30 5月 【英文法】ネイティブが使わない “go to there” の理由とは? 副詞と名詞の違いを徹底解説
英語学習をしていると、「なんでここは “to” がないんだろう?」とか、「”the” をつけた方がいいのかな?」といった疑問にぶつかることがよくありますよね?
たとえば、こんなのです。
- “I go there.” が正しいけど、”I go to there.” じゃダメなの?
- “I go to school.” と “I go to the school.” の違いはなに?
- “I go to school.”って言うのに、なぜ “I go to gym.” って言わないの?
- “I play the piano.” って習うけど、ネイティブは “I play piano.” って言っている。どっちが正しいの?
これらすべて理由がありますが、わかりにくいですよね。そこでこの記事では、”to” などの前置詞が必要な場合とそうでない場合や、なぜ “go to school” と言えるのに “go to gym” とは言えないのかなどを解説します。
“go to there” が NG な理由:副詞には “to” が不要
まず最初に “there” と “here” ですが、これらの単語はそれ自体が方向を示す副詞として機能しているため、”to” をつける必要がありません。つけてしまうと、文法的に間違った文章になってしまいます。
✓ I go there.
✗ I go to there.
✓ Come here.
✗ Come to here.
この他、”go home” とは言いますが、”go to home” とは言いませんよね。”home” は名詞ですが、この場合、場所や方向を表す副詞として使われているからです。これが「名詞の副詞的用法」と呼ばれるものです。
✓ She came home.(home=家という名詞。でも副詞の役割)
✗ I returned to home.(副詞の役割なので to は付きません)
“home” 以外にもまだたくさんあります。いずれも、「どこに行くか」の意味を1語で表せる単語ですので、副詞として使われます。
abroad(海外に)
He studied abroad.
“in abroad” とは言わない。
overseas(海外に)
She moved overseas.
“to overseas” とは言わない。
downtown(街の中心に)
We’re going downtown.
これは間違いやすい代表例のひとつかもしれません。
uptown(高級住宅街に)
He went uptown.
uptown はあまり使われませんが、これも副詞です。
outside(外に)
The kids went outside.
“to outside” と言ってしまう人が多いので、気をつけてください。
inside(中に)
Let’s go inside.
“to inside” もダメです。これも割と間違えやすいですね。
upstairs(上の階に)
He ran upstairs.
downstairs(下の階に)
She went downstairs.
back(戻って)
I came back.
away(離れて)
He went away.
名詞には “to” が必要な理由とその見分け方
さて、”home” や “abroad” は「どこに行くか」の意味を1語で表せる副詞でした。ですが、”gym” や “store”、”park” のような名詞は、物理的な場所の名称であって、行き先を指し示す単語ではないんですね。このため、前置詞 “to” を付ける必要があります。
✓ I go to the gym.
✓ I go to the store.
✓ I went to the park.
✗ I go gym.
さて、名詞の副詞的用法に戻るのですが、”downtown” を副詞として用いると、”to downtown” とは言えません。でもこれに、名詞 “district”(地区)を足して “downtown district.” などのようにすると、”to” を使うことができます。なぜなら、”downtown district” は名詞として扱われるからです。他にも見てみましょう。
Tickets for the next home game are already sold out.
次のホームゲームのチケットはすでに完売。
「本拠地での試合」は、home gameです。
The guests will stay in the inside room, not the one facing the street.
ゲストは外側ではなく、内側の部屋に泊まる。
“inside room”は「内側の部屋」です。
We went to the away game.
彼はアウェイ(敵地)の試合に行った。
She went to the back door.
彼女は裏口に行った。
He went to the upstairs bedroom.
彼は上の階の部屋に行った。
They stayed in the outside area.
彼らは外のエリアに留まった。
ちなみに、”abroad” は名詞とつなげて使いません。こういう例外があるのが英語のややこしいところですが、どうしても「to + 名詞」に形にしたい場合には、”He studied in a foreign country” のように、”abroad” ではなく “foreign” という形容詞を使います。
“go to school” は制度・習慣だから “the” が不要?
さて、こうして勉強を続けていると、もう一つの謎が立ち現れます。それは、”I go to school.” には “the” が要らないのに、なぜ “I go to the gym.” には必要なのかということです。
この、名詞であっても冠詞を使わずに使える名詞は、「制度・活動・習慣」を表すものに限られます。例を見てみましょう。
I go to school.
(通学している)
She goes to church.
(礼拝に行っている)
He went to prison.
(服役している)
I’m going to work.
(仕事に行く)
I go to bed.
(就寝する)
He watches TV every night.
(テレビを見る)
学校や仕事に行くのは社会的な制度や活動と認知されていますが、ジムに行くのは認識されていないんですね。なので、”I go to gym.” というと奇妙な感じがします。”library” も同じで、”I go to library.” は不自然です。
通常は「制度・活動・習慣」を表すこれらの名詞に定冠詞 “the” がつくと、物理的な場所やモノを指し示すようになります。このため、ニュアンスが変わります。
I go to the school.
(特定の学校に通学している)
She goes to the church.
(特定の教会に礼拝に行っている)
He is going to serve his time in the prison.
(特定の刑務所に服役している)
I’m going to the work.
(特定の仕事に行く)
I go to the bed.
(特定のベッドに行く)
He watches the TV every night.
(毎晩、テレビという機械をそのものを見ている)
“play the piano” と “play piano” の違いは? 英語の “the” を省略できる場合とは
さて、最後に英語学習者が迷いがちな、”I play the piano/guitar.” といった表現を解説します。
文法書などでは “I play the piano.” と解説されていますが、実際の口語英語では “I play piano.” と “the” を省略する人がたくさんいるんですね。特にアメリカ英語で顕著ですが、楽器を「能力や活動として」言うときには、”the” を省く表現が普通になってきています。イメージとしては、”I play soccer.” や “I play baseball.” などと同じ構造で、”piano” も活動・スキルとして捉えてるからです。
I play the piano.(文法的に正しいが、ややかしこまった印象)
I play piano.(口語ではごく普通の表現)
ただし例外もあって、”the drum” の “the” はあまり省略されません。楽器によって揺れがあるんですね。また、イギリス英語では “the” を省かないのが普通です。なので、これもまた学習者が混乱しがちな原因かと思います。
英語のモヤモヤを言語化するために必要な視点
英語の表現は、文法やルールだけでなく、その背景にある社会的意識や歴史、使われ方の変化などが大きく影響します。
そのため、何が正しくて何が間違いかをテスト対策用に覚えるだけでは、どこかで行き詰まりがちです。
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