“使える英語”を習得するための英文法学習についてまとめました。

僕は英文法をほとんど勉強したことがありません。品詞分解もしたことありませんし、それどころが品詞にどんな種類があるのかさえもよくわかっていません。

さすがに最近は教える側になったので少しは勉強しましたが、ほんの数年前までは全くわかっていませんでした。正直言ってなぜ5文型という類型を知らなければならないのか未だに理解できませんし、SVC のCがなんなのかも、いちいち調べないと思い出せません。

そんな私ですが、アメリカで大学を出ていますし、英語を使ってずっと仕事をしてきました。映画もテレビも字幕は要りませんし、自分より英語が流暢な日本人に出会うことは基本的にありません。アップル時代にはアメリカ人部下のプレゼンやメールを直したりしていました。

ですので、「文法を勉強しないと英語が身につかない」とする説にはどうにも同意できません。現実問題、学校で英文法の授業が始まった途端にわからなくなった、英語が嫌いになった、という人にもたくさんお会いします。

英文法の授業は、かえって英語嫌いを生み出したり、人々の理解を遠ざけているのではないでしょうか?

また、現在ブライチャーにくる生徒さんたちを見ていると、英文法をやり込んだ生徒さんほど、英文法にとらわれて言葉がスムーズに出てこないように見受けられます。文法学習に必要以上の重きをおくと、かえって上達が阻害されるような印象さえ受けています。

私は、「英文法の勉強はまったく不要だ!」とは思いません。特に書くときには、英文法を知らないと、なかなか正確な文章を書けるようにならないからです。しかし、英文法を学習するならするでもう少しやりようがあるようにも思うのです。

英文法は方程式ではない。正しい学習方法を考える

英文法というと方程式でも覚えるかのように「主語+have +過去分詞 since ~~」みたいな感じで単語を当てはめて文を作る練習を繰り返しますが、これには弊害があります。

日本人は英語をしゃべろうとすると、「あーうー」などと言いながらまず英文法の「方程式」を思い浮かべ、そこに単語を当てはめるというプロセスからなかなか脱することができませんが、それはこの学習方式と無縁ではないと思うのです。

問題集を回すことに意味はあるか?

また問題集を何周も回す、という勉強方法もあまり同意できません。ぐるぐると何度も回せば問題集自体を覚えてきますから「このパターンの時は to + 不定詞ね」みたいな感じで、別に理解してなくても解けるようになっていくからです。ですから、例えばTOEICの問題集を回せば、TOEICの問題に限って言えばそれなりに解けるようになっていきます。

しかし問題集やテストから一歩離れて現実の英語書籍を読んでみると、なんだか理解できないなどという本末転倒なことがしばしば起きてしまうのです。これではなんのために英文法を勉強しているのかよくわかりません。

英文法の参考書は英語?日本語?

英文法の勉強は日本語の参考書を使ってやったほうがいい、という意見もしばしば耳にしますが本当なのでしょうか?

英語には日本語にはない概念などもたくさんあります。なぜそれをわざわざ日本語で説明したもので学習しなければならないのでしょうか?また、それほど日本語の参考書が優れているのなら、どうして日本人は文法的には合っているのにさっぱり意味が通じない英文を書いたりするのでしょうか?

冠詞や時制などは典型的な例ですが、日本語にない概念を無理やり日本語で説明して理解させようすること自体に無理を感じてしまうのです。

英文法を勉強する目的から、学び始めるタイミングを考える

私たちは文法問題に正解するために文法を学習しているのではなく、実際に英語を使えるようになるために学んでいるはずなのです。このことを肝に銘じた上で、いったいどのタイミングで、どのように文法を学習するのがもっとも効果的なのか考えてみましょう。

結論から言ってしまえば、簡単な日常会話ができるくらいになった頃が最適なタイミングです。そもそも英文法なんかまったく知らなくても、簡単な会話くらいならどうにかなります。それどころか、なまじ文法知識なんかない方が、知っているフレーズを適当に使いまわして、何も考えずにとりあえず言葉を発する習慣をつけやすいのです。

難しく考えることはありません。まず最初にフォニックスを学び、次に簡単なフレーズを暗記します。その次に中学の教科書を丸暗記します。ここまでクリアしたら、今度はオンライン英会話でも利用して実際に英語を使ってみましょう。意外に意思疎通が図ることができて、驚くはずです。

しかし、やがて頭打ちになってきます。難しいことは何一つ言えない。同じ話の繰り返し……。

この壁を感じてきたところが、文法学習を開始する最適なタイミングなのです。

英文法の正しい勉強方法とは?留意すべき4つの点

英文法の学習をするにあたっては、次の4つに留意して取り組んでみてください。

1. どんどん読んだり聞いたり話したり書いたりして、英語を実際に使ってみる
2. 使っているうちに疑問が湧くので、合間合間に英文法の勉強をする
3. 文章を書いて添削してもらう
4. 文法書は英語で書かれたものを使う

順番に解説します。

1. 英語を実際に使ってみる

英語を体得する上で何よりも大切なこと、それは「英語を英語のまま捉える感覚」です。読んだことや聞いたことが日本語を介さずにそのまま理解でき、伝えたいことがそのまま英語で表現できるようになる。こういう感覚を獲得しないと、スムーズに英語を使えるようになりません。

しかし、問題集をどれだけこなしていても、この感覚を養うことはできません。だからこそ、英語のコンテンツをどんどん消費して、この「英語感覚」を養っていくことが大切なのです。「スポンジボブ」でも「パワレンジャー」でもなんでもいいから子供向けの番組などを視聴してください。あるいは、ネイティブの幼児や小学生向けの本からスタートして、どんどん読んでみてください。

その際に、少し簡単すぎると思うようなものからスタートすることを強くお勧めします。なぜなら、幼児向けの簡単な絵本ですら様々な発見があり、そして新たな疑問を産んでくれるからです。

2. 英文法の勉強をはじめる

こうした本を読んでいくと、文法書や教科書の丸暗記で学んだ通りの英文法にもたくさん遭遇します。「あ、本当にhave+been+~ingって言うんだ」「enjoyのあとはto じゃなくて ~ingになっている」などなど、腑に落ちることがたくさんあると思います。その一方で、このレベルのコンテンツですら、見たこともない単語や表現方法に少なからず遭遇します。

そうしたら、文法書を紐解いてみましょう。そして1日15分だけ英文法の勉強を続けてるのです。ああ、なるほどふむふむ。いろいろなことが腑に落ちてゆきます。そしたらまた本を読んだりテレビを見たりして、わからない表現に出会うのです。このプロセスを1、2年も繰り返せば、基本的な英文法が、感覚としてに体に付いてきます。文法は一度にどっさりとやるのではなく、こんなふうに合間合間にやっていくのが一番効果的です。

3. 英語で文章を書いてみる

そして書いてみよう!割と早い時期から、英作文を始めましょう。世の中には添削サービスなどがたくさんありますから、これらを利用するのも一つの手です。書くのは話すのと違って、表情もジェスチャーも使えませんから、正確さ、厳密さが要求されます。書く作業を繰り返し、添削し続けてもらうことで、英文法が確実に自分の血肉になっていきます。

4. 英文法は、英語の参考書を使って学ぼう

英文法の勉強は、できれば英語の文法書を使って勉強しましょう。お勧めは「English Grammar in Use」です。日本語で書かれたものが悪いわけではありませんが、難しい文法用語の使いすぎで難解なものが多すぎるのが難点なのです。以下、私がお勧めする文法書です。

・English Grammar in Use with Answers and CD-ROM: A Self-Study Reference and Practice Book for Intermediate Learners of English
・日本人の英語
・ 続・日本人の英語
・一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)

English Grammar in Use は初級、中級、上級の3冊に分かれており、米国内の多数の語学学校で使われている定評のある本です。練習問題も豊富ですし、アプリ版もあります。(なお本書、アメリカ版とイギリス版があり、上級者向けはイギリス版向けのみです。ご注意ください。)

一方「日本人の英語」「続・日本人の英語」はマーク・ピーターセン氏によって書かれた「ネイティブから見た日本人の英語のおかしさ」とその改善方法を懇切丁寧に解説した本で、私はこの2冊で目から鱗が1ダースくらい落ちるような思いがしました。いわゆる文法用語も最少限度で読みやすいです。「1億人の英文法」は英文法の解説書というよりも英語の「なぜ?」に答えてくれる1冊です。

これらすべて買う必要はまったくありませんが、初心者、中級者のうちはEnglish Grammar in Use をこなし、その後500〜1000時間ほど多読や英作文、会話練習などをこなした後に「日本人の英語」「続・日本人の英語」を読んでみると、また一皮向けるのではないかと思います。

近道なんかない。英文法は英語学習の合間に学ぶべき

語学の習得に近道なんかありません。僕が何もできないところからアメリカの大学に進学可能なレベルに到達するのに、おおよそ3000時間ほどかかりました。そしてその7〜8割以上の時間を、読書やリスニングといったインプット学習に費やしたのです。文法学習はTOFELの過去問題集を回しただけです。文法は疑問が湧いたところで、合間合間にやるのが一番効果的です。

英語は使ってナンボです。今ではニュース記事からYoutubeまですべてネットでまかなえる時代です。広告の文面、コメント欄の一般人が書いた英語…… どれもこれも僕の時代には日本にいながらお目にかかるなんて絶対にできないものばかりです。使って使って使い倒して、合間合間に文法をおさらいしつつ、英語を自分のものにしていきましょう!

博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。