ビジネスで使ってはいけない英語表現を2つ紹介します

ビジネス英語というと、何を思い浮かべますか?

ある人にとっては海外の取引先とのやり取りかも知れませんし、別の人にとっては、外国人の上司や部下とのコミュニケーションかも知れません。業界によっても思い浮かべるシーンは随分異なるでしょう。

実際のところ、ビジネス用語は業界や会社の数だけ存在します。ですので一口に「ビジネス英語」と言っても、どこから始めていいのかわからない人が大半ではないでしょうか? しかし、どんな業界にせよ、英語でビジネスをする上で絶対に押さえておかなければならないことがひとつだけあります。

それは「丁寧に話すこと」です。

日本語に置き換えて考えてみましょう。業界用語などは就職してから覚えればよいですが、そもそも「丁寧に話すこと」を外してしまうと、ビジネスそのものが成立しなくなってしまいます。僕らは英語という外国語でビジネスをするわけですから、余計な誤解を避けるためにも、きちんとした話し方を身に付けることは何よりも大切なのです。

丁寧に話す上で気をつけるポイントはいくつもありますが、まず最初は、「絶対に使わないほうがいい」表現がなんなのかを把握し、最悪の地雷は踏まないようになりましょう。

絶対に使わってはいけない表現① 〜 “want”

「使ってはいけない英語表現」のトップバッターは “want” です。 この単語の表現するところはつまるところ「欲しい!」という欲求ですから、あまりにも直接的すぎるのです。召使いに命令しているわけではないのですから、例えば客先にお邪魔したときに「お飲み物は?」と聞かれ、思わず ”I want coffee.” などと言ってしまわないようにしましょう。

また自分の部下に話す場合でも、“want” はかなり高圧的な表現です。“I want your report by 5:00PM.” と言えば「今日の5時までにレポートを出してくれたまえ」のようなニュアンスになります。部下は黙って従うでしょうが、そんなことが続けば転職してしまいます。日本以外の多くの国では転職がごく当たり前のことですから、無自覚に高圧的に振舞っていると、みんな黙って辞めていきます。必要のないところで無用な反感を買わないよう、不用意な表現に気をつけましょう。

では “want” は使わないのかというと、そんなことはありません。例えば “I want to double our sales by next year.”「来年には売り上げを倍したい」のように、会社や部署のゴールを明示するときには極めて適切な表現方法です。自分たちの目指すゴールや路線を明示することは、部署や会社を運営する上で非常に重要です。そんなシーンではむしろ積極的に“I want” を使って行くべきです。

“I want” は “I would like” と言い換える

では部下に指示をするときには、いったいどのような表現を用いればいいのでしょうか? 一番手っ取り早いのは “I want” を “I would like” に置き換えることです。またもう一つの言い方として “May I ask (for) ~?” という疑問文にする方法があります。

いくつか例を見てみましょう。

    私はコーヒーが飲みたい
  • I want to have a cup of coffee.
  • I would like to have a cup of coffee.
  • May I ask for a cup of coffee?

  • 君にはこのプロジェクトに従事して欲しい
  • I want you to work on this project.
  • I would like you to work on this project.
  • May I ask you to work on this project?

  • 御社と取引を始めたい
  • I want to start a business with you.
  • I would like to start a business with you.
  • May I ask to start a business with you?

たったこれだけのことで、表現がグッと丁寧でマイルドになります。もっと丁寧なお願いの仕方はほかにもありますが、それはまた今後紹介して行きたいと思います。

絶対に使わってはいけない表現② 〜 “had better”

もうひとつ使ってはいけない表現、それは “had better 〜” です。日本では “had better 〜” の和訳として「〜するのがよい、〜したほうがよい」と習うため、この表現方法を丁寧な言い回しだと思い込んでいる人がたくさんいます。

しかし、これは大間違いです。実は “had better 〜” は、「〜をしないとあなたの身に災難が降りかかりますよ」といったような、ちょっと脅迫的な表現なのです。例えば「時間までに出社しないと減給しますよ」とか「宿題をやらないと進級できないぞ」とか、そんな雰囲気です。口頭でもメールでも、絶対に使うべきではありません。

では “had better 〜” はどんなときにも絶対に使えないのかというと、自分に対して、あるいは第3者に対して何か差し迫った状況を言い表す時には、使い勝手の良い表現方法です。例えば “I had better get back to work.” と言えば、「そろそろ仕事に戻らないとマズいな」と行ったニュアンスを醸し出すことができます。長話を適当に打ち切りたい場合などには、“I had better get going.” というと、「そろそろいかないと……」といった感じの雰囲気を作れるのです。

また、自分のチームに緊急事態やコトの重大さを伝える場合などに “We had better assign more resources to this project.” 「このプロジェクトの人員をもっと増やないとヤバい」などというふうに、切迫感を言い表すこともできます。

第3者の身に迫った危機を言い表したい場合には、 ”He had better finish his work very soon or else he will be in trouble.” などと言えば、「あいつ、そろそろ仕事を片付けないと、かなりマズいことになるぞ」などと言うふうに表現できるわけです。

しかしこの “had better 〜” 、は “you”を主語にして “You had better 〜” と使わないように、くれぐれも気をつけてください。

“had better。 〜” を丁寧に言い換えるには?

では誰かに何かして欲しいときには一体どのように表現すれば丁寧になるのでしょうか?

一つの方法は “I think you may/might want to 〜” (〜したほうがいい)と言い換えることです。またもう一つの方法は “Maybe it is good idea to ” という言い回しに置き換えてもいいでしょう。例を見てみましょう。

    夕方5時までにレポートを提出した方がよい
  • You had better submit your report by 5:00PM this evening.
  • I think you may want to submit your report by 5:00PM this evening.
  • I think you might want to submit your report by 5:00PM this evening.
  • Maybe it is good idea to submit your report by 5:00PM this evening. 

  • 提出する前にジョンに見てもらった方がいい
  • You had better have your report checked out by John before you submit.
  • I think you may want to have your report checked out by John before you submit.
  • I think you might want to have your report checked out by John before you submit.
  • Maybe it is good idea to have your report checked out by John before you submit.

  • 今日のことは早く忘れた方がいい
  • You had better forget what had happened today.
  • I think you may want to forget what had happened today.
  • I think you might want to forget what had happened today.
  • Maybe it is good idea to forget what had happened today.

いかがでしたでしょうか?

ビジネスを円滑に進めるためにも、また、無用なトラブルを避けるためにも、相手を不快にさせる可能性のある表現はなるべく排除していきましょう。これがビジネス英語マスターの最初の1歩です。

次回は、今回の2つに加え、さらにいくつかビジネスシーンでの使用を避けるべき表現方法を紹介していきたいと思います。


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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。