ビジネスで使ってはいけない英語表現をさらに3つ紹介します

さて前回は、ビジネスに欠かせないのは丁寧な話し方である、という話をしました。そして、絶対に避けた方がよい表現として “I want 〜” と “You had better 〜” を紹介しました。

英語には、ほかにもビジネスで使うべきでない表現がたくさん存在します。今日はさらにいくつかを紹介しましょう。

“must” は使ってもいいのか?

前回 “had better 〜” はNGだとお話しましたが、それでは “must” はどうでしょうか?  “must” の和訳は「〜ねばならない」と習いますが、正しいのでしょうか? 結論から言えばこの訳は実際のニュアンスにもかなり近いです。例えば必需品を “It is a must-have.” などと表現しますが、とにかく「〜ねばならない」のがこの “must” なのです。

かなり上から目線な表現なので、ビジネスの場で “you” を主語にして “You must 〜” と使うのは好ましくありません。ただし、これも前回お話した “had better 〜” 同様、”We must reach our sales target.” (我々は売り上げ目標を達成しなければならない)などと使うぶんには一向に構いません。また、”The company must release a new product before Christmas.” (クリスマスまでに、新しいプロダクトを出荷しなければならない)のように、自分自身や自分たち、あるいは彼や彼らなど3人称に向けて使うのはありです。しかし、面と向かって “You must 〜.” という言い方は、基本的にしないようにしましょう。

このほか、 “must” は可能性を表すのにも使います。例えば、“Thank you for sparing your precioius time for me today. I realize that you must be very busy.” などと言えば、「お忙しいところ、今日はお時間をいただいてありがとうございます」と言ったニュアンスになります。こういう使い方でしたら、別になんの問題もありません。

“Should” はどうだろう?

では “should” はどうでしょうか? “should” は「〜すべき」と習うので、割と強い言い方だと認識されている方が多いと思います。確かにその通りなのですが、実は “must” に比べるとずっとマイルドな表現なのです。例えば、同僚が熱っぽい顔をしていて「顔色がすぐれないけど、休んだほうがいいんじゃない?」と言いたい場合には “You don’t look well. Maybe you should take a rest.” などという感じで表現できます。またこのように “Maybe you should 〜” を組み合わせると「〜したほうが良いのでは?」という柔らかい感じを出せます。便利なフレーズなので、覚えてしまうことをオススメします。

ただ、強制性が少ないと言っても、 “should” は基本的に上司や客先に使う言葉ではありません。上記のような言い方も、同僚や部下以外には使わないほうが無難でしょう。 “should”もまた、 “had better” や “must” 同様、自分に対して使う分にはなんの問題ありません。また主語を 一人称 “we” で使うのならば「是非またもう一度お会いしましょう」と言った感じで “We should meet again.” のように使ってもさほど押し付けがましく感じません。ただ、なかには鬱陶しいと感じる人もいるので、よほど意気投合した場合を除いては、初対面では使わない方が無難でしょう。

なお、“should” も可能性を表す助動詞として使われる単語ですから、 “The meeting should start in 5 minutes.” 「会議はあと5分で始まるはずだ」などのように使えます。このような使いかたでしたら、なんの問題もありません。

“must” “should” を言い換える

では次に、この “must”、 “should” の言い換えについて学習しましょう。これも前回学習した、“I think you may/might want to 〜” と “Maybe it is good idea to 〜” への言い換えで大丈夫です。例を見て見ましょう。

    今すぐ働き始めるべきだ
  • You must start working now.
  • You should start working now.
  • I think you may want to start working now.
  • I think you might want to start working now.
  • Maybe it is good idea to start working now.

  • この問題について話し合うため、会議を招集すべきだ
  • You must call a meeting to discuss this issue.
  • You should call a meeting to discuss this issue.
  • I think you may want to call a meeting to discuss this issue.
  • I think you might want to call a meeting to discuss this issue.
  • Maybe it is good idea to call a meeting to discuss the issue.

“Can/Could you 〜?” はどうだろう?

人に何かを依頼したい時、“Can you 〜?” という頼み方があります。“Can you come to our office at 3:00PM tomorrow?” などといった具合ですね。これもまた、上司や取引先に使う表現ではありません。それでは “Could you 〜?” ではどうでしょうか? “Can you 〜?” よりはやや丁寧ですが、それでも基本的には使わないほうが無難です。

ただ、指示を仰ぐ場合には別です。 “Can/Could you kindly give us a direction?” のように、自分たちに対する指示を上司に仰ぐ場合には、“Can/Could you 〜?” を使ってもさほどおかしくありません。

また、道順などを訊く際に “Where is the train station?” と直接的に訊くのではなく “Can/could you tell me where the train station is?” と間接的に尋ねると、ずっと柔らかい表現になります。 “What time is it?” と直接訊くのではなく、 “Do you know what time it is?” あるいは “Can you tell me what time it is now?” などと訊くと、直接的で不躾な感じを打ち消すことができます。

“Can/Could you 〜?”どう言い換えればいいのか?

では “Can you 〜?” とお願いしたい場合には、どう言い換えればいいのでしょうか? これは “It would be great if you could 〜”、あるいは “I would highly appreciate if you could 〜” などと言い換えると非常に丁寧な言い回しになります。また “I hate to ask this, but could you kindly 〜?” などという言い方もあります。例文を見てみましょう。

    コーヒーを淹れてくれませんか?
  • Can you get me a cup of coffee?
  • It would be great if you could get me a cup of coffee.
  • I would highly appreciate if you could get me a cup of coffee.
  • I am wondering if you could get me a cup of coffee.
  • Would it be OK if I ask you to get me a cup of coffee.
  • I hate to ask this, but could you kindly get me a cup of coffee.

  • 売上レポートをレビューしてくれませんか?
  • Can you review our sales report?
  • It would be great if you could review our sales report.
  • I would highly appreciate if you could review our sales report.
  • I am wondering if you could review our sales report.
  • Would it be OK if I ask you to review our sales report?
  • I hate to ask this, but could you kindly review our sales report?

さて、いかがでしょうか?

これでとりあえずビジネス英語基礎編「丁寧に話す」は終わりとします。こんな些細なことを気をつけるだけで、対人関係で地雷を踏んでしまう可能性が、グッと少なくなります。今回と前回の内容は、是非覚えてしまってください。

次回は上司や目上の人に話す場合の注意点や、使いやすい言い回しについて解説しましょう。


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博 松井
hiroshi.matsui@brighture.jp

著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」するアップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』などがある。2009年まで米国のアップル本社にシニアマネージャとして勤務。大学や企業での講演も多数。