英検一級をもつスペイン語圏の駐在員が、なぜブライチャーで英語を勉強するのか

Sさんは英検一級。USCPA(米国公認会計士)を持ち、外資系の金融機関で10年働いたあと、スペイン語を生かしてメキシコに駐在中。それなのに、わざわざメキシコから、ブライチャーのオンラインレッスンを受け続けています。その理由を聞きました。

Sさん /40代/女性/米国公認会計士

英語との出合いから教えてください。

中学のときに、洋楽が大好きで、「好きなアーティストに会いたい」と勉強し始めました。歌詞を訳して、担任の先生に見てもらったり高松宮杯全日本中学校英語弁論大会(現在の高円宮杯全日本中学校英語弁論大会)に出たりしました。

高校までは公立で、大学は留学生の多い大学に入りました。英語・日本語で授業が行われ、アメリカ人留学生が多かったのですが、なかなか友達になれない。

「気が合わないのかな? イギリスに行ったら違うかも」と、夏休みにマンチェスターに語学留学しました。そしたら英語学校のスペイン人と気があって10人くらいと友達になった。「こんなに一気に友達ができるならスペインに行こう」と。

そこで、3年生の途中からスペイン語を学び始めました。4年生で就職活動したのですが、バブル崩壊で仕事がなく、スペインに支店のある外資系旅行会社に入ったんです。

しかし1年目で「マドリードの駐在は危険だから男性だけしか行けません」と言われがっかりしました。この会社に5年いたのですが、駐在員は日本の顧客へのクレーム対応が多く、大変なことを知りました。その後も、何度か海外で働くチャンスがありましたが、実現しなかったんです。

その後はどうしたんですか。

スペイン語の通訳学校に2年通いましたが、適性がなく、自活は難しそうだと感じました。数字に強かったので、USCPA(米国公認会計士)を受け始めました。合格して、アメリカの金融系企業に入りました。

英語の勉強はいつ再開したのですか。

2013年のおわり、東京オリンピックでボランティアをやろうと、英語とスペイン語のやり直しを始めたのです。英語は、英検1級に合格しようと思いました。

外資系で働いていて、当時の課題はなんでしたか。

英語を日常的に使ってましたが、自信がなかったんです。なんとなく仕事上のコミュニケーションはできるのですが、コアなものがない。そして、英語がちゃんとしてないと昇進できません。 上司もアメリカの大学を出た方で、周りも帰国子女が多いのに、私は英語圏に正規留学したことがありませんでした。

どうやって勉強したのでしょうか。

フィリピンのビジネス専門のオンライン英会話(ビズメイツ)を週5回受けてました。ここでは実際に、私と同じCPAを持ってる先生に、経験に即した英語を教えてもらい、2015年に英検1級に合格しました。

その後、仕事はどうしたのですか。

会社ではマネジャーに昇進しました。仕事ができるようになると、面白くなくなってきて、飽きちゃったんですね。10年働いて「環境を変えようかな。どうする?」と思い、「スペイン語を使ってみたい」と仕事を探し始めました。そしたら、メキシコの会社を紹介されたのです。

メキシコですか。

当初は「メキシコー? 私が興味があるのはスペインだよー」って思いました。

駐在経験のある方達がみなさん「メキシコはいいよ」って言うので、何となくその気になって、面接に行って。そして旅行したこともないのに、駐在を決めました。しかも初の女性駐在員です。

2017年からメキシコで働き始めました。気候と人はすごくいい。ただ、メキシコ人との仕事のやり方はアメリカの企業とは違い、なかなか慣れませんでした。最初にスペイン語圏で働きたいと思ってから、20年かかりました。今働き始めて3年半になります。

仕事はスペイン語ですよね?それがなぜブライチャーで英語を学ぶことになったのでしょうか。

ブライチャーを知ったのはメキシコに赴任後の2018年4月です。たまたま、「『英語が使える』ってどういうこと?」ってコラムを読んで、松井博さんを知ったのですが、「そうそうそう!」って共感しまして。

この「英語ができる人」に私は全部当てはまってる。そして「日常会話が一番難しい」っていうのも、まさに私のこと。「仕事では使える。しかし日常会話で思ったようにコミュニケーションできない」が悩みでしたから。

もちろん、普段仕事で使っていて、相手には通じるのです。仕事で1対1なら問題ないのに、ネイティブとの他愛のない日常会話が厳しい。一方的に話されたときに聞こえない。「この方が作った学校に行けば、何かちょっとクリアになるのかな」と思ったのです。

英語は教養あるビジネスパーソンの証になる

メキシコだとスペイン語だけでこと足りるのではないでしょうか。

私も日本ではそう思ってたのです。スペイン語だけで問題ないんじゃないかと。来てみたら、英語が話せる人は日本以上に少なく、従業員同士はほぼスペイン語です。

しかし、外部の会計士やエキスパートとやり取りするには、英語ができたほうが絶対いいんです。

どこの国でも、英語は教養のあるビジネスパーソンの証です。相手の方の心証がよくなるのです。ある程度の発音で、ある程度の中身で、絶対できた方が仕事ではプラスになる。一目おかれ、ステータスになるんです。対等に話すには「お、やるね」と思われることが必要なんです。

また、メキシコは北米ですから、カナダとアメリカとやりとりがある。日系でスペイン語も英語もできない人は、「日本人は英語もできないの?」と思われる。

そこで、ぜひブライチャーに行こうと思い、日本帰国時に渋谷校に行き、体験授業を受けました。その場ですぐに「やる」と決めてフィリピン留学に申し込みました。

メキシコに住んでいるのにフィリピンに?

ブライチャーの先生にも「なんでメキシコ住んでるのにフィリピン?」と言われました。

ブライチャーに行く前の半年は、DMMのオンライン英会話でネイティブの先生に習っていた時期もあったのです。 しかしブライチャーだったら、スパルタでいろんな側面から底上げしてくれるかも。もやもやが晴れる経験ができるかもって思いました。リスニングが弱いので、発音や流暢さを学ぶことで、突破口を見つけられたらいいな、と。

そこで2019年の5月にフィリピンに1週間行きました。休日があったので賞味は4日間です。これが思ってた以上によかった。

入ってみてどうでしたか。

入学した日と最後に、きめ細かく評価をくれるのですが、初日は、発音が酷くて15点満点で6点でした。そのときに発音クラス(PP: Phonics and Pronunciation)を教えてくれた先生が好きになりました。とにかく、徹底的に音に付き合って全部指摘してくれとっても新鮮です。

ネイティブの先生は発音ができるのが当たり前で、指導できる方が少ないんです。 フィリピン人で、きれいな発音を習得している先生たちはすごいですよね。

そして、厳しいけど、とても楽しかったです。一番楽しかったのは、ペアになった先生と会話のやりとりをする「LS2(Group Listening and Speaking)」というクラスです。

期間は4日と短かったけど、もう早朝はニワトリより早く起きて集中して学習し、ランチも毎回、違う先生を誘って、その環境に浸るようにしました。 「やった、すごい充実してる」って感じでした。

フィリピンから帰ってからはどうしましたか。

戻ってすぐブライチャーのオンライン・クラスを始めました。 とったのは発音クラス(PP)とスピーキングのクラス(SF: Speech Fluency)で、それぞれセブ島でお気に入りだった先生のコンビでやっています。

最初は、週1か週2、今は週1回でやっています。

オフラインとの違いは感じましたか。

びっくりするほど違いがなく、問題がありません。セブ島留学に続ける感じで指導してくれます。

10回でも20回でもいやってほど直してくれます。もう50コマは受けたと思います。

オンラインではどうやって学習していますか。

PP(発音のクラス)は、母音をざっと練習して耳がちょっとずつ慣れて、固まってきた感じです。今は子音を強化しています。

先生は、録音した音声を「練習してきなさい」と渡してくれ、添削してくれます。できないところがあると、口の形のビデオを撮ってくれて、「ここが違う」と懇切丁寧に教えてくれる。宿題はあまりできてないんです。その場で出し切るスタイルでも、この感じで続けていけば、ある程度解決していけるのかなと思いました。

SF(スピーチと流暢さのクラス)では、長めのサンプル文章を読み、発音と流暢さを矯正してもらっています。知識として、音の消失やつながりはわかっていたのですが、実際には落としてたり飛ばしてたりしてて、レッスンでは「ここ、ここ、ここ、ここ」って言われます。一文なら問題ないけど、ちょっと気を抜くと落としてしまう。こっちに気をつけるとあっちが落ちるという感じです。

先生はこだわって選んでますか?

私の場合、セブで出会った2人の先生に決めています。若い先生ですが、落ち着いてちゃんとみてくれる安心感がある。長い付き合いだし、淡々としてるところが肌にあっています。

発音の練習って人によっては、プライドもあって、教えてもらっても素直に聞けないってことがあるかもしれませんね。だから、相性の合う先生とやるのがいいです。

予約できないことはないんですか?

予約ができる日になると、(予約開始のコマを)「いつ開けるの?」って聞いて、すぐに予約しています。私はメキシコにいるので、日本が寝静まってる時間とか、予約が取りやすいのもあると思います。先生も固定で、やることも決まっているので続けやすいです。

そろそろ1年になりますが、成果はありますか?

ドラマが聴きやすくなりました。音だけで理解でき、イメージできる範囲が広がったと思います。これは発音を学んだことが大きいです。諸説あるけど、私は「自分が言えることは聞ける」と思います。先日、カナダのトロントに行ったのですが、だんだん英語の雑談もついていけるようになりました。

元々は、自分なりのブレイクスルーを目的にして行きましたが、納得いった感じです。自分の課題も、この方向で突き詰めていけば解決するだろうというのが見えました。

このほか、普段はどれくらい勉強していますか。

勉強は生活の一部です。仕事のある日でも、1日5時間は勉強しています。仕事がない日は10時間くらいのこともあります。Audibleで小説を流して聞いたり、試験の勉強をしたり、エッセーを書いたり、スピーチの練習をしたりしています。スペイン語の学習が7割で、英語が3割です。

二つの言語を同時に勉強するメリットはありますか。

一つに飽きたら、もう一つをやればいいというのはありますね。ブライチャーに参加した頃は、ちょうどメキシコで働くことに疲れが出始めていて、目先を変えようと思ってました。仕事でスペイン語を使い、家に帰って英語の時間を設けて、話すことで気分転換になっていました。

ブライチャーはおすすめできますか。

はい。実際に、知り合いの会計士やお医者さんなどに、ブライチャーいいですよ!っておすすめしています。 彼らは、すでにある程度のレベルの英語力をお持ちなのですが、もっと広げてくれるんじゃないか、と。また、いろいろ英語の勉強を試し尽くした方でも、やってみる価値があると思います。

この質の授業をするのは、ネイティブの先生は難しいだろうなと思います。フィリピンに行く前はネイティブに習っていて、それなりに満足してたけど、今のところは、戻ろうと思ってません。 シリコンバレーの友達も、発音はやっぱりネイティブよりも外国語として高度に取得した先生に習った方がわかりやすいと言ってました。

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できる上級者ほど学習している

今後の予定を教えてください。

もうすぐ、日本の本社に戻るのですが、戻ってからも英語に力入れて行きたいと思います。もっと読んだり、聞いたりする量を増やしたい。その中から自然なものを身につけていきたいです。インプットしたナチュラルな音をアウトプットできる回路を作る感じです。それから、機会があればスペインに行くのも諦めてないです。

もう英検一級も取られて、外資系でも働かれて、学習する必要はないのでは、と思ってしまいますが。

できる方ほど学習しています。カナダで、現地でMBAをとってビジネス一線で働いていたご夫婦に、「あなたの英語はビジネスレベル。トリリンガルと言っていいですよ」と太鼓判を押してもらったのです。

しかし、「自分はできる」とどこかで思ってしまう人は、そこで成長が止まります。伸びる人は、「まだまだ」と思ってやってますよね。そういう方をいっぱい知っているので、刺激をもらってます。上級者で、自分の専門的なお仕事しながら、物凄い量の学習をされている方も多いです。

ありがとうございました。