ブライチャーが英語でのプレゼンテーションを必須にしている理由

「ブライチャーはとっても良さげなんだけど、プレゼンテーションがあるのがなあ……。」

そんな声を時折耳にします。また事前カウンセリングの際にも「プレゼンテーションは必須なのでしょうか?」と質問する方もいます。

フィリピン留学市場にはたくさんの語学学校がありますが、プレゼンを強制的にさせている学校はそれほどないのではないでしょうか?

日本の学校では、プレゼンテーションを日本語でやることがほとんどありません。そのため、必要以上に恐怖感を抱いてしまう気持ちもわからないわけではありません。しかし、実際にやってみると考えていたほど難しくないものです。今日はなぜブライチャーではプレゼンテーションを必須科目にしているのか、そして実際に生徒さんたちがそこからどんなことを学んでいるのかについて、詳しくお話したいと思います。

プレゼンテーションでしか得られない学びがある

ブライチャーでは英語でのプレゼンテーションを選択ではなく、必須にしています。それは、プレゼンテーションをやることでしか学べないことがたくさんあるからです。それではその「プレゼンテーションでしか学べないこと」について、一つずつ解説していきましょう。

1)アイデアを考える訓練になる

もっとも重要な学びは、「伝えたいこと」そのものを考える訓練になることです。英語学習というとどうしても文法、語彙、発音といった「型」の部分に意識が行きがちですが、実は一番肝心なのは、「何を伝えたいのか」というコミュニケーションの内容なのです。

日本の学校ではこうした「考える訓練」をする機会がほとんどないので、最初の数回はどの人も「そもそも話すことがない」というもっとも根本的な部分でつまづきがちです。「発表そのものよりも、ネタを考える方がよほど大変だった……」、ブライチャー卒業生に共通する感想です。

しかし、考えてもみてください。どんなに発音、語彙、文法といった「型」に習熟しても、伝えたい内容がないのでは、そもそもコミュニケーションが成立しません。「英語学習のゴールはなんですか?」と聞くと「海外の方と交流したい」と答える方がたくさんいますが、それならなおのこと、「会話の中身」こそが肝心なのです。

最初の数回は「自己紹介」や「郷土の紹介」といったありきたりな内容で一向に構いません。まずはチャレンジしてみることが大切です。最初は戸惑う生徒さん達も、他の生徒の発表を見ることで、だんだんと自分なりに伝えたいことを生み出せるようになっていきます。

また、英語のうまさとプレゼンテーションのうまさは必ずしも一致していません。英語そのものはうまいのに伝える内容がない人もいれば、英語が稚拙なのに全員を引き込んでいく人もいます。そして、実際に海外の人とコミュニケーションを取れるのは、どちらかといえば後者のタイプなのです。

2)「まとめる力」がつく

プレゼンテーションに与えられる時間はせいぜい5〜7分程度ですから、発表したい内容を取捨選択し、テーマを絞っていく必要があります。こうしたプロセスを踏むうちに、知らず知らずのうちに「まとめる力」がついていきます。どんなにいいアイデアがあっても、それを絞り込み、上手にまとめることができないと誰にも伝わりません。こうした「まとめる」力は、プレゼンのみならず、エッセイや仕事のメールを書くときにも応用が効くものです。

3)「伝える方法」を学べる

自己紹介や郷土の紹介といったありきたりな内容でも、興味深く、わかりやすく伝えられる人もいれば、そうでもない人もいます。人にわかりやすく、興味を持ってもらえるように伝えようとすると、おのずと話す順番や内容をよく吟味しなければなりません。また姿勢の保ち方、声の出し方、視線の置き方なども大切な要素です。こうした全てが、そのまま伝える技術の向上になりますし、思考訓練にもなります。

ここでもまた、他の生徒さんのプレゼンが手本になります。自分よりも英語そのものが下手な人が、自分よりもはるかにうまく伝えることもあります。ですからの人のプレゼンを見ることが、そのまま自分のプレゼンの訓練になるのです。

4)スライドの作り方が学べる

これまでプレゼンをやったことがない人のなかには、「プレゼンのスライドをどう作ったらいいかわからない」という人もいるでしょう。しかしわからない人には先生が手取り足取り教えてくれますから、それほど悩むことはありません。回数を重ねるうちにパワーポイントやキーノートといったプレゼン作成ソフトの使い方にも慣れていきます。

また、こうしたプレゼン資料の作成スキルそのものも、実社会でそのまま使えるスキルです。身につけておいて得することがあっても、失うことなど何もありません。

5)プレゼンテーションを行うことで、度胸がつく・人前で話す訓練になる

社会人になれば、会社で発表をしなければならないこともあれば、顧客に提案をしなければならない時もあるでしょう。そんな「本番」は不意にやってきます。いざ本番になってから慌てないためにも、人前で話す訓練をしておくことは社会人として欠かせないことです。この練習を英語でしておけば、日本語でのプレゼンなど容易いものです。

ブライチャーは、全員がまだ英語学習中の学校です。少しばかり恥をかいたって、実社会の評価にはなんの影響もありません。また実際のところ、どの人も自分のプレゼンでいっぱいですから、失敗したところで笑う人なんて誰一人いません。それどころか、つっかえたりすると助け舟を出してもらえるような、あったかい環境なのです。ブライチャーにいる間に、すっかりプレゼンに慣れてしまえば、英語のみならず度胸もすっかり付いて一石二鳥です。

6)自分の言葉で話せるようになる

英語でのプレゼンを重ねるうちに、どの人もだんだんと少しずつ形になってきます。伝えたいことが生まれ、英語力もプレゼンの技能も向上していきます。最初のうちはあらかじめ全文スクリプトを書いてきて「ただ読むだけ」だった人たちが、いつの間にかスクリプトに頼らなくなり、他の生徒や先生たちと視線を交えたり、聴衆に質問して巻き込んでいったりできるようになります。

そう、みんな「自分の言葉」で話せるようになっていくのです。自分の考えや気持ちを、英語で、自分が作ったスライドを用いて、自分の言葉で伝えられるようになるのです。

中には即興で話せるようになる人さえいます。ここまでくれば、ビジネスシーンで英語を躊躇なく用いるのも、初めてあった外国人と話を弾ませるのも、決して難しくありません。

最初からうまい人ないどいない

実際にやってみると分かりますが、一回目からうまい人などいません。どの人も最初は無難なトピックを選び、全文スクリプトを書き起こして、緊張しながら棒読みするのが精一杯です。それでも回数を重ねるうちに、確実に少しずつ上手になっていきます。

またスライド作成から練習まで先生たちが手伝ってくれますから、実はそれほど心配は入りません。こうして知らず知らずのうちに、英語力のみならず、考える力、まとめる力、伝える力がついていくのです。中には「毎週のプレゼンが楽しみになった」という人さえいるほどです。

皆さんもブライチャーで、本当に実践で使える英語を磨きませんか?

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。