でもそもそも書いたことないテーマばかりです。 まるで、毎日、卒論書いてるみたいでした。高校や大学では、自分で文章を書いたりする訓練は全くなかったのです。

けれど、途中で「注力するべきはライティングだな」となりました。話すときはジェスチャーが使えますが、仕事ではメールが必要です。そして私の文章を先生に見てもらうと、言いたいことが書けていない。伝えたかったことが違う解釈になってたりとか。「全然できない、まずい」となりました。

でも、毎日書いていると、同じフレーズ使うことが増えてきます。例えば「regardless」「depending on」などの言葉も、書く回数多いので自然と覚えるのです。引用の方法とか、根拠に基づいて説得する方法も、回数を重ねるうちに、だんだん身についてきた。ライティングも2ヶ月くらいから、すこし早く書けるようになりましたが、まだまだ足りないなと思います。

先生のレベルが高く、単純な文法ミスの指摘だけでなく、論理的かどうかまで見てくれて、まるで国語の授業受けてるみたいでした。

最後の2週間はビジネスライティングのクラスを受け、メールやクレームのメールへの返信とかを習いました。こちらは決まり文句もあって。フレーズさえ覚えれば書けました。

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好きなクラスはありましたか?

RC(Remedial Class)が楽しかったです。疑問文を作ってそれに答える訓練をしました。また、先生が「友達が落ち込んでる」とか、「シェアハウスに新たな住民をいれる」とか、架空のシチュエーションを設定してくれて、どう会話するかををやりました。また動画を見て、内容を英語で説明する訓練をしましたが、これは難しかったです。

リスニングとスピーキングはどうでしたか。

LS1(One on One Listening and Speaking)は、最初はリスニング聞いて、簡単な質問に答える、というパターンでした。3ヶ月目からは、3分間で即興スピーチをする訓練をしました。

終わって変化はありましたか。

まず、英語話すことに抵抗がなくなりました。以前は単語をつなげて話すだけでしたが、今は間違いはあるけど、意識して文章で話せるようになりました。スピーキングは前よりできてることを実感しています。

DC(Daily Conversation)のクラスでもフィラー(あー、とかうーとかいう音)が多かったのですが、それがほぼなくなったと言われました。また、最初、英語のスピード遅いと言われたのですが、最後はもう普通だね、と。

また、Twitterで英語の記事を読むのが苦じゃなくなりました。ライティングで、毎日長い文章読んで、比べたら楽だなとなりました。

また、留学は終わったけど、勉強には終わりじゃないって気がついて、英語に触れる時間が格段に増えました。

行く前は「単語増やして文法やっておけばいいかな」って感じでしたが、留学後は空いてる時間があればYoutubeやNetflixでインプットをしています。昼ごはん中にもPodcastを聞いてます。こんなに努力したのに、続けなくて英語力を下げたら怖いからです。

どんなものを見ているのですか。

日本が好きなので、Youtubeで外国人が日本のいいところを紹介している動画を、英語字幕で見てます。親しみがあるのでスッと入ってきますし、分からなくてもこういうことかなと想像できます。

Netflixで今見てるのはドキュメンタリー。こんまりさんの片付けの動画をひたすら見てます。興味があるものを見てると飽きないし、楽しいです。

今後はどのように英語を勉強していきますか。

転職活動中ですが、日本企業は採用にTOEICを求めるところが多く、9月のTOEICに向けて勉強しています。英語を使うマーケティング・営業をやりたいなと思います。

ビジネスで使える言い回しを覚えたいので、実はブライチャーであと2ヶ月やろうかなと検討しています。趣味など、簡単なレベルの会話ならできるようになりましたが、環境やAIなどの話になると、一気に話せなくなるのです。

それに、発音はまだまだ苦手な音があるので練習したいですね。あとはライティングとDCかな。

今のところ、3コマでオンライン留学にするか、オンラインを自分で取るかで迷っています。

オンライン留学の良さは「相談する先生」と「強制力」にある

オンライン留学と、自分で予約するオンラインコース(My Brighture)ではどちらがいいでしょうか?

My Brightureだと、科目を選択して先生を決めて予約して、すべて自分でやらなきゃいけないですよね。私の場合、選択できると「明日でいいや」となります。選択するって大変です。相談するAAの先生もいないし、続けられるかも自分次第。

そう考えると、やっぱりオンライン留学のほうがいいですね。追い込み型で縛りがある方が私は「やるぞ」ってなるタイプです。

それにコーチしてくれるAAがいるのも大きいです。また、自分で予約をする場合は、好みの先生が続けてとれないこともあると思います。オンライン留学は先生が固定されるので、それもない。

それから、私の場合、自分で選択すると、なんとなく男の先生が怖くて、女の先生しかとらないんです。ところが、オンライン留学だと学校側に先生を決めてもらえるので、自分ではまずとらない先生が意外に良かった、などという発見があります。また、長いことやるので仲良くなります。

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これからブライチャーをやる方にアドバイスはありますか。

厳しそうだけど大丈夫かな? と心配な方もいるでしょう。ハードだけど、AAの先生もいるし、サポート体制があるので、飛び込んでしまえばいけると思います。

特に発音は「絶対とったほうがいい」くらいのレベルでお勧めします。発音ができると、リスニングもできてくる。音のつながりとか、知らないと訳がわからないです。これを学ばないとリスニングができないです。

また、事前準備は大事だと思います。特に、オンラインだと口頭での説明が中心ですから、最初の授業までに、最低限の単語などは絶対覚えることです。例えば、発音の授業で使う「舌」などの名詞や、文法用語(形容詞、名詞、動詞など)を覚えてからスタートした方がいいです。

ありがとうございました。